中途採用市場ではオンライン化が加速 転職サービス「doda」が「転職トレンド予想2021」を発表

パーソルキャリアが運営する転職サービス「doda(デューダ)」では、2021年に生まれそうな転職に関するトレンドを紹介する「dodaキャリアアドバイザー監修 転職トレンド予想2021」を公開した。

今回のトレンドの選定は、収集した情報について以下の3つの評価基準を元に、社内に設置したプロジェクト委員会が21の予想キーワードにまとめた後、全国12のキャリアカウンセリング場所を拠点とするすべてのdodaキャリアアドバイザーの任意投票によりランキングを決定。

【評価基準】
①ニーズ(求人数や転職希望者の応募が増えそうか。また、その傾向が継続しそうか) 
①影響力(これまでの転職活動や中途採用のスタイルや常識が変わる可能性があるか)
③新規性(これまでにない新しい着眼点、転職活動や採用手法の工夫などがあるか)

第1位 『中途向けオンライン会社説明会&会社見学』
人材獲得競争により、中途採用市場でもウェビナー・動画の積極活用が加速!?

2021年は、新卒採用で行われているような【オンライン会社説明会&会社見学】が中途採用にも広がっていくことが予想されるという。

2020年はコロナ禍でさまざまな面でオンライン化が進み、採用方法もその例に漏れず、Web面接や動画面接などオンライン化が広がった。

採用のオンライン化は面接だけでなく、応募者への情報の届け方や会社の魅力発信といった採用広報の領域にも広がっている。

そこで注目され始めているのが、オンラインによる会社説明会や会社見学動画。

これらの手法は、これまでも新卒採用では遠方に住む学生にも会社の魅力を伝えるために大手企業やIT企業を中心に行われていが、コロナ禍で導入が一気に他の企業にも広がったという。

そして、今度は新卒採用だけでなく、中途採用にも広がる兆しを見せているとのことだ。

その背景には、新卒採用でオンライン説明会のノウハウが社内に蓄積されたことのほか、コロナ禍によるオンライン面接の普及などで会社やオフィスの雰囲気を知ってもらう機会が減少したことがあるという。

また、転職を検討する個人も、オンラインであれば移動時間などを気にすることなくカジュアルに気になる企業の話を聞くことができ、企業や仕事についての理解を深められるため、オンライン説明会を歓迎しているとのことだ。

また、「doda」が提供するサービスでも、企業の魅力や雰囲気が伝わりやすい動画求人広告「dodaプライム」が好評で、オンライン会社説明会などで使えるインタビュー動画の制作といった依頼も増えてきていることから、オンライン説明会や動画を使った転職希望者とのコミュニケーションを行いたいというニーズの高まりが伺えるとしている。

第2位 『ハイブリッド面接』
Web面接と対面面接の組み合わせが採用戦略の柱に!?

2021年は”Web面接”と”対面の面接”を組み合わせた【ハイブリッド面接】が広がっていくと予想します。

コロナ禍をきっかけにWeb面接が急速に広がり、転職希望者にとっても企業にとっても一般的なものとなった。

Web面接の普及で転職希望者にとって働きながらの面接時間の調整が容易となったが、一方でWeb面接に慣れてきたものの、「面接官と呼吸が合わない」「職場や同僚の雰囲気が伝わらない」といった不満の声も増えており、対面のほうが伝わりやすいノンバーバルな要素を知りたい、伝えたいといったニーズも生まれ始めたという。

企業側からは入社後のミスマッチのリスクを減らすために、1度はリアルに会って企業や一緒に働く仲間の雰囲気を伝えたいという声も聞かれるとのことだ。

既にハイブリッド面接を導入している企業では、Web面接を軸としながら、「対面面接をするなら採用のどの段階が個人・企業双方にとって最適か」といったことも試行錯誤され始めているという。

第3位 『地方都市就労可企業』
リモートワーク・テレワークを活用し、2021年は「地方から働く」元年に!?

2021年は、地方都市に住みながらリモートで東京や大阪など都市部の企業で働きたい人が増加し、フルリモート勤務や地方拠点活用など【地方に住みながら都市部の企業で働くことができる求人】が人気になると予想されるという。

2020年は、コロナ禍をきっかけに在宅勤務やリモートワーク・テレワークが急速に広がりました。2021年もテレワーク継続を宣言している企業も多く、こうした企業は「doda」内でも転職希望者の応募が多くなっているという。

リモートワーク・テレワークに関する制度や環境を充実させないと採用や社員の定着にマイナスにはたらくと考えている人事担当者も多く、今後もテレワークを充実させる動きは変わらないと考えているという。

リモートワーク・テレワークを機に「地方で暮らす」ことへの興味も高まっており、個人の側では、生活の拠点を故郷やリゾート地に移す人も現れ始めている。

地方拠点での勤務を希望する社員が3倍になった企業などもあるようとのことだ。

そんな中、一部の企業では、リモートワーク・テレワークによって距離の制約がなくなったことから、地方に在住している人材を採用しようとする動きも見られ始めているという。

一方、個人側ではすでに地方へUターンした人がこれまで身につけたスキルを活かし、都市部のテレワークOK企業へ転職する動きも出てきているとのことだ。

第4位 『完全オンライン入社』
IT業界を中心に採用の完全オンライン化も引き続き増加!

