伊藤忠商事は、台湾現地法人である台灣伊藤忠股份有限公司(以下、台湾伊藤忠)を通じて、台湾における宅配便事業大手の台灣宅配通股份有限公司(以下、宅配通)へ戦略的事業投資を実行し、出資比率を19%としたことを発表した。

昨今、コロナ禍において非接触型の取引であるEC市場が急拡大している。

台湾においても、EC市場は毎年10%以上の高い成長率を示しており、2019年から2020年は成長率が17.5%になると言われているとのことだ。

なお一方、台湾のD2C市場は依然として発展段階であり、D2Cの重要な機能となる物流事業領域は、EC市場拡大による小口配送の数が大幅に増加しているものの、労働集約的な送り手視点の事業に留まっており、マーケットインの発想による更なるデジタル化と新たな事業創出が求められている。

宅配通は、1999年に日本の大手宅配事業者の協力のもと設立された台湾における宅配便事業の大手企業。

日本で培った「配達時間指定」や「店舗での集荷受付け」などのサービスを導入し、その後、ECモールへの出店代行サービスやBtoB向けの倉庫物流事業を提供し、現在では台湾の物流インフラとして年間4,000万件以上の商品配送を担っている。

伊藤忠商事は、2000年に台湾伊藤忠を通じて宅配通に出資し、宅配便事業の立ち上げ支援を行うとともに、伊藤忠商事グループとの協業を推進してきた。

加えて、最近では、コンタクトセンター事業を展開するベルシステム24、後払い決済サービスのPaidy等、同社グループ企業が続々と台湾拠点を設置し、EC関連事業を展開。

今回の戦略的事業投資により、伊藤忠商事グループのEC関連事業との連携を更に深め、成長余地のあるD2C領域において、台湾現地メーカーのD2C事業をワンストップで支援する「総合ECフルフィルメント事業」を開始する予定であるという。

また、宅配通が保有する年間4,000万件の消費者接点を活かした新規事業開発や、伊藤忠の国内におけるDX化支援体制を活かして宅配通の事業変革を支援していくとのことだ。

伊藤忠商事は、次期中期経営計画の基本方針として「マーケットイン」による事業変革を掲げており、同取り組みは、これに合致するもの。

今回の宅配通への追加出資を通じて、DX機能の宅配物流業への落とし込みを図り、新規事業機会の創出を一段と加速するとともに、宅配通およびグループ各社の収益力向上を目指していくとのことだ。