「Sony Creators Gate」、三者対話ライブ“trialog vol.11 SUSTAINABILITY|社会のウェルネス”開催

ソニーは、黒鳥社のコンテンツ・ディレクター若林恵と次世代のクリエイターの育成を推進する「Sony Creators Gate」の取り組みとして、より持続的で健康的な社会を目指すための地殻変動をリードするキーパーソンを迎え、より良い未来を考える三者対談ライブ「trialog vol.11 SUSTAINABILITY|社会のウェルネス」を、2021年2月27日に、完全オンラインで開催した。

11回目の開催となる今回のtrialogは、昨年の新型コロナウイルスのパンデミックにより様々な社会問題が山積する中で、より持続的で健康的な社会を目指すため“SUSTAINABILITY|社会のウェルネス”というテーマで開催。

様々なフィールドで起こる地殻変動をリードするクリエイターや起業家をゲストに迎え、ソニーのプロジェクトおよび事業に関わるキーパーソンと共に3つのセッションを通して議論。

セッション1では「『価値観』を着よう」、セッション2では「文化と社会変革」、セッション3では「オープンイノベーション」、をテーマに、より良い社会のウェルネスについてをゲストと共に考えたという。

また今回はvol.10に引き続き、無観客オンラインで開催。

イベント視聴者からも積極的に質問が投げ掛けられ、議論はさらに盛り上がりを見せたという。トークセッション後にはAfter Hours(Closing Performance)として、UKのマルチ器楽奏者、アラバスター・デプルーム氏のインタビュー映像放映とクロージングパフォーマンスを披露。

様々な角度から持続的で健康的な社会について考えるイベントとなったとのことだ。

これらのライブ映像やイベントレポートは、trialog YouTube チャンネルでは3月中旬、trialog WEB サイトでは3月下旬に公開する予定であるとしている。

“trialog vol.11 SUSTAINABILITY|社会のウェルネス”開催レポート

■SESSION 1
Wear Your Values|「価値観」を着よう ─ 中村崇之×山ノ井俊×佐久間裕美子

衣料の生産高が上がり、廃棄量が増えている現状を訴えてきた佐久間氏が「近年技術が進歩し、この課題についても希望の光が見えてきたと感じる。」と話すと、服から服をつくるサーキュラーエコノミーを実現するブランド「BRING™」の中村氏は、「25年前からペットボトルが服にリサイクルされ始めたが、技術が追い付かず、その作られた服はその後廃棄されていた。昨今では、服から服を作る技術を提供できるようになったが、次は消費者の意識が追い付いていなかったので、消費者の行動を促すため、地球のために、だけではなく、楽しさやエモーショナルな体験の提供を心掛けている。」と語った。

余剰バイオマス(お米の籾殻)から生まれたサステナブル新素材「トリポーラス™」の事業開発を手掛けるソニーの山ノ井氏は、「ソニーとして、もともと持続可能な社会に向けて貢献したいと考え、環境技術の研究を行ってきたが、トリポーラスはリチウムイオン電池の開発時に偶発的に生まれた。」と開発秘話を打ち明けた。

加えて、「ソニーだけでは、トリポーラスの大量生産化やその活用を見出すことができなかった。技術をオープンにし、社内外の様々な方々との協力により、現在では、衣類やスキンケア製品への転用、また文化財の保護に活用できている。今後は、水や空気をきれいにする分野にも展開していきたい。」と、オープンイノベーションの重要性について語った。

■SESSION 2
Culture and Social Change|文化と社会変革 ─ 梶川三枝×キアレン・メイヤーズ×水口哲也

スポーツ、ゲームに象徴される文化が社会変革に向けてどのような影響を与えることができるかについて議論するセッション。

ゲームを通してサステナブルな社会を実現すべく、取り組んでいるソニー・インタラクティブエンタテインメントのメイヤーズ氏は「現在、国連と協力し『Playing for the Planet Alliance』というプロジェクトにて、ゲーム機自体の省エネ化や子どもたちが気候変動について学べるソフトウェアの提供を行っているが、ゲームは従来型のメディアではリーチできなかった若い層に情報を届け、また環境問題のインパクトや自分たちに何ができるのかを可視化でき、とてもリアルに疑似体験させることができる。」と語った。

