ベネッセG、コロナ禍での従業員の「仕事と介護の両立」へ 「介護リテラシー」アップで介護離職を防ぐ

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ベネッセグループでは、2018年度から健康経営を本格的にスタートし、人事部門を中心とした健康経営プロジェクトチームが、毎年の課題分析に基づいた社内活動に取り組んでいるという。

2020年度は、従来の健康課題に加えて、”コロナに負けない健康づくり”もテーマに追加。

同グループでは、従業員の平均年齢の上昇に伴い、グループ内で仕事と介護を両立する従業員が今後5年で倍に増える見込みから、「仕事と介護の両立支援」が大きな課題となっているという。

そこに、新型コロナウイルス感染拡大の影響も加わり、今年度、今後介護を必要とする家族を持つ従業員は、家族と長期間会えない状況やテレワーク環境下での介護など、従来予想していなかった大きな不安に直面することになった。

こうした従業員の環境変化を受け、同グループでは今年度の健康経営推進活動の視点を、従業員の家族の健康や介護まで拡げ、仕事と介護を両立できる職場の支援体制や風土を整備するプログラムを実施。

同プログラムでは、グループ会社、ベネッセシニアサポートによる法人向けの仕事と介護の両立支援サービス「ベネッセのWork&Care」の事業リソースを活用し、2020年10~11月に「オンライン研修」「ハンドブック配布」の2つを実施することで、グループ内の「介護リテラシー」向上に取り組んだという。

ベネッセグループでは、このような取り組みを通して、従業員が仕事と介護を両立して持続的に働き続ける環境づくりを推進していくとしている。

【グループにおける課題】

●2025年に、家族の介護が必要になる従業員が「倍増」する見込み

グループ従業員の状況を分析したところ、平均年齢が上昇し、介護が必要な家族を抱える世代が増えつつあることがわかったという。

こうした動向予測に加え、新型コロナの影響により介護が必要な家族に長期間会えない状況も生まれるなど、従業員の家族に対する健康・介護の危機感は大きくなっているとのことだ。

さらに、出社と在宅のハイブリッド勤務という新しいワークスタイルとなった会社では、部下が介護の悩みを抱えていても把握しにくい状況もあり、円滑な両立支援には管理職側の「介護リテラシー」獲得が急務と判断したという。

【今回の取り組み詳細】

今回の活動で、健康経営プロジェクトチームでは、2015年から企業等向けの「仕事と介護の両立支援サービス」に取り組んできたグループ内の介護離職防止のプロフェッショナル、ベネッセシニアサポートのリソースに注目し、連携企画として以下、2つのプログラムを実施。

(1)「仕事と介護の両立ハンドブック」

家族の健康や介護の課題に直面し、何らかの制約が出たとしても、ベネッセグループで働き続けられるよう、ベネッセシニアサポートと共に、介護に役立つ情報や、仕事と介護の両立に関する会社のスタンスなどをパンフレットにまとめ、2020年10月に国内外の従業員約5,800名へ配布。

「仕事と介護の両立」と聞いても「どのように介護の情報を取集したらいいのか」「誰に相談したら良いか分からない、相談しにくい」という悩みに答え、まずは最初の一歩を踏み出すためのきっかけ情報を提供する意図でまとめられた内容となっている。

(2)オンライン研修「介護と仕事の両立セミナー」開催

ハンドブック配布に続いて、2020年11月に仕事と介護の両立をテーマにした従業員向けオンライン研修を「一般従業員向け」と「管理職向け」の2パターンにわけて実施。

従業員向け研修115名・管理職向け研修70名が参加した。(いずれも主体性を尊重し、手上げでの参加)

このオンライン研修は、進研ゼミ中学講座のオンライン講座「エベレス」の基盤システムを活用し、ベネッセシニアサポートの講師による介護離職防止講座(全体向け講義)とリアルタイムのチャット機能によるQ&A対応(個別質疑)を組み合わせているとのことだ。

研修では、「フレイル」等の介護予防に必要な知見を提供するほか、いざ介護が必要になった時の具体的な対応を介護場面のみならず、職場での対応も併せて、ケーススタディをもとに考えていくとしている。

また、チャットでは、全員に見える公開のチャットと、講師側にしか見えない「こっそりチャット」を併用。

介護に関する状況や悩みは1人ひとり異なる。「こっそりチャット」では、話しにくい個別の相談を書き込むことができ、講師以外に待機しているベネッセシニアサポートの専門職の資格を持つスタッフが回答し、それぞれの悩みに応じたアドバイスをしていく仕組みになっているとのことだ。

【今回の取り組みの結果】

オンライン研修の事後に参加者アンケートを集計した結果、従業員層では、セミナーを受けて仕事と介護の両立が「できる」「できるかもしれない」と考えた従業員は90.3%に達したという。

また、主に部下のマネジメントの視点からのプログラムを受けた管理職の参加者では、セミナー内容について「役に立つ」「まあ役に立つ」というポジティブ回答が95.4%に。

○従業員から

「いざ介護となったときに何をすべきか、流れがよくわかった」
「介護の現状と、介護にどのように関わっていくべきなのかがよくわかった」

○管理職から

「心の準備ができ、するべきアドバイスについて、凡その理解をすることができた」
「部下との会話を具体的にイメージできたのも心強かった」

参加した従業員のアンケート回答からは、上記のように、従業員・管理職それぞれの立場から一定の知識を得て安心したという声が上がっており、職場の「介護リテラシー」アップに役立った模様が見て取れる結果となった。

さらに、参加者の約8割が「介護に関するお金リテラシー獲得」を希望しており、3月には同セミナーを追加実施することも決定。

今後も、従業員が成長実感を持ち生産性高く働くベースとなる健康施策の1つである「仕事と介護の両立」の取組みを継続し、ベネッセ健康宣言「イキイキ・ワクワク働ける職場作り」=ベネッセで働くことを誇りに思い、やりがいを感じられる施策を実施していくとしている。

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