「エレベーター内のコロナ曝露リスク」マスク着用で50%低減 米オーチスが公表

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オーチス・ワールドワイド・コーポレーションは、エレベーター内での新型コロナウイルスへの曝露の可能性について3ヶ月にわたる学術調査を実施し、その成果を発表した。

同調査では、エレベーター内の空気の流れが新型コロナウイルスへの曝露の可能性にどのように影響するか、また科学的アプローチに基づいてエレベーター内でのウイルスへの曝露を低減させるにはどうすれば良いかについて調査しているという。

調査結果によると、ほとんどのエレベーターでは大量の空気の入れ換えが行われており、全ての乗客がサージカルタイプのマスクを適切に着用し、通常の空気浄化システムを採用するといったシンプルなリスク低減策と組み合わせることで、エレベーター内でのウイルス曝露リスクを他の活動と比べて低く抑えられることが分かったとのことだ。

こうしたシンプルなリスク低減策をとれば、短時間のエレベーター乗車によるウイルス曝露リスクは、他の日常的な行動に比べて低くなるとしている。

例えば、エレベーター乗車によるウイルス曝露リスクは、屋外での食事よりも低リスクであり、スーパーに買い物に行くことと同等であるという結論が得られたという。

今回の調査は、米国パデュー大学の機械工学科、ジェームズ・G・ドワイヤー教授こと、チンヤン・チェン博士の主導のもと実施。

チェン博士は、屋内空調システムによる感染拡大とその防止対策に関する研究で広く知られ、また、博士は、高度な計算流体力学(CFD)モデリングを活用し、屋内環境、飛行機の客室、建物の設計と解析の分野にフォーカスした研究を行っている人物。

なお、呼吸器からの飛沫とエアロゾルが主な感染経路として科学的に指摘されているため、今回の研究では空気の流れ、換気の頻度と方法、空気清浄技術(特にニードルポイント双極性イオン化(NPBI)技術)、マスクの適切な使用に着目。

チェン博士の研究チームは、ウイルスへの曝露の頻度、持続時間、強度を定量化し、曝露の可能性を評価した。

エレベーター乗車時間は、通常は1分以内と短時間であり、2分間エレベーターに乗る場合の複数のシナリオをモデル化して、相対的なリスクを評価したという。

ウイルス曝露の強度は、空気の入れ換えや通気の状況に左右され、他の多くの室内空間と比べて、エレベーターは十分な換気の仕組みを持って設計されており、規則によって換気孔を備えることが求められているとのことだ。

また多くのエレベーターでは、通気性を高めるためにファンを備えているという。

 チェン博士は「空気の換気は重要です。我々の調査では、他の曝露状況と比較した場合、エレベーター内の通気性が高いほどウイルスへの曝露の機会が減るという結論が得られました。全てのエレベーターの乗客が適切にマスクを着用すると、相対的な曝露リスクは50パーセント低下します。NPBIという空気清浄技術を用いた場合、さらに20~30パーセントの低減が可能です」と述べている。

定性的に比較した場合、全ての乗客がマスクを着用していれば、エレベーター乗車は曝露リスクの低い部類に入り、相対的リスクとしては、スーパーでの買い物と同等としている。

オーチス・ワールドワイド・コーポレーションのマーケティング&セールス担当の副社長ロビン・フィアラは「エレベーターの感染リスクに疑問を持っている多くの人のために、科学で実証された回答を提供したいと考えています。利用者の皆様に必要な情報を提供し、誤解を少なくするためにも、この研究結果を正式な公表に先立って広く共有させていただきます」とコメントしている。

なお、同調査は米国における調査結果に関するプレスリリースの和訳であり、日本にはそのまま当てはまらない可能性があるとしている。

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