Googleは、広告エコシステムにおけるポリシー違反防止対策の透明化についてのレポートを公開した。
Ads Safety Reportを毎年公開しており、今年はその初公開から10年を迎える。
レポートでは、Googleの広告プラットフォーム上での悪意ある利用を防止する取り組みをまとめている。
広告エコシステムにおけるポリシー違反防止対策の透明化は、私たちの長年の優先事項であり、特に今年はこれまで以上に多くのデータを公開している。
Ads Safety Report は、Googleのプラットフォーム上における広告の仕組みの透明性向上を目指した多数の取り組みのひとつ。
レポート以外にも、昨年春には広告主の身元確認プログラムを導入し、現在、20か国以上で展開している。
同プログラムを通じて確認された広告主名とその所在地は広告の表示について」でも公開され、表示されている広告を誰が出稿しているのかをユーザーが確認できるようにするだけでなく、より多くの情報に基づいた意思決定を支援するという。
大規模なスケールでの措置
2020年は新型コロナウイルス感染症の拡大、世界各地で実施された選挙、オンラインで人々を欺く悪意ある第三者との絶え間ない戦いの年であり、まさにGoogleのポリシーやポリシー違反に対する措置の真価が試された。
ユーザー、クリエイター、パブリッシャー、広告主といった皆さま向けに安全なサービスを提供するべく、何千人もの従業員が昼夜問わず対応に取り組んだ。
その結果、広告主向け、パブリッシャー向けに40以上のポリシーを追加・更新した他、ポリシー違反を理由に約31億件の広告をブロックもしくは削除。
また64億件の広告について、パブリッシャーが許可した場合にのみ広告が表示される「制限付き」の扱いに変更したという。
今回のレポートには初めて広告の制限に関する情報が含まれているという。
これは対抗措置全体の戦略において中核を占めるアプローチであり、特定の広告を制限付きの扱いとすることで、広告表示が可能な国や地域、現地の法律、そして、Googleの認定プログラムの規定に沿って、広告の表示先を調整するもの。
このアプローチに則って承認された「制限付き」広告は、規制を遵守した合法かつ適切なコンテンツとしてユーザーに表示される。
例えば、Googleではオンライン薬局に対して認定プログラムへの参加を必須としている。
認定を取得したオンライン薬局の広告は、処方薬のオンライン販売が許可されている特定の国でのみ表示される。
このような「制限付き」の措置は、近年、国ごとに強化される広告規制に対応するだけでなく、広告主が国境を超えて幅広く展開する広告キャンペーンへの影響を最小限に抑え、かつ、地域ごとの要件の遵守を支援する効果的な手法であると考えているという。
新たな脅威への迅速な対応
昨年1月、世界各地で新型コロナウイルス感染症の感染者数が増加した際、Googleでは手指消毒剤、マスク、紙製品など需給が逼迫した製品の不当な値上げや、虚偽の治療法を宣伝する広告などを阻止するため、デリケートな事象に関するポリシーを適用・施行した。
その後、保健機関からの新型コロナウイルス感染症に関する新たなガイダンスの発表を受けて、Google もポリシーの適用方針を改訂している。
こういった機会に乗じた悪意ある利用を阻止する一方で、医療機関や保健機関、地方自治体や信頼できる企業が提供する重要な最新情報や信頼性の高い情報を見つけやすくするべく、様々な取り組みを行っているという。
また、新型コロナウイルスの起源や感染拡大に関する非科学的な主張や陰謀論のオンラインでの拡散を受けて、Google では科学的根拠に反する新型コロナウイルス感染症やその他のグローバルな医療の緊急事態に関連する広告及び収益化を禁止する新たなポリシーを導入。
Googleではまた、パブリッシャーのポリシー遵守をサポートするために、ウェブの効果的かつ大規模なスキャンを実現する自動検出技術への投資を継続的に行っている。こ
れらの投資に加え、新たなポリシーの策定を通じ、ポリシー違反に対する措置も強化。