「スポーツのチカラをよりよい社会づくりに役立てる」をミッションに掲げ、「Sport For Smile」を運営する梶川氏は「スポーツをすることで個人の心や体が健康になったり、著名なアスリートがその影響力を用いて社会にとって重要なメッセージを発信するなど色んな面でスポーツが貢献できると思っている。」と話した。

水口より「ゲームとスポーツはプレイヤー、観客が存在するなど、似た構造のエコシステムを持っている。

その全体の意識を変えるために、どのようなビジョンを描いているのか。」と問われると、梶川氏は「スポーツでは、国連主導で世界中のトップチームが国境問わず参画する取り組みがあるなど、 “チーム”ができていることに威力があると感じている。気候変動などは緊急性の高い問題なので、全体の参加を待ってからではなく、先に走りながら周囲を巻き込んでいく必要がある。」と話した。

最後に水口は、「今回のテーマである“文化”は、長い時間かけて作られるものであり、今後もずっと続くものと考えると、ゲームやスポーツ以外の分野も社会変革に向け重要な役割を担っていると感じた。」と締めくくった。

■SESSION 3
Open Innovation|オープンイノベーション ─  トーマス・エルマコラ×柳平大樹×若林恵

ソニーコンピュータサイエンス研究所の柳平氏は、自身が手掛ける、エネルギーのオープンイノベーションプロジェクト「OESプロジェクト」について、「再生可能エネルギーは場所に依存しないので、大きな発電所が不要であり、消費者側で分散して発電する用途に適している。

ただし、その電力やグリッドをユーザー自身が自分たちでマネージしてインフラを構築しようとする意識が生まれるまでには、まだ時間がかかると感じている。」と、メリットと課題について語った。

その話をうけ、若林より「環境問題などで使われる、”リテラシー”という言葉は、これまでの一方通行のコミュニケーションを前提にしたもので、コミュニケーションが双方向になる中では、”コンピテンシー”という概念が重要になると感じる。

それはどうしたら上げられるのか。」と問われると、市民によって都市環境を改善する協調的アプローチ「オープンソース・アーバニズム」のパイオニアである、トーマス氏は、「参加するハードルを下げるために複雑性を避けたコンテンツ設計や、正しいファシリテーション、時間を追うごとに信用を深め参加者を訓練していくためのインセンティブモデルが必要である。」と話した。

それを受けて、柳平氏が「昨今伸びている、動画や音楽の投稿プラットフォームのように、みんなが手軽に使え、自主的に楽しんでもらえるプラットフォームを提供したい。」と今後の展望を語った。

■After Hours(Closing Performance) ─ アラバスター・デプルーム

インディペンデントのアーティストに向けたロンドンにあるスタジオTotal Refreshment Centreのメンバーで、自身も環境問題に対する市民運動への寄付などを行っているUKのマルチ器楽奏者、アラバスター・デプルーム氏が登場。

演奏に先立ち放映された、若林によるインタビュー映像では、今回のコンセプトについて、「混沌とした人間性や傷つきやすさをテーマに、正しくやることや整頓された考えを排除した。そうすることで、全員が全員の音に耳を澄まし、演奏の意義である、感覚の交換に集中できる。元となる曲はあるが、それは素材、おもちゃで、演者はそれを握りしめて遊ぶのです。」と話した。

また、文化が果たすべき社会的な役割・責任について問われると、「変化を外に臨むのなら、それを自分の中で起こす必要があります。音楽は「共感」「エンパワーメント」「勇気」という領域において、大きな任務を背負っています。アーティストは「傷つきやすさ」「真正さ」とたくさんの「勇気」をもって、恐怖と向き合い、大いなる任務を果たしてください。」とメッセージを送った。

その後、40分間、Total Refreshment Centreにて、1つのカメラ1テイクで撮影し、また初めて演奏する仲間との圧巻のパフォーマンスを披露。エコロジカルな感性に溢れた、二度とないワールドプレミアの演奏に感動の声が集まったという。

Sony Creators Gateは、これからも次世代のクリエイターが創造力や表現力を発揮できる環境作りを支援していくとのことだ。

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