将来の選択肢を広げるために。はじめませんか?『未来を想像してみる』という妊活

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妊娠・出産は、今の自分には関係のない遠い未来の話……。そう思っているハタチのみなさんもいることだろう。しかし、子どもを持つかどうかに関わらず自分らしい人生を選択するために、今から自分とパートナーの体について知識を深め、未来を想像しておくことも大切だ。

年齢に伴う体の変化を学び、自分らしい生き方を考えるオンラインイベント『ハタチからはじめる、みんなの妊活』が、2021年1月14日に開催された。

昨年第一子を出産したタレントの菊地亜美さんと、若者の代弁者として俳優の本田響矢さんが登壇。不妊治療を専門とする河村和弘先生(国際医療福祉大学 医学部 産婦人科 教授)より“妊活”について学びながら、若い世代にライフプランを立てることの大切さを呼びかける。

主催者であるメルクバイオファーマ株式会社HRヘッド松浦拓也さんは、開催に際し「年齢に伴う体の変化を学びながら妊娠・出産についての理解を深める場とし、自分らしい将来・未来を描き、自信をもって大人への第一歩を踏み出してほしい」と視聴者へメッセージを送った。

本記事にてパネルディスカッションの内容をたどりながら、ぜひAMP読者のみなさんも自分の未来を想像してみてほしい。

未来を想像できているか? ライフプランニングの実態

フリーアナウンサー・寺田ちひろ氏

進行役を務めるフリーアナウンサーの寺田ちひろさんからの「子どもを持つかどうかに関わらず、ハタチ前後からライフプランを考えることが必要か?」との問いに、本田さんは「考えることは大切だけれど、周りで考えている人は少ない。実際にはどう考えたらいいのかわからない人が多いのでは?」と回答。菊地さんも「明日どうなるかわからない仕事なので(笑)20代前半の頃は妊活に限らずまったく考えていなかった」と話す。しかし、菊地さんは2018年に挙げた結婚式の際に、夫と一緒に出産時期や住居のことなど50年間のプランを考えたという。

タレント・菊地亜美氏

本田さんと視聴者のみなさんには、自分の今を客観的に捉えてもらうため、内閣府が13歳~29歳までを対象に行った『我が国の若者の意識に関する調査』をもとに作成された5つの質問が投げかけられた。みなさんの現状はどうだろうか? 解答は○か×。

【○がゼロの人】
冷静に自分と向き合い、近い将来についてしっかりとしたプランを持っている可能性があるが、引き続きどのような人生を歩むべきかを考え、描いたライフプランと現実を結びつけよう。

【○が1~3個の人】
日々に追われて未来の自分を想像するのを忘れてしまいがち。何を目指し、どう進むのかはあなた次第。まずはライフプランを考えてみる時間を作ってみよう。

【○が4個以上の人】
今の自分を大切にしすぎて、将来の自分には無関心なのでは? 「知らなかったからできなかった」をなくすため、未来の自分を考えていこう。

俳優としてキャリアアップを目指す本田さんは、ライフプランを考える時間を必要とする○が3個の結果に。次の項では、急速に社会の在り方が変化する中、数十年前と比べて妊娠・出産に対するライフサイクルも大きく変わっていることがわかるデータが、河村先生より提示された。

俳優・本田響矢氏

ライフサイクルの変容と体の変化

国際医療福祉大学 医学部 産婦人科 教授 河村和弘先生(当日はオンラインにて参加)

女性の年代別の平均的なライフサイクルは以下のとおり。

1950年生まれの平均は、結婚が25歳、第一子出産が26歳、第二子出産が29歳であるのに対し、2000年生まれの平均は、結婚が32歳、第一子出産が33歳、第二子出産が35歳であると示された。50年前に比べ、妊娠・出産を当事者として考える年齢が遅くなっていることがわかる。河村先生のもとを不妊症で訪れる人も、妊娠・出産に対しては高齢と言われる40代が増えているという。

年代別の平均的なライフサイクルとその文化

ここで、本田さんご自身はどんな未来を想像しているのか。あらかじめ記入いただいたライフプランを発表した。

現在21歳の本田さん。23歳でドラマに主要キャストとして出演、25歳でドラマや映画で主演を果たし、27歳で賞を受賞。プライベートでは29歳で結婚し、31歳で子どもがほしいというものだ。60歳まで記入できるものだったが、10年後までが精一杯……。「仕事はこうしたいという思いがあるが、プライベートを考えるのが難しかった」と苦笑いを浮かべる。

それを見た菊地さんは、「仕事のことは相談する人がいるけれど、将来築き上げる家族のことは自分のことだけではないから難しい。自分がハタチの頃はもっと書けなかったかもしれない」と話し、「(経験上)30代まではあっという間なので、難しいけれどきちんと考えて実行に移すことが重要だと思う」と、本田さんへアドバイスを送った。

続いて、河村先生より、年齢に伴う体の変化は[乳幼児期→学童・思春期→青年期→壮年期→高齢期]のライフステージに分類され、生まれてから高齢期に至るまで我々の体にはどんな変化が起きているのかも解説された。

