無印良品を展開する良品計画は、日本民藝館が所蔵する作品の移動展覧会「民藝 MINGEI 生活美のかたち展」を2021年3月19日から5月9日まで無印良品銀座 ATELIER MUJI GINZAにて開催すると発表した。
異なる時代に生まれた民藝運動と無印良品は、それぞれが消費社会において、流行や生活様式の変化を受けながら自らの原点に問いを投げかけ続けてきた。
この移動展覧会「民藝 MINGEI 生活美のかたち展」は、未来の無印良品に向けた新たな旗を立てるべく、日本民藝館の協力を得て民藝の美に学びながら、これからの道しるべを見出すためのメッセージを創造していく展覧会。
無印良品はその名のとおり、日用品が主張することなく、日々のくらしのなかに溶け込んでいくように、ものづくりを続けている。
企画キュレーションを担当した深澤直人氏は以下のようにコメントしている。
「無印良品のことを現代の民芸、あるいは現代の民具だという人がいます。
もちろん製作手段の違いはありますが、製品に作者の名を記さないことや装飾をしない無我で誠実なものづくりの姿勢などに、互いの共通点があると思います。しかもそのものたちは静かに用に即した美を放っています。
「民藝(民芸)」は1925 年に柳宗悦らが命名した言葉であり、「民衆の工芸」のことを指します。観賞用としての雅な逸品ではなく、大衆に向けて作られた温もりを宿す実用の手工芸品の中に、健全で尋常な美が宿っていることを柳は見出しました。
われわれの日常や生活に寄り添う独自の「ものの美学」を提唱した柳宗悦は、自らが蒐集した17000点に及ぶ民藝品とその美学を多くの人々と共有したいと願い、1936 年に日本民藝館を設立しました。
日本民藝館は未だその美学を発信する民藝運動の基地として存在しています。
一方の無印良品は、印のついたマーケティング戦略に基づいたものづくりに抵抗し、質素で豊かな真の価値を目指して1980 年に設立されました。
それはプロダクトによる現代の民藝運動と言えるかもしれません。人々が心の奥底で大切に思っている、平和で何気ない日常の生活に寄り添って行くこと。日本民藝館も無印良品もそのこころは変わらないと思います。
美を生み出す力の源泉たる「民藝」。そのエッセンスを紹介する「民藝 生活美のかたち展」が、未来に向けたものづくりへの試金石となれば幸いです。」