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新型コロナウイルスの感染拡大が懸念され、ニューノーマルな生活様式へと急速にシフトしていくなか、働く環境、住まいなどライフプランニングする上で価値観は大いに変化しつつある。そのライフプランニングの中で、「出産」は大きなライフイベント。妊活をスムーズに進めるには、適切な情報と知識を得ることが重要となるだろう。今回は、ミス・グランド・ジャパン運営代表で、TOKYO FMグループ/MUSIC BIRD系列のラジオ番組『Radio Leaders』のパーソナリティを務めるなど幅広く活躍している吉井絵梨子さんにインタビュー。自身も妊娠・出産を経験した吉井さん。女性として大きなライフイベントを経て思うこと、そして、自分らしい人生を送るためのライフプランニングについて伺った。
大きな目標は、世界で勝負できる国際人
——まずは、現在に至るまでの吉井さんの半生をお聞かせください。
2008年に高校卒業と同時に渡米し、約3年間留学していました。2011年に一時帰国した際に東日本大震災が起こり、「今また留学するわけにはいかない」という思いに駆られ、実家の秋田にいながら次に進むステージを模索していました。
翌年、著名なミスコンテストに秋田県代表として参加できることになり、そこから私のミスコン人生が始まります。同時通訳や司会など、秋田県内のお仕事をもらえるようになり、しばらくは地元で活動していました。そして、2013年にミス・グランド・インターナショナルの日本代表に選ばれたことをきっかけに上京し、2015年には日本代表を選出する大会の運営代表となりました。2018年から日本で初となるゲイのコンテスト、ミスター・ゲイ・ジャパンのプロデューサーを務め、現在はラジオパーソナリティとしても活動しています。結婚を経て、2019年の1月に娘を出産しました。
——震災をきっかけに、それまで描いていた海外留学の道から方向転換したわけですが、どんなふうに気持ちを切り替えましたか?
高校生の頃には様々なミスコンの世界があることを知り、そういった場で活躍できる国際人になるのが夢でした。2011年に帰国した際にミスコンの募集広告を見て、「これはもしかしたら世界につながるかも。日本に留まる理由はこれなのかもしれない!」と思ったのです。海外留学への道はいったん諦めましたが、世界へ羽ばたきたいという情熱は、そこでうまくシフトできたのかもしれません。
人生、希望どおりにはいかないことの方が多いです。でも人は考え方次第で柔軟になれると思います。目標とするゴールへの道はひとつではなく無数にあるはず。上手くいくときも上手くいかなかったときも、“Everything happens for a reason.”(すべては必然である)と考えています。
まさか大会を運営する側になるとは思ってもみませんでしたが、世界を舞台に挫折や負ける経験をしたことで、次に挑戦する人たちのサポートをしたくなったのです。世界で戦うのは、プレーヤーだけではなくサポート側でもできるものだと気づきました。
働く女性の不妊治療と育児の両立について
——ではここからは、結婚・妊娠・出産について伺います。まず、ご自身ではそれらのライフイベントは具体的に思い描いてきたものだったのでしょうか?
結婚・妊娠・出産に関しては、ハッキリとした目標があったわけではなく、タイミングと流れに逆らわずに進んできました。周囲を見ても、明確な目標を持っている人は少ないように思います。やはりそれは相手と出会ってから考える人がほとんどですし、女性のライフスタイルが多様化していることに起因すると思います。だからこそ、早いうちから考えることが重要だとも思います。何か起きてから対応するだと、どうしても選択肢が狭くなってしまいますし、やりたいことが後回しになってしまう。決して、今やりたいことができていないわけではない、むしろやりたいことを仕事にできていますが、ライフプランニングについて若いころの自分に「考えてみたら」と助言したいですね。
——不妊治療について費用のことで言えば、不妊治療の保険適用について議論が高まっています。当事者だけでなく、社会や企業、あるいは周りにいる人たちはどんなサポートをしていくべきだと思いますか?
政府の対策や医療体制などは考えずに、個人の意見をお話しします。仕事をしていると時間がなく、仕事をしないとお金がない……。それが大きな問題です。保険なのか企業の制度なのかそこは議論すべきですが、子どもを迎えたいと思っているカップルには、無償でいろいろなサポートがあっても良いのではないでしょうか。
高度な不妊治療になりますと自己負担の額も高くなります。最近では、私の知り合いから聞いたところ、300万円ほど不妊治療に費やしているカップルもいると知って驚きました。ただただ子どもが欲しいだけなのに、そこに金銭的負担があるのは残念です。
世の中の仕組みを考えても、子どもが生まれることは良いことが多いはずです。社会全体が、一人の子どもを出産するために協力できる体制であってほしいと思います。
——子どもを授かる理想年齢は「25〜29歳」が最多(63.5%)ですが、30代以降での出産(41.0%)が多くなっている※1要因はどこにあると思いますか?