その結果、パブリッシャーのページから広告を削除した件数は、 2019 年の 2100 万件から 2020年には13億件にまで増加。
また、広範囲における違反や悪質な違反のあった160万以上のパブリッシャーにおいては、サイト全体に対して広告提供を停止したという。
これにより、奇跡的な治療薬や供給不足のN95マスク、最近では偽装ワクチンといった新型コロナウイルス感染症に関連する虚偽の広告を9,900万件以上ブロックしたとのことだ。
最新型の不正や詐欺との戦い
新型コロナウイルス感染症の拡大や災害などの事象が起きると、悪意のある第三者はオンライン上でもこれらを悪用した不正行為を試みるという。
実際に昨年も、悪意のある広告や不正な行動が増加しました。例えば、クローキングをおこなったり、実在しない架空の事業名を名乗ったり、電話を使った詐欺広告を出稿し、Googleの検出システムから逃れる、もしくはユーザーをGoogle のプラットフォーム外へと誘導するケースの増加が見られたという。
2020年には、こうした悪質な行為に対し下記のような対策を講じたとのことだ。
- 広告主の身元確認プログラムおよびビジネスオペレーションの適格性確認プログラムを含む、複数の新たなポリシーやプログラムを導入
- 複数アカウント間での周到な準備のもとに実行される悪質な行為を、より適切に検出する技術への投資により、アカウント間のつながりを特定し、複数の悪質なアカウントを一括停止
- ネットワークからのシグナル、アカウントの過去の活動、行動パターン、ユーザーのフィードバックに基づいた自動検出技術と手動による審査プロセスの改善
今年、ポリシー違反を理由に停止した広告主アカウント数は100万件から170万件へと70%増加。
また、クローキングなどの手法でGoogleの検出システムを逃れようとした8億 6,700万件以上の広告、そして不実表示に関するポリシーに違反をしていた1億 100万件の広告をブロックまたは削除し、その数は合計で9億6,800万件を超えている。
世界各地での選挙を守るために
世界各地での選挙において、広告は有権者が候補者や投票手順について信頼できる情報源にアクセスするために有用。
過去数年間にわたり Google はプラットフォーム上で選挙広告を展開できる人や広告の運用方法について、厳格なポリシーと制限を導入してきた。
たとえば、米国、英国、EU、インド、イスラエル、台湾、オーストラリア、ニュージーランドでは、包括的な政治広告ライブラリを立ち上げるとともに、世界各地のチームと協力し Google のプラットフォームの不正使用を阻止してきたという。
世界各地で確認プログラムを継続的に拡大し、2020 年には 新たに 5,400 以上の選挙広告主を認証・確認。
米国では、大統領選挙の結果が直ちに決定しないことを受け、これがデリケートな事象に関するポリシーに該当すると判断し、投票終了後から12月上旬までの間、米国における政治広告停止の措置を取った。
この期間中、 500万件以上の広告を一時停止し、選挙や候補者、および選挙結果に言及する30億件以上の検索結果ページ上での広告表示を停止。
これらの措置は、広告が選挙後の混乱を増幅させる可能性を抑えるために講じられたもの。
ヘイトスピーチと暴力を扇動するコンテンツの広告収益化停止
2017 年には、ユーザーが書き込んだコメントも含めページ単位でより詳細な審査を行う方法を導入。
これにより繰り返される違反を阻止し、広告主にとって悪影響をもたらし得る広告出稿から保護する一方、パブリッシャーにおけるより広範なサイト運営の継続を実現している。
ページ単位の是正措置の導入後も自動検出技術に継続的に投資を行ってきた。この技術が、特に今年増加したネット上でのヘイトスピーチや暴力への呼びかけを検出し、有害なウェブコンテンツの収益化を防ぐことにつながったという。
危険または中傷的なコンテンツに関するポリシーに基づき、1億6,800万ページに対して措置を講じたとのことだ。
2021 年も取り組みを継続
今後もGoogleでは、潜在的脅威を予見し対処していくために、広告ポリシー、専門家チーム、是正措置を支援する技術といった分野への投資を続けていくとのことだ。