マスク、消毒、ステイホーム、テレワーク……新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、人々の生活は大きな変化を迫られ、新しい習慣として定着しつつある。
一方で、常に「衛生」を意識し、かつ在宅中心の生活が1年以上続いていることで、疲れやストレスも蓄積されているようだ。
ダスキンが20代~60代の男女1,000人に行った調査では、73.8%が感染拡大前と比べて「衛生にかける時間が増えた」と回答し、「衛生疲れ」を感じている人も6割以上いることが分かった。まだまだ終わりが見えないコロナ禍の日本で、無理なく衛生管理を行いながら、快適に自宅時間を過ごすためのコツを、感染症と衛生の「プロ」に聞いた。
増える在宅時間、掃除・除菌の手間…「衛生疲れ」がキーワードに
夫、1歳の長女と3人暮らしのゆかりさん(仮名)は、外出先から帰宅して家に入るとき、靴とベビーカーにアルコールをスプレーし、上着を脱いだ後にすぐ手を洗うようにしている。
ゆかりさんはテレワークで仕事をしているが、長女は毎日保育園に通い、夫は飲食業界で働いている。
「外出時のマスク着用や、帰宅時に玄関での消毒はもちろん、自宅でもできる限りのことはしています」
トイレの使用後はもちろん、自宅の手すりやドアノブなど、触れることが多い場所も気付いたときにはアルコールで拭いている。掃除機もこまめにかけているが、「床の拭き掃除までは手が回らず、週1回くらいしかできない」という。
妻と2人暮らし、共働きの拓郎さん(同)は、「帰宅後は玄関で着ているものをアルコール消毒、洗面所に移動して手洗いうがいをしています」。ただ、室内を片付けるための時間が十分になく、「テレワークで一日中在宅しているので、以前より細かいところが目につくようになった。できるだけ整った環境を維持したいけど、あれもこれもとなって余裕がない」そうだ。
ダスキンの調査では、家庭内でコロナ対策のための衛生管理として行っていることについて、「帰宅後にうがい、手洗い」が73.2%、手の消毒は51.2%、食事前の手洗いは45.8%と比較的高かったが、「こまめに掃除をする/掃除をする回数を増やす」は19.7%で、手洗い・消毒はすっかり習慣化した一方で、居住スペースの衛生維持には、さほど変化がないことが分かった。
感染症に詳しい東北大学総合感染症学分野 助教の吉田眞紀子氏は、調査結果について「この1年で社会全体の衛生観念が高まっているのを感じました。ただ、コロナ対策は来月で終わるというわけではないので、ストレスや疲れを感じないことも大事です」と話した。
吉田氏によると、感染症対策の基本は「ウイルスの感染経路を断ち切る」こと。鼻や口、目を触ることが多い「手」の衛生は十分に気を付ける必要がある。
「衣類にウイルスが付着している可能性はゼロではありませんが、それよりも交通機関やエレベーターを使ったときに、手にウイルスが付着し、そこから鼻や口に入るリスクの方が高いです。だから、やはりマスク着用や手洗いをしっかりする。多くの人の習慣になっているとは思いますが、改めて、基本を徹底してほしいです」
「掃除から衛生へ」変わる生活者のニーズ
今回の調査を実施したダスキンも、消費者の生活習慣の変化を受け、新しいサービスのあり方を模索してきた。
2020年4月に全国で緊急事態宣言が発令された際には、人々の「接触」への不安が高まり、モップ交換や掃除代行のために顧客を訪問することが難しくなった。どうすれば顧客に安心してサービスを受けてもらえるか。ダスキンはまず、スタッフの勉強会を始めたという。
ダスキン訪販グループ戦略本部 事業開発部で衛生プロジェクトリーダーの芦立雅之部長は、「ウイルスや菌の違い、どんなところにリスクがあるのかなど、衛生の基本的な知識をまとめた小冊子を事業所向けとご家庭向けに制作しました。当社には衛生について高度な知識を持つ専門職『ハイジーンマスター』がいますが、他のスタッフも衛生のプロとして活動することが求められるようになりました。ウイルスの基礎知識や衛生管理にもなる正しい掃除の方法など、スタッフの教育を強化しています」と取り組みを紹介した。
未知のウイルスを前に、情報に振り回される時期が過ぎ、アクリル板やソーシャルディスタンスといった対策を取り、検温やアルコール消毒も一般化した2020年夏ごろには、顧客訪問も徐々に回復し、11月には前年並みの水準に戻った。また、モップやマットなど、家庭向け・事業所向け衛生商品への関心も高まっているとのことだ。
