ショートムービープラットフォーム「TikTok(ティックトック)」がメインパートナーとして参画する、チームラボが創るアートとサウナによる全く新しい展覧会「チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木」(以下、TikTok チームラボリコネクト)が、東京・六本木に、2021年3月から半年間限定でオープンする予定。

同展は、高級な場所でアートを見るのではなく、サウナによって”ととのう”ことで、来場者自身が最高級な状態になってアートを体験するという、新しい考えのもとにある。

サウナ・冷水・アート浴(アート空間で休憩)の連続した体験を通して、来場者がととのい、アートと一体となり、世界と時間に再びつながること(リコネクト)を目指す、世界に類を見ない新しい形の展覧会。

会場は現在設営中で、オープン時には、アート浴エリアに《空中浮揚》《増殖する無量の生命》、 冷水エリアに《円相を通り抜けて》《円相に迷い込んで(制作中)》、サウナエリアに《呼応するランプのアレイとスパイラル》など、多くの新作を含む作品群が発表される。

また、リニューアルした展覧会公式ウェブサイトでは、本展のサウナ施設の詳細、サウナ・冷水・アート浴を3セット繰り返す体験の仕方、医学的・歴史的・文化的な観点から見た本展の背景などを公開。

TikTok チームラボリコネクトの会期は2021年3月から8月までとのことだ(予定)。

展示作品は以下になる。

■アート浴エリア
空中浮揚 / Levitation
teamLab, 2021, Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi

球体は、質量の概念を超越し、地面でも天井でもない、空中の中ほどに静止したり、空中を上がったり下がったりを繰り返す。球体は、人々が叩くなど衝撃があると、地面に落ち、転がっていく。しかし、何も邪魔がなければ、自らの状態を修復するかのよう、再びゆっくりと空中に上がっていく。

生命とは何か。例えば、ウイルスは、生物学上の生命の最小単位である細胞を持たないことや、自己増殖することがないことから、生物と無生物の境界領域に存在するものと考えられている。生物と無生物を分かつものが何であるかは、生物学上、未だに定義ができない。

一方、あなたが明日もあなたであり続けているのは、形あるものが崩れていく「エントロピー増大の法則」に反している。つまり、エントロピー(無秩序の度合いを表す物理量)が極大化に向かうとされている宇宙の中で、生命とはその方向に反している存在なのだ。生命は、古典的な物理の法則に反する、超自然現象である。

1977年にノーベル化学賞を受賞した化学者・物理学者のイリヤ・プリゴジンは、自然界には外部からエネルギーを取り入れて、内部でエントロピーを生産し、そのエントロピーを外に排出することによってのみ形成され、非平衡状態の中で維持されるある種の秩序・構造が存在する事を発見した。エネルギー(および物質)を外部に散逸させてエントロピーを外部に捨てることによって内部のエントロピーを減少させて秩序を作り出す。生命体は外部から食物としてエネルギーを取り込み、排泄物としてエントロピーを外部に捨て、エントロピーを維持しているとも言える。

生命とは、外部の環境と連続的である、エネルギーの秩序であるかもしれないのだ。
そして、生命の存在そのものが、物理の法則に反する超自然現象であるがゆえに、作品空間に、エネルギーの秩序をつくると、まるで物理の法則に反する超自然現象かのように万有引力に逆らい、球体はゆっくりと浮き上がり、空間の中腹に留まったり空中を上下したりする。

目前で起こっている(自然界の法則を超えた現象という意味の)超自然現象をただ観る時、認知そのものが変化していく。そして、その認知の変化があなたを「日常とは違った状態」へと導くだろう。
作品による認知の変化を模索する。

増殖する無量の生命 – A Whole Year per Year / Proliferating Immense Life – A Whole Year per Year
teamLab, 2020, Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi

現実世界と同じ時間の流れの中で、1年を通して、咲いていく花々が移り変わっていく。花々は誕生と死を繰り返しながら、増殖していく。増殖しすぎると、一斉に散って死んでいく。また、人々が観賞するための椅子に座ろうとすると、花々は散って死んでいく。

作品は、コンピュータプログラムによってリアルタイムで描かれ続けている。あらかじめ記録された映像を再生しているわけではない。全体として以前の状態が複製されることなく、人々のふるまいの影響を受けながら、永遠に変化し続ける。今この瞬間の絵は二度と見ることができない。

■冷水エリア
円相を通り抜けて / Walk through the Light Circle
teamLab, 2021, Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi

空間に円相が生まれる。身体ごと円相を通り抜ける。

禅における書画のひとつ「円相」(円形を一筆で描いたもの)を空間に一筆(空書)で描いている。

禅において、円相は、古来は空中に杖などで円圏を描いて表されたりしてきた。そして、悟りや真理、宇宙全体、そして平等性を象徴的に表現したものとされる。 見る人の心を映し出す円でもあり、解釈は見る人に任せられる。

円相に迷い込んで / Step into the Light Circle(制作中)
teamLab, 2021 (work in progress), Interactive Digital Installation, Sound: Hideaki Takahashi, teamLab

 

空間に円相が生まれる。身体ごと円相の中に入り込む。中には別の世界が広がる。

禅における書画のひとつ「円相」(円形を一筆で描いたもの)を空間に一筆(空書)で描いている。

禅において、円相は、古来は空中に杖などで円圏を描いて表されたりしてきた。そして、悟りや真理、宇宙全体、そして平等性を象徴的に表現したものとされる。 見る人の心を映し出す円でもあり、解釈は見る人に任せられる。

■サウナエリア
呼応するランプのアレイとスパイラル – ワンストローク, Metropolis Tokyo / Array and Spiral of Resonating Lamps – One Stroke, Metropolis Tokyo
teamLab, 2021, Interactive Installation, Murano Glass, LED, Endless, Sound: Hideaki Takahashi

