熊本市は、令和2年6月に熊本市歴史的風致維持向上計画(くまもと歴史まちづくり計画)が国から認定を受けたことを機に、歴史的建造物等を利活用する実証実験を行うと発表した。
実験は、熊本城の城下町として発展してきた新町古町地区の一角・唐人町通り(延長約240m)及び明八橋周辺で実施。
同実験はいわゆる集客を優先したイベントではなく、将来的なまちづくりを見据えた実験的な取り組み。
地域資源である歴史的建造物の家主と、まちづくりのビジョンに沿った事業者をマッチングさせる仕組みづくりへの挑戦であり、城下町の古き良き姿と最新の技術・感性を調和させた、新たな暮らしの在り方を提案する。
長期的なコンセプトを「五感散歩」とし、「感性が刺激され、つい歩いてみたくなるような、小さなデザインが溢れるまち」を目指す。
実験では、町屋をはじめとする歴史的建物が点在する景観を生かしつつ、新しい形でまちを持続的に発展させていく方法を検証するとのことだ。
3月21日(日)〜4月11日(日)にかけて、町屋の活用実験「マドカイ」、テナント誘致の実験「ハイカラ百貨店」、駐車場の活用実験「町屋蚤の市」、夜間景観の実験「明八橋と桜のライトアップ」、まち歩き実験「古町小町とお散歩」等に取り組むという。
町屋の活用実験「マドカイ」では、利活用可能な町屋のファサード(建物の正面部分)を借り上げ、特設のショーウィンドウを設置。陳列した商品をQRコードで表示し、オンラインでの購買活動につなげる。
省スペースかつ無人という貸主・借主の負担を軽減する新たな店舗形態を検証する試みで、夜間もショーウインドウを照らし、歴史的な地区での新しい夜間景観を創出するとしている。
「ハイカラ百貨店」は、今後のマッチングに活かすための、テナントとのネットワーク形成の試み。美術館のような空間で、身近に置きたい素敵な作品を実際に手に取りながら「マドカイ」方式で販売するポップアップショップをオープンする。
「町屋蚤の市」は、休診日の民間病院の駐車場を有効利用し、町屋等の利活用で課題となっている家財処分に対して、それらを流通させ解決させる「蚤の市」を実施する試みとなっている。
「明八橋と桜のライトアップ」では、日本橋や通潤橋を手掛けた橋本勘五郎により明治8年に架設され、今もなお地域住民に愛され続ける明八橋や桜の木などを含む周辺をライトアップし、まちの名所として改めて景観の魅力を伝える試み。
まち歩き実験「古町小町とお散歩」は、散歩自体をまちの風景にするため、今回の実験内容を含め唐人町通りを地域の案内役(古町小町)が案内し、参加者の反響を探る。情報発信はもとより、城下町の雰囲気づくりの一旦を担う取組みにつなげる試むだという。
熊本市は、熊本市政のスローガン「500年、城と生きる町へ。」を体現すべく、熊本城域、中心商店街、JR熊本駅周辺の広域的な位置づけからも城下町エリアの活性化を目指すとしている。