パナソニックは、アインホールディングス、Fujisawa SST協議会とともに、小型低速ロボットを用いてエリア内の店舗から住宅へ商品を届ける配送サービスの実証実験を神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウン(以下、Fujisawa SST)にて3月5日から実施すると発表した。

今回の実証実験では、2台の小型低速ロボットを用いて、処方箋医薬品(以下、医薬品)をアイン薬局 FujisawaSST店(以下、アイン薬局)、冷蔵品の弁当を商業施設「湘南T-SITE」から住宅に向けて配送するという。

屋外での小型低速ロボットによる医薬品の配送は国内で初めての取り組みとなる。

新型コロナウイルス感染症が拡大する中、薬局や店舗および配送時における人との接触を最小限にすることで感染リスクを抑えることが求められている。

今回、医薬品の配送では、患者様は医師から電話等により診察、アイン薬局の薬剤師からオンライン服薬指導を受けた後、小型低速ロボットが届ける医薬品を受け取るという。診察、服薬指導、医薬品の受け取りまでを非対面で完結することが可能になるとのことだ。

また、複数店舗と住宅をつなぐ配送サービスを提供することで、いつでも気兼ねなく、なじみの店の味が自宅で楽しめる、買い忘れてしまった日用品がすぐに自宅に届くなど新たな体験価値の創出を目指すという。

パナソニックでは、「小型低速ロボットを用いた住宅街向け配送サービス実証実験」を昨年11月から開始しており、これまでに公道走行における技術的な検証を実施してきた。

今回の配送サービスでの検証を通じて、エリア内の店舗と住民をつなぐ配送インフラ構築に向けた取り組みを加速するという。

実証実験の概要は以下のとおり。

<時期>

2021年3月5日~3月26日の期間中の木曜日と金曜日<内容>

  • アイン薬局から医薬品もしくは湘南T-SITEから冷蔵弁当を、それぞれ予約された自宅へ、指定された日時に小型低速ロボットが配達。
  • 2台の小型低速ロボットが公道を自動走行。ロボットは遠隔管制センターと無線接続されており、オペレーターが走行状態を確認しながら、自動で回避が困難な状況では遠隔操作に切り替えて走行。
  • オペレーターはロボット周辺の方との遠隔での対話が可能。必要に応じて、円滑な商品受け取りなどをサポート。

<走行ルート>

アイン薬局からFujisawa SST住宅街区および湘南T-SITE駐車場付近からFujisawa SST住宅街区内の公道を走行。


黄色で示されたルート上を走行<技術的な実証ポイント>

走行ルート イメージ地図
  • 国内で初めて、遠隔からの監視状況下で小型低速ロボットが2台同時に公道を自動走行。
  • 遠隔管制センターを小型低速ロボットの走行場所から離れた、パナソニックの佐江戸地区(神奈川県横浜市都筑区)に設置し、遠隔監視・制御を実施。

今後もFujisawa SST協議会とともに様々な店舗との連携を拡大しながら、持続可能な街づくりと、そこで生活を営む皆様の安心・安全で豊かなくらしの実現に貢献していくとのことだ。

なお、同取り組みは、国の成長戦略実行計画(令和2年7月)における小型低速ロボットの社会実装に向けて遠隔監視・操作型の公道走行実証を実施するとの方針を踏まえて実施するもの。

同社も経済産業省が主催する「自動走行ロボットを活用した配送の実現に向けた官民協議会」へ参画するとともに、研究開発および実証活動の一部は、NEDO「自動走行ロボットを活用した新たな配送サービス実現に向けた技術開発事業」の補助を受けて実施していくとしている。