人が、ランプのアレイ(高密度に集合しているランプの塊)の底にある一番低いランプの下を通ると、そのランプが、強く輝き音色を響かせる。もしくは、人が各サウナ室に出入りすると、そのサウナ室の出入口付近のランプが、そのサウナ室の光の色に強く輝き音色を響かせる。

そしてそのランプの光は、最も近い二つのランプに伝播する。伝播したランプの光は、それぞれ同じように強く輝き音色を響かせながら、最も近いランプに伝播し、同じように連続していく。伝播していく光は、必ず、全てのランプを一度だけ強く輝かせ、それぞれ全てのランプを一度だけ通る二本の光のラインとなり、最後に、起点となった最初のランプで出会う。人々はきっと、同じ空間にいる他の人々の存在を感じるだろう。

一見バラバラに配置されたランプは、それぞれのランプから三次元上で最も距離が近いランプに線を引いたときに、(始点と終点が同じの)一筆書きできる一本のつながった線(unicursal)になるように配置されている。ランプがこのように配置されることによって、人に呼応したランプの光は、最も近いランプに伝播しているだけにも関わらず、一筆書きのように全てのランプを必ず通り、そして必ず一度だけしか通らない。

ランプの配置に関しては、空間上のランプの配置を数学的に求め、ランプの高さ方向の分布のばらつきと、3次元的な経路(光の軌跡)のなめらかさを定量化し、多数の解に対して評価を行った。

ランプの平面配置は、ランプを吊るために、均一な千鳥配置であり整然としたグリッドになっている。これが一つ目の制約となる。二つ目の制約としてランプの高密度な集合が楕円球の塊になるように設定する。そして全てのランプから、三次元上で最も近いランプに線を引いたときに、起点と終点がつながったたった一本の線(unicursal)になることが三つ目の制約である。

このようなプロセスによって生まれたランプの配置は、一見ランダムのように見えるために、光の軌跡が予測できず飽きないが、実際は、物理的に一番近いものに光が連続していくため、まるで火が燃え移っているかのように自然に感じる。

これは、空間が固定化されていることを前提とした静的な美しさではなく、人々がこのランプに近づくことによって生まれる動的な美しさとも言える。それは、デジタルテクノロジーによって変化そのものを自由に設計でき、人の存在による空間の変化や動きを受け入れた新しい時代の空間のありようである。

ランプシェードは、ムラーノ・ガラス(ベネチアン・グラス)で制作した。

サウナ施設については以下の通り。


サウナ
男女共用サウナ5室、女性専用サウナ2室を備えている。ロウリュサウナなど、低温多湿から高温ドライまで、様々な温度・湿度を組み合わせた7室を備えているので、サウナ初心者からサウナ愛好家まで楽しんで入ることができる。

また、サウナ室ごとに、白樺・ジュニパー・かんきつ・ほうじ茶などの香りや、焚き火・洞窟の川・水琴窟・森の風・炎など、様々な環境音や音楽を体験可能。

なお、ほうじ茶は、九州・嬉野のEN TEAによってサウナ用に配合・焙煎したもので、サウナシュラン2年連続1位の御船山楽園らかんの湯でも使用されている。

冷水
冷水浴は、チラー(冷却器)によって冷やされ温度が一定に維持された、冷水シャワーを完備。直径30cmのシャワーヘッドを、頭上(オーバーヘッド)および肩口の計2か所に設置している。

頭上から大量の冷水を浴びることができる。また、髪を濡らしたくない方などは、肩口から冷水を浴びることも可能。

冷水エリアは2箇所、それぞれが水の作品空間となっており、身体ごと作品に没入する。

温水シャワー
男女別更衣室に、温水シャワールームを備えている。
シャンプー、コンディショナー、ボディソープ、メイク落とし(女性専用)を無料で利用可能。

更衣室・パウダールーム
男女別更衣室のパウダールームには、化粧水、乳液、くし、ドライヤーを完備。

展覧会コンセプトは以下になる。

世界と時間に再びつながる
チームラボリコネクトは、高級な場所でアートを見るのではなく、あなたが最高級な状態になってアートを体験する、チームラボによるアートとサウナの新しい展覧会。

サウナによる超温冷交代浴によって、脳を開き、どこまでも広がっていく身体感覚でアートと一体となる。心と身体と環境が、自分という存在の全体性であることに気付き、世界と時間に再びつながる。

アートとサウナによる新しい体験
「ととのう」とは、超温冷交代浴(サウナ・冷水・休憩を繰り返すこと)によってもたらされる、脳科学的にも非常に特殊な状態。

「ととのう」ことによって感覚が鋭くなり、頭はすっきりし、美しいものは、よりいっそう美しく感じられ、普段の感覚では気がつかない体験を得ることができる。

Supernature Phenomenon
チームラボリコネクトでは、チームラボの新たなアートプロジェクト「Supernature Phenomenon」をテーマにした新しい作品群を含む、複数の作品が公開される。

「Supernature Phenomenon」とは、自然界の法則を超えた現象を意味する「超自然現象」と、それによる認知そのものの変化をテーマにしたプロジェクト。

万有引力に逆らうなどの超自然現象をただ見る過程で、人々の認知そのものが変化し、その認知の変化が人々を「日常とは違った状態」へと導くとチームラボは考えているという。

開催概要は以下になる。

チームラボ & TikTok, チームラボリコネクト:アートとサウナ 六本木
reconnect.teamlab.art
#チームラボリコネクト #チームラボサウナ
会場:TikTok チームラボリコネクト
会期:2021年3 – 8月(予定)
主催:チームラボリコネクト実行委員会
協賛:TikTok
サウナ室監修:メトス