富士フイルム子会社、新型コロナワクチン候補の原薬をテキサスにて製造開始

富士フイルム

富士フイルムは、バイオ医薬品の開発・製造受託会社(CDMO)であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ、以下、FDB)が、米国ノースカロライナ拠点に続き、米国テキサス拠点でも新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)ワクチン候補の原薬の製造を開始したことを発表した。

現在、FDBは、米国2拠点でCOVID-19ワクチン候補の原薬の量産を進めているという。

また、英国拠点においてもCOVID-19ワクチン候補の原薬の量産準備をスタートするなど、同ワクチンの迅速かつ安定的な供給に向けた取り組みを加速させているとのことだ。

FDBは、米国バイオテクノロジー企業Novavax,Inc.が開発中で、米国政府が立ち上げた官民連携プロジェクト「Operation Warp Speed」が開発を支援するCOVID-19ワクチン候補の1つでもある「NVX-CoV2373」の原薬製造を受託している。

米国ノースカロライナ拠点では、2020年7月より2,000L細胞培養タンクを用いて「NVX-CoV2373」の原薬の量産を開始しており、同時期にトランプ米国前大統領による視察が行われた。

今回FDBは、米国政府の助成の下、米国テキサス拠点で進めてきた、2,000L細胞培養タンク9基の設置を完了させ、「NVX-CoV2373」の原薬製造を開始。

今後、米国ノースカロライナ拠点と米国テキサス拠点の2拠点量産体制により、米国におけるCOVID-19ワクチン候補の迅速かつ安定的な供給に貢献していくという。

また、「NVX-CoV2373」の原薬の量産準備を進めている英国拠点には、2021年2月13日(英国時間)、ボリス・ジョンソン英国首相が視察。

今後、FDBは、米国ノースカロライナ拠点より移管した生産プロセス技術と2,000L細胞培養タンクを用いて、英国政府が調達する「NVX-CoV2373」の原薬製造を英国拠点で行っていくとのことだ。

「NVX-CoV2373」は、新型コロナウイルスの遺伝子情報をもとに作り出した抗原のタンパク質の一部を用いたCOVID-19ワクチン候補。

ノババックス社は、2020年8月より南アフリカで後期臨床第II相試験、同年9月より英国で臨床第Ⅲ相試験を開始。2021年1月には、各試験の中間解析結果として、主要評価項目を達成し有効性を示したことを発表している。

また北米では、米国やメキシコで臨床第III相試験を進めている。

FDBは、30年以上にわたる受託実績、高度な生産技術や最新設備を有し、ホルモン製剤や抗体医薬品、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセス開発に加え、少量生産から大量生産、原薬製造から製剤化・包装までの製造に対応できる強みを生かして、COVID-19ワクチン・治療薬候補の原薬製造を受託しているという。

なお、COVID-19治療薬候補の受託では、COVID-19の治療推進プロジェクト「COVID-19 Therapeutics Accelerator」が開発・製造を支援する、米国イーライ・リリー社の抗体医薬品の原薬の量産をデンマーク拠点で2021年4月より開始する予定とのことだ。

今後、FDBが有する、米国テキサス・ノースカロライナ、英国、デンマークの全拠点の製造インフラを活用して、COVID-19ワクチン・治療薬の開発・製造に協力していくとしている。

富士フイルムは、米国に続き、英国においても政府首脳による製造拠点の視察が行われたことは、COVID-19ワクチン供給が社会的な重要課題であることを示しているものと考えているという。

今後、COVID-19ワクチンのみならず、治療薬でも開発・製造が進む中で、顧客ニーズにあった高品質なバイオ医薬品を迅速かつグローバルに供給し、COVID-19の感染拡大の抑止や流行の終息に貢献していくとのことだ。

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