ハタチのみなさんは青年期に属し、女性は月経周期が安定して心身ともに成熟し、妊娠・出産に適した時期をむかえる。また、男性は精子の活動が高くなりその数も多くなる。パートナーとともに妊娠・出産について考えるのに適した時期だ。しかし、現在のライフサイクルと照らし合わせると、実際の妊娠・出産の平均は青年期ではなく、30代に入った壮年期へシフトしている。

ライフステージと体のその変化

河村先生は「妊娠・出産には適齢期があると知識として身につけることが大切。そして、自分の体だけではなくパートナーはどうなのか?を考えておいていただきたい」と述べた。子どもを持つかどうかに関わらず、妊娠・出産について知識を深めることも妊活のひとつだと言える。

女性と男性を比べると、女性の方が男性よりも早く妊娠における適齢期を迎えることが一般的にも知られているが、それはなぜなのか? 次に、ライフプランを考えるヒントとなる『妊活にまつわるウソ・ホント』をクイズ形式で学んだ。

クイズ形式で知る、妊活にまつわるウソ・ホント

解答は○か×。読者のみなさんも一緒に考えてみよう。

【答え】

Q1 ×

卵子の数が一番多いのは胎児の時であり、約20週まで増加し、その後は減少に転じる。出生後に新しく作られることはなく、年齢とともに減少する。

女性の各年齢における卵子の数の変化

Q2 ○

卵子は出生後に新たに作られることはないため、加齢とともに質・量ともに低下する。そのため、女性が自然に妊娠する力は30歳頃から低下し、35歳前後からは流産率が上昇するほか、妊娠高血圧症候群、前置胎盤など、妊娠・出産のリスクが高くなる。また、男性の精子は思春期以降1日に数千万個作られるが、加齢とともに妊娠率が低下することが指摘されている。

Q3 ×

不妊の検査や治療を受けたことのあるカップルは、約5.5組に1組。不妊を心配したことのあるカップルの割合は、約3組に1組と言われている。不妊の原因を男女比で見ると、女性だけに原因があるとされるのは41%、男性だけに原因があるとされるのは24%、男女ともに原因があるとされるのは24%で、約半数は男性にも原因があることがわかる数値である(残りの11%は原因不明)。このことから、女性ひとりではなくカップルで検査や治療を受けることが重要となる。

不妊の検査や治療を受けたことがある夫婦の割合

Q4 ○

米国ハーバード大学の研究で、ぴったりとした下着よりもトランクスを履いている方が精子の濃度が25%高いことが示された。原因は精巣の働きは高い温度に弱く、睾丸が温まってしまうのが原因とされている。

Q5 ×

厚生省のデータによると、科学や医療の進歩により約17人に1人が体外受精などの生殖補助医療(不妊治療)によって生まれている。一般的に年齢が上がるにつれて妊娠しにくくなると言われており、不妊治療における分娩率は、35歳ぐらいまでは15~20%を推移し、36歳になるとさらに減りはじめ、40歳で7.7%、45歳で0.6%と1%を下回る。医療の力をかりて不妊治療を受けたとしても、必ずしも妊娠・出産に至るわけではなく、望みが叶わないこともある現状だ。

そのため、河村先生は「できるだけ早いうちからライフプランを考えることが大切である」と伝えた。

菊地さんは「卵子の数が減っていくことは知っていたものの、胎児の時がピークだとは知らなかった」と驚きの表情を見せる。そして本田さんは「最終的に治療をすれば子どもは授かると思っていたけれど、そんなことはないのだと知れたことが良かった。自分の体を大事にすることが必要。周りにも知ることの大切さを伝えていきたい」と、考えを新たにした。

「自分らしくあるための環境をサポート」日本航空が実施する不妊治療休職制度

妊活への不安は、個人個人の知識不足だけではなく、社会や企業のサポート体制が整っていなかったり、制度はあるものの周知されていなかったり、あるいは制度を利用しづらい環境であることが多い。妊活に対して協力的である企業、そして理解のある社会の実現が求められている。

日本航空株式会社 人財戦略部 人財戦略グループ 関剛彦氏

そこで、妊活を積極的にサポートする企業を代表し、日本航空株式会社 人財戦略部 人財戦略グループの関剛彦さんが、自社の妊活サポート制度を紹介した。

日本航空では、2016年4月より『不妊治療休職制度』を導入。社員が一定期間不妊治療に専念することで、福祉向上の一助となることを目的としている。詳細は以下のとおり。

【適用対象】高度な不妊治療(体外受精・顕微授精)を受けるため休職を申し出た社員
【休職期間】1年以内
【回数】在職期間中、1回

この制度を導入した背景には、多くの女性が在籍(全体の63.5%)していること、また、人財戦略として、日本航空の翼を支える一人ひとりの多様な個性を価値創造につなげる、ダイバーシティ&インクルージョンの推進が挙げられる。

