TISとDataMesh、MRを活用した鉄道工事の生産性・安全性向上に向け試行を実施

TISとDataMeshは大林組において、BIM/CIMとMixed Reality(以下、MR)技術を活用し、工事現場の生産性向上に向けた作業手順を簡単にMR上で再現できるDataMesh Directorの試行を実施したことを発表した。

測量・調査、設計段階から 3次元モデルを導入することにより、その後の施工、維持管理・更新の各段階においても3次元モデルを連携・発展させて事業全体にわたる関係者間の情報共有を容易にし、一連の建設生産・管理システムの効率化・高度化を図るもの。

今回TISがコンサルティングを行い、DataMeshが施工ステップなどの動的な3D手順を簡単に作成し投影できる「DataMesh Director」を提供し、鉄道工事の現場でのBIM/CIMモデルのMR投影が有効であることを確認した。

建設業界では、就業者数の減少や高齢化により、大量離職の懸念があるとともに、土日の現場稼働の影響もあり他産業と比較して労働時間格差が大きく、今後若者を中心とした新規入職者の確保や、生産性向上による省人化ならびに長時間労働の是正など働き方改革や労働環境の改善が課題となっている。

そのため国土交通省では、2025年度までに20%の労働生産性向上を目指すi-Constructionを掲げ、ICT活用やBIM/CIM活用を推進している。

大林組では、施工管理者向けVR教育システム「VRiel」やAR合意形成ツール「FutureShot」などを開発し、XR技術を活用した人材育成を図っているが主に施工物の完成形の表示であるため、現場作業の中での活用は限定的。

そこでMicrosoft Mixed Reality パートナープログラム認定パートナーであるTISおよびDataMeshとともに、作業ステップごとのBIM/CIMモデルを使用し、より効果的なXR技術の活用を目指しているとのことだ。

駅の改良工事など営業線近接の鉄道工事は、一晩の作業時間が終電から始発までの数時間に限定されることから、作業の手戻りは大きな損失になるという。

そのため作業手順の確認には発注者、元請、協力会社の作業員の間で綿密な協議を重ね、各役割を徹底させるまで多くの時間を費やすことが必要。

そこで今回の試行では、Microsoft HoloLens 2やタブレット端末を使用し、デバイスにDataMesh Directorで作成した作業手順を表示することで作業時間短縮を図ったという。

実際の工事現場に重畳表示する確認を、以下2つの現場にて実施している。

・東日本旅客鉄道発注鉄道営業線の直上に高速道路の桁を架設する工事(東海道本線戸塚・大船間横浜環状南線交差部上部工新設)
・鉄道駅のホーム増設工事(横須賀線武蔵小杉駅2面2線化他)

①東海道本線戸塚・大船間横浜環状南線交差部上部工新設
橋梁架設工事では9線全線の線路を閉鎖して約100分という限られた時間内に主桁の送り出しを完了させる必要があり、安全かつ確実に作業を進めるため事前にあらゆるリスクを洗い出し、対策を実行。
この桁の送り出し手順をMR投影することで、作業の一連の流れが可視化され、施工手順や危険作業、危険個所の確認がしやすくなり、工程管理を効率化できることが確認できたという。

<橋梁主桁送り出し手順イメージ>

②鉄道駅のホーム増設工事
ホーム増設工事では、旅客の仮設通路内に補強梁が露出するため、旅客者の視線での作業計画が必要になります。複雑な施工手順をMR投影で可視化し、複数の作業員や職員で確認することで、実際の作業のスケール感や旅客への影響度を確認することができ、より良い施工計画立案に役立てることが明らかになったとのことだ。

<補強斜梁施工手順イメージ>

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