「在宅時間が長くなり、自宅を衛生的に保ちたいというニーズも高まったのではないかと思います」(芦立部長)
「ついで」の意識でこまめなリセットを。日々の衛生と向き合うコツ
コロナ禍によって多くの家庭で在宅時間が増え、衛生管理だけでなく掃除の負荷も重くなっている。ダスキンの調査データでも、家庭内での衛生管理について「疲れを感じる」と答えた人は6割おり、「もっと楽に衛生管理をしたい」という回答は8割を超えた。
また、面積の広い床を衛生的に保つのは特に負担感が重いようだった。
吉田氏は家庭内の掃除について、「掃除の頻度や丁寧さの感覚は人それぞれですが、普段より少し丁寧に、ホコリや汚れが目につかないレベルを目安にしましょう。『触ったら拭く』を徹底して疲れてしまうと、続かなくなりますから」と解説した。
無理ない衛生管理のポイントとして、芦立部長は「こまめなリセット」も挙げた。
「外から帰って来たときは、玄関のマットで靴の汚れを落とし、手指をアルコール消毒してきれいにします。ウイルス、汚れの両方を持ち込まないために、玄関で落としておきたいですね」
また、床掃除は朝や帰宅時がおすすめとのことだ。
「空気の動きがないと、ホコリは床にたまっています。バタバタと動くとホコリが舞い上がってしまうので、先にモップでほこりを取っておくと効率がいいです。定期的に除菌モップで汚れを拭き取ると、負担も軽減できます」
ダスキンのモップは、見えるところに置いても周囲のインテリアになじむよう色やデザインが工夫されているが、これもこまめな衛生管理の秘訣だという。「気がついた時にさっと掃除できるように、掃除道具を収納するのではなく、すぐに手に取れる場所に置けるようにしました」(同社)
疲れる前に「頼る」ことも一つの解決方法
「衛生疲れ」は、同居家族との衛生観念や基準のずれに端を発しやすい点が、調査結果から明らかになった。共働きの拓郎さんは、「除菌重視の妻に対し、在宅勤務の自分は、除菌も必要だけど、部屋が片付いていないことの方が気になってしまう」と、細かな方向性の違いがストレスになっていると明かした。
芦立部長は、「在宅時間が増えると汚れはたまりやすくなるし、室内をずっと見ているので細かいところが気になることもあるでしょう。負担が大きい掃除はプロに任せて、時間や気持ちの余裕をつくるのも一つの手です。汚れているものをきれいにするのは労力がいりますが、一度きれいにすればキープするのはそれほど難しくありません」と提案した。
吉田氏も、「掃除グッズだけでなく、掃除代行サービスを上手に生活に取り込んでいくことは、気持ちがしんどくなることを和らげてくれますし、何より家をきれいに保てます」と、アウトソーシングを取り入れることも選択肢にして、部屋の汚れと疲れの両方をリセットすることを勧めた。
ダスキンは家事代行サービスの「メリーメイド」や、エアコンクリーニングなど、プロならではのサービスを行う「サービスマスター」を展開している。家事代行を依頼したいユーザーとサービスを提供する個人・業者をつなぐマッチングアプリもたくさんあるが、芦立部長は「ダスキンは店舗でスタッフを雇用・研修しており、全国一律で質の高いサービスを提供できるほか、お客様のご要望に店舗が責任をもって対応しており、安心を感じていただけるのではないでしょうか」と話した。依頼したいことが具体的に固まっていなくても、一緒にプランを考えるスタッフがいるため、気軽に問い合わせてほしいという。
感染対策が社会全体の優先事項となり、マスクや非接触は当たり前のマナーとなった。とはいえ、ウイルスだけでなく疲れやストレスを意識してリセットすることも必要になっている。
吉田氏は、「緊急事態宣言が解除されてもウイルスがなくなるわけではありません。ウイルスの特性をよく知り、自分のスペースに入れない対策を徹底してほしい」と引き締めつつ、「無理せず衛生管理を続けるために、うまくプロを頼ってほしい。自分で掃除するにしろ、任せるにしろ、分からないことは衛生のプロに相談したら安心できるかもしれません」と話した。
日常のルールが一変し、「新しい生活様式」に適応しつつも、家の外でも中でも気を使う日々から解放されたいと思っている人が多いだろう。年度の変わり目を迎え、家庭・仕事両面でタスクが増える中、衛生管理の方法を少し見直すことで、時間と心に「ゆとり」を生み出したい。
※本稿に記載している内容はコロナウイルス感染防止の効果を保証するものではございません。
ダスキンに関する情報はコチラから:ダスキン公式HP