菊地さんは「不妊治療は体力的にも精神的にも大変だと思うので、しっかり休養しながら向き合えるのがいい。だからJALのみなさんは笑顔でいられるのですね!」と語り、河村先生は「素晴らしい取り組み。新型コロナウイルスの影響で大変な時期かと思いますが、ぜひこういった制度を続けてほしい」とエールを送った。

ハタチから考えるライフプラン。未来を想像するために必要なこと

最後に、イベントを通して学んだことを踏まえ、ハタチから考えるライフプランについて、それぞれから提言がなされた。

河村和弘先生「不妊予防」
「“不妊予防”は、医療サイドから伝えたいキーワードです。卵子の老化や数の減少は36歳を過ぎる頃から起きてきます。いつでも妊娠できるわけではなく、妊娠に適した時期が短いのが特徴です。生理痛や生理不順の中には病気が隠れている場合もあるので、早期に発見し、不妊症になってしまう前に対処することが大切です。そして、オプションとして、若い頃に卵子を凍結保存する方法もあります。卵子の老化を止めることができますし、若いうちに採った卵子であれば、年齢を重ねていても元気な卵子を使うことができます。男性であれば、クイズにもありました下着の話や、喫煙、下半身に電子機器を近づけるなど(研究によっては結果が異なるものもある)、精子に影響を与えると言われている生活習慣があるので、不妊の予防は男性も行えるものです。ぜひ“不妊予防”を早くから考えていただければと思います」

菊地亜美さん「将来の自分が楽しめるように」
「今日はとても勉強になりました。私は妊娠する前にブライダルチェック(女性特有の疾患や感染症がないかを検査すること)を受けたことが良かったと思います。もし受けていなければ、妊娠した後に何かが発覚しても治療をできないということもあるので、自分の体と向き合うことが大事。将来、この先もずっと楽しむことを考えると、若いうちから自分の体を知っていくことが大切だと思います」

本田響矢さん「自分に関係ないは無い!」
「まだ若いし関係ないと思っている人が多いと思いますが、そうは言いながらも、将来は子どもがほしいという話になります。でも具体的に考えているかと言えばそうではない……。今日話を聞いて、きちんと考えて知識を身につけておくことが大事だと学びました」

「今は仕事を頑張りたい」「ステキな恋愛がしたい」といった、目の前のことを考えることはあっても、なかなかその先の妊娠・出産について考えているハタチのみなさんは少ないかもしれない。でも、新たに提案したい妊活とは、病院へ行き、妊娠・出産を目的とするものばかりではなく、その前段階として体についての知識を深めることからはじまる。そして、女性だけではなく男性も一緒に取り組むべきことだ。

将来子どもを持つかどうかに関わらず、人生の選択肢を増やすために学び、自分らしい未来を想像してみてはいかがだろうか。

文:安海まりこ

■YELLOW SPHERE PROJECT/YSP
妊娠を希望してもなかなか叶わないという“社会課題”に対し、製品やサービス提供にとどまらず、妊活や不妊治療をする人々を支援し応援するプロジェクトです。目指すところは、より多くの人に適切な情報を伝えて、サポートの輪を広げ、人々の充実した暮らしという未来をつくることへの貢献です。新しい命を宿す為の努力を、皆が応援する社会へ。それが、YELLOW SPHERE PROJECTの先にある未来です。
https://www.merckgroup.com/jp-ja/yellow-sphere-project.html

メルクについて
Merck(メルク)はヘルスケア、ライフサイエンス、パフォーマンスマテリアルズの分野における世界有数のサイエンスとテクノロジーの企業です。約57,000人の従業員が、人々の暮らしをより良くすることを目標に、より楽しく持続可能な生活の方法を生み出すことに力を注いでいます。ゲノム編集技術を進展させることから治療が困難を極める疾患に独自の治療法を発見すること、また各種デバイスのスマート化まで、メルクはあらゆる分野に取り組んでいます。2019年には66カ国で162億ユーロの売上高を計上しました。

メルクのテクノロジーと科学の進歩において鍵となるのは、サイエンスへのあくなき探求心と企業家精神です。それはメルクが1668年の創業以来、成長を続けてきた理由でもあります。創業家が今でも、上場企業であるメルクの株式の過半数を所有しています。メルクの名称およびブランドのグローバルな権利は、メルクが保有しています。唯一の例外は米国とカナダで、両国では、ヘルスケア事業ではEMDセローノ、ライフサイエンス事業ではミリポアシグマ、パフォーマンスマテリアルズ事業ではEMDパフォーマンスマテリアルズとして事業を行っています。

メルクバイオファーマ株式会社について
メルクバイオファーマ株式会社は「メルク ヘルスケア・ビジネス」(本社:ドイツ・ダルムシュタット)における、バイオ医薬品事業部門の日本法人です。2007年10月1日にメルクセローノ株式会社として発足し、がん、腫瘍免疫および不妊治療領域を重点領域としています。
メルクバイオファーマ株式会社の会社概要については下記をご覧ください。
https://www.merckgroup.com/jp-ja/company/merckbiopharma.html

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