メルカリの研究開発組織「mercari R4D」が参画する「量子インターネットタスクフォース(Quantum Internet Task Force, 以下、QITF)」は、量子インターネットの実現までの道筋についてまとめたホワイトペーパーを発表した。
執筆は、mercari R4D Senior Researcherで、QITFの代表を務める永山翔太氏を中心に進めたという。
<ホワイトペーパーの主なポイント>
- 量子インターネットとは、量子情報技術による次世代通信インフラ。
現行型デジタルコンピュータでは不可能な計算能力を実現する量子コンピュータのように、現行型インターネットやbeyond 5Gなどのデジタルデータを伝送する通信基盤では不可能な通信能力・分散計算能力を実現することが期待されているとのことだ。
2.今回のホワイトペーパーは、人類の社会課題が量子インターネットの実現によってどのように解決されるか、生み出される社会像、そこにたどり着くために必要な研究開発について提言。
3.また、今後の研究競争力・産業競争力の双方を担保するためには、研究と開発が密接に関わるプロジェクトに携わる研究者に対して、論文になりにくい標準化活動やテストベッド構築のような成果を評価する仕組みが必要であることを、大学や競争的資金配分機関に対して提言するという。
<今後に向けて>
人類の財産であるインターネットの研究・開発・運用は、権力や責任を集中させないマルチステークホルダーモデルによって、今日までの健全な発展を遂げてきたという。
QITFでは、今回発表したホワイトペーパーをベースに、国内外の研究者や科学技術行政関係者と研究開発の協力に向けた議論を進めている。また、量子インターネットの健全な発展のため、協力者を募っているとのことだ。
mercari R4Dは、IT技術をバックグラウンドに量子インターネットアーキテクチャや通信プロトコルなどの研究に取り組み、QITFでの活動を通じて次世代インターネットの実現に貢献していくとしている。