2021年2月25日に、Tellusの新ツールとして2時期の衛星画像における変化を抽出することができるTellus-DEtector on Urban ChangE、通称「Tellus-DEUCE」の提供が開始されました。

「Tellus-DEUCE」は、さくらインターネットが開発を取りまとめ、AIの社会実装を手がける株式会社ABEJAがアルゴリズムを実装したものです。Tellusマーケットで無料購入することで、2時期の衛星データの変化を抽出することができるツールのプロトタイプをTellus OS上で利用することができます。また、APIとして解析環境でも利用することも可能です。

詳細は以下のプレスリリースをご覧ください。

衛星データプラットフォーム「Tellus」、ディープラーニングで衛星画像の差分を自動抽出するツールの無料提供開始~衛星画像から、街や建物の変化を自動解析することが可能に~

本記事では、リリースされたTellus-DEUCEの概要と、Tellus-DEUCEによって何ができるようになったのかをご紹介します。

Tellusとは

Tellusとは、衛星データを利用した新たなビジネスマーケットの創出を目的とする、クラウド環境で分析ができる日本発のオープン&フリーなプラットフォームです。

衛星データだけではなく、人流データや気象データなどの様々なデータを搭載しており、データの掛け合わせから新たなビジネス創出を促進します。

新たなビジネス創出を促進するために、Tellusでは以下の6つの機能を提供しています。

2019年2月21日のローンチより約2年が経過した2021年2月現在、Tellusの登録カスタマー数は20,000人を超え、随時様々な施策やアップデートを行っています。

データ・API、アルゴリズム、アプリケーションといったツールを売買できるマーケットも本格始動しており、様々な企業のツールが実装されておりますので、ぜひご覧ください。

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開発背景

さくらインターネットとABEJA社は、Tellusの開発と利用促進を共に目指す「xDataAlliance」のパートナーシップを結んでいます。今回リリースされた「差分抽出ツール/Tellus-DEUCE」は、さくらインターネットが開発を取りまとめ、ABEJA社のディープラーニング技術を用いてアルゴリズムを実装したプロトタイプツールです。マーケットにて、Tellus公式ツールとして無料で提供されます。

宙畑メモ:xData Alliance
Tellusの開発と利用促進を目的に組成されたパートナーシップ。宇宙関連企業に留まらず、さまざまな業種の企業が参画している。

今回のツールのように2時期の衛星画像における変化を抽出することができると、海外など遠隔地の建物の建設状況や災害の影響などを把握することができます。

不動産業界では建物の建て替わり、金融業界では都市の経済成長、保険業界では災害の被災範囲、商社・建設業界では海外での工事や開発の進捗状況の把握など、様々は業界での利用が期待できます。

以前、ABEJA社に今回のプロジェクトに対する想いについてインタビューを行っており、その中でプロジェクトマネジャーであるABEJA社の佐久間 隆介さんは、「画像認識・画像処理などを駆使して、同地点の異なる期間の衛星データを比較することによって、様々な地形の変化、建物や都会の進化度合などがどう移り変わってきたのかということを、遡って分析することができるかもしれない。さらには、未来予測ができるかもしれない」といったコメントも述べています。

佐久間さんの衛星データと機械学習の親和性に対する熱い考えは、今後の宇宙ビジネスをよりイメージしやすくなる内容となっておりますので、ぜひご覧ください。

機能の紹介

Tellus-DEUCEは、任意に選択された2つに時間軸の衛星画像における変化(差分)を、ディープラーニング技術によって自動的に抽出することができるツールです。

マーケットにてAPIとアドインの両方で提供しておりますので、開発環境を持っていなくても、TellusOS上で差分抽出を行うことが可能です。

Tellus OSでは、もともと以下の図のように、2画面で衛星画像を見比べることができます。例えば、以下の画像は福岡市の2015年8月2日と2019年5月15日を比較した2つの衛星画像です。

このように、2つの画像を比較して、目視で変化のパターンを探すことも可能ですが、Tellus-DEUCEを利用することによって自動的に変化した個所を抽出しその変化を可視化することができます。

以下の画像は上記2枚の画像の差分を抽出したものです。画像上部に停泊している船が2015年にはあり、2019年にはなくなっていることがわかるかと思います。

現在、Tellus-DEUCEでは「AVNIR-2」と「ALOS-3相当データ」の差分を抽出することができます。エリア面積は約6〜7km四方、データサイズとしてはAVNIR-2:約2MB、ALOS-3相当データ:約20MBです。

また、TellusにはTellus-DEUCEと同じように、もう一つの2時期の衛星画像を比較するツールとして「TelluSAR」が既に実装されています。

「Tellus-DEUCE」は光学データでの差分を抽出したツールであり、「TelluSAR」はSARデータを利用したツールとなっています。

光学データとSARデータでは以下のような特徴があり、それぞれの長所・短所を理解して使い分けるとよいでしょう。

TelluSARの詳細につきましては以前に宙畑記事でもご紹介していますのでこちらをご確認ください。

まとめ

Tellus-DEUCEで2時期のデータの変化を自動で抽出できるようになったことで、今まで目視や、定点観測しなければ確認できなかったことを効率化することができます。衛星データのように広範囲の情報を自動抽出することで、都市の変化や災害時の状況把握や、今後の対策などに活かせる可能性があります。

本記事でTellus-DEUCEについて興味を持っていただいた方は、ぜひ以下のリンクからTellusへ登録し、マーケットページへログインしTellus-DEUCEを利用してみてはいかがでしょうか。

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