三菱商事とNTTが共同出資会社「インダストリー・ワン」設立 食品流通分野からサービス提供を開始

三菱商事と日本電信電話(以下、NTT)は、デジタルトランスフォーメーション(DX)サービスを提供する共同出資会社「インダストリー・ワン」(以下、Industry One)を2021年度に設立すると発表した。

2019年12月に、産業DX推進に関する業務提携について発表したが、Industry Oneの設立はその取組みの一環となる。

Industry Oneは、日本の産業界全体のDXを促進し、持続可能かつ国際競争力のある企業成長を支える変革実行パートナーとして、DX企画からソリューションまでを一気通貫で提供する。

日本の産業構造は、複雑なバリューチェーンにまたがるため、個々の企業の改革努力だけでは解決困難な課題が多いという特徴がある。

これらの課題を解決すべく、Industry Oneは三菱商事及びNTTの強みである産業知見とICT技術を集約し、広くパートナー企業とも連携していきながら、DXの土台づくり(企業個社のDX加速化、デジタルを活用した企業間プロセスの最適化)からデジタルビジネスの創造までを一貫して実行支援し、価値提供していくとのことだ。

<会社概要>

1. 会社名: インダストリー・ワン (英語表記 Industry One, Inc.)

2. 代表者: 芹澤 亮

3. 資本金: 9億円(株主構成 : 三菱商事51%、NTT 49%)

4. 所在地: 東京都千代田区

5. 主要事業:「DX企画・プロジェクト支援事業」及び「DXソリューション開発・提供事業」

まずは、食品流通分野における食品卸の在庫最適化ソリューションの開発を進めてきているという。

具体的には、小売、卸、メーカーの在庫、受発注、需要予測等、企業内や企業間に散在するデータと、気象予測情報等の外部データをデジタル技術でシームレスかつセキュアに連携する基盤をNTTデータと共同開発。

また、エムシーデジタルと共に開発した独自AIエンジン(特許出願中)を用いた約10,000商品を対象とした実証実験において、物流センターの在庫を平均約3割(一部カテゴリでは最大4割)削減し、トレードオフの関係にある欠品率も総じて低下させることに成功。

2021年度より、三菱食品が運営するローソン向け物流センターを対象に、本ソリューションの提供をめざしており、同社と共に他企業向けに順次展開する予定とのことだ。

三菱商事及びNTTは、Industry Oneと共に、ブロックチェーン等の先端技術を活用した企業間のスマートコントラクトについても、2021年度より実証実験を開始する予定としている。

在庫最適化ソリューションの提供と併せて、食品流通業界における食品ロスや人手不足等の課題を解決することで、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた食品流通産業の持続的な発展に寄与することをめざす。

今後も日本の産業界全体のDXを促進するあらゆるサービスを拡充していく予定としており、提供開始が本格化する段階で順次公表する予定とのことだ。

また、三菱商事は、産業DX推進に向け、積極的に外部企業とも連携し、DXサービスを共同で開発・提供していく方針であり、東芝テック、富士通、ラキールと協業を検討することに合意。

各社の専門知見とDXサービスを掛け合わせることで、対面する各産業の課題解決や事業構造の変革を支援していくとのことだ。

なお、同取組みにつき、将来的にはIndustry Oneも連携を図っていく方針だとしている。

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