女性が活躍しやすい社会になりつつあり、キャリア志向の女性が増えたから。社会と折り合いをつけるため、30代以降になるという状況にあると思います。25歳~29歳で出産を希望する方が多いのは肉体的な適齢期を知っているからであり、精神的な理想はまた別である人が多いのかもしれません。
個人的な体感として、仕事と子育てを両立するには、それまでの3倍はエネルギーを使います。体力が奪われることに関しては想像以上でした。元気に活動するために、娘が起きる前に朝ヨガをするなどして、心と体に意識を向けています。
——SNSでお子さんを連れてお仕事している様子を拝見しています。仕事と子育ての両立は上手くいっていますか?
結論から言うと、とても楽です。いろんな人に会わせることで人見知りせず、たくさんの場所に慣れ、何があっても騒がない……。娘はそういったことを自然と身につけてくれました。もちろん保育園に預けてもよいのですが、私は娘に仕事姿を見せたいので、生まれて間もない頃から連れ歩いています。
もちろん「連れて行ってもいいですか?」と伺いを立てるのですが、それにより“吉井絵梨子は赤ちゃんとニコイチだ”と認識してもらえます。今は連れて行くことに対してストレスもありません。ラジオの収録中に面倒を見てもらうなど、各所でサポートしてもらえるのがありがたいです。けっこう男性の方が娘の相手をしてくださります。それには驚きました。
大切なのは「妊娠・出産は女性のテリトリーである」という認識を変えること
——不妊症の原因は、女性が65%・男性が48%(両方に原因があるとするパーセンテージを含む)という調査結果※2がありますが、まだまだ不妊治療は女性のものとする認識が強いように思います。男性にも向き合ってもらうためには、どんなアプローチが必要だと思いますか?
妊娠・出産、そして育児は、女性のテリトリーであるという考え方が、日本にはまだまだ残っていると思います。本当はそこから変えていかなければなりません。不妊治療の実態もそうですし、家庭内での役割もそうですし、教育の中で男女ともに向き合うことなのだと伝える必要があります。
私の周りにも何人か不妊治療をしている方がいますが、パートナーが同じ温度で不妊治療と向き合っているかが大事なようです。不妊の原因がどちらにあるにせよ、一緒に喜びや悲しみを感じて、一緒にストレスを発散する。そうしないと、どちらか一方がつぶれてしまいますから。パートナーが常にそばにいられるのがベストですが、企業でも社会でも、一緒に歩んでくれる存在が必要だと思います。
そして、男性もブライダルチェック(結婚する際に行う精液および性感染症検査)をする人がいますが、そういったヘルスチェックをできる環境が身近にあるかどうかも、妊娠・出産に対する認識を左右するのではないでしょうか。
——妊娠・出産に関して、経験する前に知っておきたかった事はありますか?
私の場合は、妊娠と出産に伴う心と体の変化です。ホルモンの影響で本人も気がつかないうちに心身ともにバランスを崩していることがあります。それを頭の中で理解しておくのと、いきなり受け入れるのでは心の余裕が違います。例えば、イライラしてしまっても、それは自分のせいではなくホルモンバランスのせいだと思えるだけでも違うように。これはパートナーにも知ってもらう必要があります。知っているというクッションがあるだけで、気持ちが軽くなる場面があるからです。
でも、当事者にならないと考えないのが普通なので、だからこそ教育や認知活動の必要性を感じます。例えば『カッコいいパパ&ママになるために、今から知るべき10のこと」みたいな、いずれは子どもがほしいなと思っている若い世代に向けて、興味を引く企画でのアプローチも必要ではないでしょうか。発信する側が工夫しなければならないところだと思います。
限界をつくらない大きな目標を!ゴールを定めて逆算する“バックキャスティング”
——吉井さんはどのようにご自身のライフプランを立てきましたか?
