大日本印刷、充填後の加熱殺菌処理に対応したパッケージを開発 バリア性と リサイクル性を実現

大日本印刷(以下、DNP)は、食品や日用品などの用途に使用できる、単一素材(モノマテリアル)で構成したリサイクルしやすいフィルムパッケージを2018年から開発・提供している。

今回DNPは、食品などの内容物充填後にボイル殺菌・レトルト殺菌となどの加熱殺菌処理をしても酸素や水蒸気などに対するバリア性を保持する「DNPモノマテリアル包材 PPボイル・レトルト仕様」を開発したことを発表した。

「DNPモノマテリアル包材 PPボイル・レトルト仕様」は、これまで培ってきたDNP独自のコンバーティング技術を活かして、酸素や水蒸気などに対するバリア性を保持し、内容物の長期保存に適したモノマテリアルのパッケージ。

ポリプロピレン(PP)の単一素材で構成されているため、リサイクル適性が向上し、パッケージの製造、廃棄工程でのCO2排出量や廃棄物量の削減を実現するという。

充填後のボイル殺菌(100℃以内の湯煎)、レトルト殺菌(100℃度を超える加圧加熱殺菌)に対応。

従来のモノマテリアル包材は、加熱殺菌処理後のバリア性に課題があったが、「DNP透明蒸着フィルム IB-FILM」の透明蒸着技術を応用することで、殺菌処理後もバリア性を維持できるパッケージを開発した。

「袋タイプ」と「プラスチック容器用の蓋タイプ」のラインアップがあるという。調理済みのスープ、惣菜、味付けライスなどのレトルト食品ペットフード、フルーツやゼリーなどの加熱殺菌処理が必要なプラスチック容器用の蓋など、幅広い用途で利用できる。

欧州の軟包装業界で循環型経済を推進するコンソーシアム「A Circular Economy For Flexible Packaging (CEFLEX)」のガイドラインに準拠した設計ができる。

製造は、DNPグループとして品質保証体制を構築しているDNPインドネシアやDNPベトナムでも可能で、グローバルな市場に対応しているという。

海洋プラスチックごみ汚染問題をきっかけのひとつとして、使用後のプラスチックを資源として再利用するリサイクルの取り組みが全世界で加速している。

特に、グローバルに活動を展開するコンソーシアムや企業などは、パッケージを一定以上もしくは100%リサイクル可能または再利用可能にするといった環境方針や宣言などを発信している。

また、内容物の長期保存や調理時間の短縮などへのニーズも高く、特に水分・油分を多く含む調理済み食品やレトルト食品、ペットフードなどの需要が伸長しているという。

こうした商品は、充填後の高温加熱殺菌処理が必要であり、従来のモノマテリアルパッケージでは処理後のバリア性や内容物の保存性に課題があった。

この課題に対してDNPは今回、グローバルに事業を展開する企業を中心に環境に配慮したパッケージへのニーズが高まっていることを受けて、国内・海外の市場に向けて「DNPモノマテリアル包材 PPボイル・レトルト仕様」を開発したとのことだ。

同社は、今後も高度なコンバーティング技術を活かして、バリア性や耐熱性、耐久性などを高めた製品ラインアップを拡充し、プラスチック使用量やCO2排出量の削減に向けた製品・サービスの開発に努めていくとしている。

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