Amazon.com, Inc.の関連会社であるAmazon Web Services, Inc.(AWS)は「APACのデジタルの可能性を拓く:変化するデジタルスキルへのニーズと政策へのアプローチ」と題した調査レポートを発表した。

戦略・経済コンサルティング会社AlphaBetaにAWSが作成を委託した同レポートでは、今日の労働者が活用するデジタルスキルを分析し、2025年までの5年間に、アジア太平洋地域6か国(日本、オーストラリア、インド、インドネシア、シンガポール、韓国)で求められるデジタルスキルを予測。

堂調査によると、日本では2025年までに追加で2,950万人のデジタルワーカーが必要となることが明らかになったとのことだ。

これは現在の水準に対して76%増にあたり、スキルアップが必要な現在の非デジタルワーカー、2025年までに入職する学生、就業機会を得るために基本的なデジタルスキルの習得が必要な失業者や、その他の離職者の人々が含まれるとしている。

インクルーシブな経済成長に向けて、デジタルスキルを習得していない今日の労働者、学生、離職者のスキルアップとトレーニングが重要に

同調査では、日本における500人以上のデジタルワーカーを対象とし、テクノロジーの専門家、ビジネスリーダー、政策立案者にインタビューを実施。

その結果、日本のデジタルワーカーの4人に1人以上が、現在はクラウドコンピューティングスキルを活用していないものの、2025年までに業務でそのスキルが必要になると考えていることが明らかになったという。

日本で最も需要の高いスキルは、クラウドアーキテクチャ設計、大規模なデータモデリング、ウェブ/ソフトウェア/ゲーム開発という結果に

クラウドアーキテクチャ設計は、今後5年間で、日本で最も急速に需要が高まるスキルの1つ。加えて、大規模なデータモデリング、Web/ソフトウェア/ゲーム開発、ソフトウェアの運用サポート、大規模なデジタルプロジェクト管理などが日本の労働者に必要とされているスキル上位5位にランクインしている。

また、日本のIT業界では、クラウドへの移行を支援する知識を持った専門家の不足が深刻化すると予測しているとのことだ。

イノベーション推進に向けて、日本の製造業や小売業など非IT業界でクラウド技術者の需要が高まる

今回の調査では、クラウド技術が製造業や小売業などの非IT業界においても求められていることも指摘。

同業界の労働者が、今後5年間で、業務においてクラウドアーキテクチャ設計のスキル習得が必要になると考えていることも明らかになった。

例えば、日本の自動車メーカーでは、クラウドスキルを持った従業員に、デジタルチャネルを介して公営・私営交通機関の予約・決済が可能なMaaS(Mobility as a Service)基盤の構築を任せるなどのニーズが想定される。

また、日本で最も進んだクラウドサービスのユーザーでもある小売業界では、高度にパーソナライズされたソリューションを顧客に提供するために、分析サービスに対する強い需要があるという。

テクノロジーの発展と需要に対応するには、2025年までに+2,950万人のデジタルワーカーが必要

デジタル技術を業務に活用する個人をデジタルワーカーと定義すると、デジタルワーカーは現在の日本の全労働者の58%を占めており、テクノロジーの発展と需要に対応するには、日本では2025年までに追加で2,950万人のデジタルワーカーが必要となる。

また、そのほかに、個々の労働者は平均して7つのデジタルスキルを新たに身につける必要があるとのことだ。

2020年から2025年までの5年間でデジタルスキルを習得する必要のある労働者数は76%増加する可能性があり、これは合計4億7,900万回ものデジタルスキルトレーニングが必要になることを意味しているという。

デジタルスキルをすでに活用している労働者もスキル向上が求められ、今後5年間で求められるデジタルスキルトレーニングの半分が現在のデジタルワーカー向けになると予測される。

4億7,900万回のスキルトレーニングの実施により、日本は労働者のスキルアップとリスキルに協調して取り組むことで、よりインクルーシブな経済成長を実現できるという。

また、これらの取り組みにより、現在の労働者にはデジタルツールを活用した生産性向上が、離職者にはより多くの就業機会を実現できると予想されるとのことだ。

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