ウェザーニューズ×トヨタ、コネクティッドカー情報で道路凍結を推定する実証実験開始

ウェザーニューズはトヨタ自動車(以下、トヨタ)と、ウェザーニューズが持つ気象データとトヨタのコネクティッドカーから得られる車両データを活用して、気象観測・予測の精度向上やドライバーの安全性向上を目指す共同研究を実施している。

同共同研究の一環として、車両データと気象データから道路の凍結箇所を把握するための実証実験を、2月22日より47都道府県で開始すると発表した。

今回実施する実証実験では、車のブレーキの稼働状況や走行データ等を用いて、車輪がスリップしたとみられる箇所を検出し、その場所の気温や降雪・降雨などの気象データと合成することで、道路の凍結箇所を推定。

推定した凍結箇所は、実証実験の期間中ウェブサイトにリアルタイムで公開するほか、ウェザーニュースアプリのユーザーから寄せられる天気に関する報告や写真、コメント等を元に検証を行い、システムの精度向上を図るとのことだ。

ウェザーニューズはトヨタと、同共同研究を通じて、気象データとコネクティッドカーから得られる車両データを「いざという時に役に立つ」情報として広く提供し、ドライバーのさらなる安全に寄与することを目指すとしている。

なお、実証実験では、トヨタのコネクティッドサービスを利用の車両から収集した車両データに統計処理を行ったうえで、個人が識別されない形で運用しているとのことだ。

◆車と気象のビッグデータで道路凍結のリアルタイム把握へ

冬型事故におけるスリップ事故の割合は9割前後にものぼり、スリップ事故に繋がる道路の凍結は、車の安全運転に大きく影響するという。

このため道路管理事業者は、道路への積雪や凍結が予想される場合には、除雪や凍結防止剤の散布を行い、スリップの防止措置を行う。しかし、道路の凍結箇所の把握は道路管理者の定点気象観測や巡回、ライブカメラ等による目視が主で、凍結箇所を全線で網羅的に、かつリアルタイムで把握することは非常に困難とされてきたという。

また、スリップの起きやすさを直接的に推定する手法もほとんど存在しないとのことだ。

同実証実験では、車のブレーキの稼働状況や走行データ等を用いて、車輪がスリップしたとみられる箇所を検出し、その場所の気温や降雪・降雨などの気象データと合成することで、道路の凍結箇所を推定。

路面が凍結しているかどうかは、気象データのみでは判断できない一方で、車輪のスリップの要因も複数考えられるため、スリップの検出だけではその場所が凍結しているかどうかは判断することができないとのことだ。

車両データと気象データの双方を掛け合わせることによって初めて、車輪のスリップに繋がる道路の凍結箇所の推定が可能に。

2020年1月19日、都内を含む関東で雨や雪が降った事例では、車両データにより合計5,026件のスリップが検出されたという。

◆道路の凍結箇所を推定する実証実験を2月22日より開始

同実証実験では、凍結箇所の推定結果を『路面凍結推定マップ』としてウェブサイトにリアルタイムで公開する。

また、ウェザーニュースアプリのユーザーから寄せられる天気に関する報告や写真、コメント等を元に推定結果の検証及び精度向上のためのシステム改良を行っていくとしている。

路面凍結やスリップのおそれがある地点をサイト上にリアルタイムで公開することで、個々のドライバーの安全運転に役立ち、同実証実験を通じて、簡易で網羅的に道路の凍結状況を把握することができるシステムを構築し、道路の安全管理への貢献とドライバーへの注意喚起などを通じた交通事故の防止、長期の立ち往生の回避など、安全な道路通行に寄与することを目指すとのことだ。

路面凍結推定マップ(サンプル)

<実施概要>

◆トヨタ×ウェザーニューズ
IoTとビッグデータで気象予測の精度向上やドライバーの安全性向上を目指す共同研究

昨今、激甚化する気象現象や気象災害が社会問題となっており、これまで以上に局地性・即時性のある気象情報やその対応策情報が求められている。

このようなニーズに応えるためには、より詳細で正確な気象状況をリアルタイムに把握することが必要であるが、既存の気象観測器は、設置場所や測定間隔が制限されてしまうという課題があるという。

一方でIoT技術の発達により、様々な機器が通信機能を持つ時代となっている。

車も同様で、IoT技術を持つコネクティッドカーからは走行データや車のコンディションデータが寄せられ、これらの車両データから車の走行や挙動に影響を及ぼす事象を捉えることが可能。

こうした背景からウェザーニューズとトヨタは、ウェザーニューズが持つ気象データとトヨタのコネクティッドカーから得られる車両データを活用して、気象観測・予測精度の向上やドライバーの安全性向上を目指す取り組みを開始。

従来のように気象現象を直接センサーで捉えるだけでなく、車両データと気象データというビッグデータを組み合わせて分析することによって、道路及びその周辺の実況把握への新たな活路が開けることが期待できるとのことだ。

両社は同取り組みの第一弾として2019年10月に道路冠水検知の実証実験、第二弾として2019年11月にワイパーデータを用いた実証実験を実施している。

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