私のライフプランニングは“バックキャスティング”というもので、ゴールを定めて逆算し、最初の一歩をどう踏み出さなければいけないのかを考える方法です。
10年後、どこの国に住んで、どんな家に住んで、誰と一緒にいるかという絵が見えるだけでも明日からの生活が変わりますし、よりクリアなイメージがあるほど脳がその方向へと導いてくれるはずです。不可能かもしれないと感じてもまずは頭の中で描いてみる! これが大事ではないかと思います。
——では今、吉井さんのゴールはどこに定められていますか? また、思い描いていた人生を送っていますか?
まったくです(笑)9割がた想像していませんでした。ただ、「世界を目指す」「国際人になりたい」といった大きな目標や方向は変わっていません。そこに向かう過程は違っているかもしれませんが、目指すべきゴールは同じです。
また、もっとイメージ的なお話をしますと、「緑のある空気のいいところで朝を迎え、朝日を浴びながらヨガをし、ヘルシーな食べ物を作って心も体もピース!」みたいな、身近なものに感謝できる心の余裕を持った生活を思い描いています。そのために今、奮闘中! 子どもや自分を守るためには力をつけないといけませんから、今はそういう時期だと思っています。
——これからライフプランを立てようとしている若い世代へ、何かメッセージをお願いします。
ミス・グランド・ジャパンに参加する女性たちにまず聞くのは、「あなたの強みや好きなことはなんですか?」ということです。ライフプランを考えるうえでも、何にワクワクするのかが大切だと思います。まずは自分を知り、どうありたいのかを考えることからスタート! 「大金持ちになる」でも「ハリウッド女優になる」でも何でもいいです。なりたい姿をワクワクしながらイメージすると、計画性がありながらも自分に限界をつくらないライフプランを立てられるはずです。
短期の目標であればいいのですが、勢いだけで進んでいたときは現実的に可能なものを選び、保守的で、自分の可能性を狭めていたなと感じることがありました。でも、長期的な大きな目標は可能性を広げます。大きなゴールを掲げていた方が選択肢の多い人生になる——。だから私は、将来を見据え、今すべきことを逆算する“バックキャスティング”という考え方をおすすめします。ぜひ、自分らしい生き方を思い描いてみてください!
※1出典:厚生労働省「2019年人口動態統計月報年計(概数)」
※2出典:メルクセローノ株式会社「第 2 回 妊活®および不妊治療に関する意識と実態調査」(2018)
■YELLOW SPHERE PROJECT/YSP
妊娠を希望してもなかなか叶わないという“社会課題”に対し、製品やサービス提供にとどまらず、妊活や不妊治療をする人々を支援し応援するプロジェクトです。目指すところは、より多くの人に適切な情報を伝えて、サポートの輪を広げ、人々の充実した暮らしという未来をつくることへの貢献です。新しい命を宿す為の努力を、皆が応援する社会へ。それが、YELLOW SPHERE PROJECTの先にある未来です。
https://www.merckgroup.com/jp-ja/yellow-sphere-project.html
メルクについて
Merck(メルク)はヘルスケア、ライフサイエンス、パフォーマンスマテリアルズの分野における世界有数のサイエンスとテクノロジーの企業です。約57,000人の従業員が、人々の暮らしをより良くすることを目標に、より楽しく持続可能な生活の方法を生み出すことに力を注いでいます。ゲノム編集技術を進展させることから治療が困難を極める疾患に独自の治療法を発見すること、また各種デバイスのスマート化まで、メルクはあらゆる分野に取り組んでいます。2019年には66カ国で162億ユーロの売上高を計上しました。
メルクのテクノロジーと科学の進歩において鍵となるのは、サイエンスへのあくなき探求心と企業家精神です。それはメルクが1668年の創業以来、成長を続けてきた理由でもあります。創業家が今でも、上場企業であるメルクの株式の過半数を所有しています。メルクの名称およびブランドのグローバルな権利は、メルクが保有しています。唯一の例外は米国とカナダで、両国では、ヘルスケア事業ではEMDセローノ、ライフサイエンス事業ではミリポアシグマ、パフォーマンスマテリアルズ事業ではEMDパフォーマンスマテリアルズとして事業を行っています。
メルクバイオファーマ株式会社について
メルクバイオファーマ株式会社は「メルク ヘルスケア・ビジネス」(本社:ドイツ・ダルムシュタット)における、バイオ医薬品事業部門の日本法人です。2007年10月1日にメルクセローノ株式会社として発足し、がん、腫瘍免疫および不妊治療領域を重点領域としています。
メルクバイオファーマ株式会社の会社概要については下記をご覧ください。
https://www.merckgroup.com/jp-ja/company/merckbiopharma.html