2021年は、採用のオンライン化が定着・加速し、【応募から入社まで完全オンライン化する企業】も増えていくと予想するという。

転職トレンド予想2位には、Web面接と対面面接を組み合わせた「ハイブリッド面接」がランクインしているが、他業界に先んじて「リモート前提の働き方」を確立できているIT企業を中心に、完全オンライン型の採用も引き続き拡大していくことが見込まれる。

転職希望者の側においても、「doda」内での転職希望者の検索ワードをみると「フルリモート」というキーワードの検索件数が上昇しているという。

転職希望者の中には「採用方法がフルリモートであること」を「トレンドをキャッチアップできている」と判断する人 も増えており、企業側もより採用条件に合う人材を採用するため、そのイメージに応えた採用活動をしようとしている。

「doda」でも、実際に完全オンラインで選考が進むことにより、これまで勤務地や勤務時間の関係で転職活動が難しかった人にとっても、そういった人との接点が持てなかった企業側にとっても双方良い出会いの場が生まれている。

オンライン化により選考の日程調整がしやすくなり、双方の負担が少なくなることも無視できないメリットとしてあり、アフターコロナ世界になったとしてもこのトレンドは継続するものとしている。

第5位 『未経験ITエンジニア』
手に職志向時代×テレワークで、ITエンジニア希望者が増加。自己学習も盛んに。

2021年は、特に第ニ新卒や若手を中心に【未経験からITエンジニアを目指す転職希望者】が増えていくと予想するという。

これまでも「人生100年時代」といわれている中、手に職をつけたいと考え未経験からITエンジニアを希望する人がいたが、2020年はコロナ禍で不透明感が増し、その傾向がさらに強くなったという。

また、リモートワーク・テレワークで働きたいという理由で、異業種からリモートワーク・テレワークを推進している企業が多いIT企業への転職を希望する人の中にも未経験からITエンジニアを志す人が増えているとのことだ。

企業の側では、経験者を採用したい傾向は引き続き変わらない一方で、ビジネスのオンライン化の加速やDX推進などでITエンジニア不足は依然として課題となっているという

こうした中で、社会人の学び直しも広がっており、ITスキルを身につけようとプログラミングスクールへの問い合わせが増えているといった報道も見られる。

また、未経験からITエンジニアへの転職では、ITに興味を持っているという裏付けや積極的な自己学習姿勢が問われることもあり、IT学習のコミュニティへの参加も増えていることが伺えるという。

今後、こうしたITスキルを身につける社会人の自己学習がいっそう盛んになり、2021年は、未経験からITスキルを身につけたITエンジニアを希望する多くの人たちが転職にチャレンジする年になることが予想されるという。

第6位 『キャリア自律サポート充実企業』
副業推進、社内キャリアコンサルタントなど社員の主体性を育てる企業が人気に

2021年は、【社員のキャリア自律サポートが充実した企業】が転職希望者に人気になり、企業側もキャリア自律サポートの充実を売りにした採用活動を積極的に行うところが増えると予想されるという。

2020年は、ジョブ型雇用に切り替えると発表した大手企業が多く登場し、「ジョブ型」が人事・採用の領域ではトレンドワードになっている。

こうした中、いっそう重要な概念として注目されているのが「キャリア自律」。

キャリア自律とは「個人が自分のキャリアに興味を持ち、主体的にキャリア開発を行っていく状態」を指す。

不確実性が高まり先を見通せない時代において、企業も個人も変化に対応することが求められている。

そのためには、あらゆる業界に活かすことのできるポータブルスキルを身につけていくことが重要とのことだ。

また、2020年は在宅勤務やリモートワーク・テレワークの浸透も重なり、マネジメントや企業と個人の関係性が大きく変化した年でもあった。

企業は「テレワーク時代のマネジメント課題」に取り組むべく、いっそう自律型人材の育成に取り組む必要にも迫られている。

こうした中で、社員のキャリア自律を支援する企業の動きがこれまで以上に活発になっているという。

具体的には、キャリア自律を身につけるのに有効だといわれている副業解禁や社内ダブルジョブ制度、期限付きの出向制度や外部キャリアコンサルタントの活用、1on1などが広がっているとのこと。

転職希望者も自分が成長し続けるため、企業が社員のキャリア自律支援にどの程度力をいれているかを意識するようになり始めたという。

社員のキャリア自律サポートについては、「自律した社員が退職してしまうかもしれない」とどこまで積極的に推進すべきかをためらう企業もまだあるが、キャリア自律推進が社員の離職意思を下げるという調査報告もあるという。

第7位 『女性復職者・再就職の増加』
働き方の変化が女性活躍を後押し!

2021年は、【女性復職者・再就職】がさらに増加していくと予想される。 

2020年は、テレワーク・リモートワークが広がり、また、希望すれば直接雇用のほかに業務委託による就業を選択可能な企業も登場しはじめ、働き方や働く場所が柔軟に選択できる企業も飛躍的に増えた。

こうした背景を受けて、育児や家族の転勤などで一時的に仕事から離れていた女性を中心に、復職や再就職、時短勤務からフルタイムへの切り替えを希望する動きも活発化している。

「doda」でも、以前に比べ、より自分に合った働き方ができる企業へ転職または就職したい女性と、それに応えることのできる企業がともに増えており、この傾向は2021年にさらに強くなるものと予想されるという。

一方で、企業もよりいっそうの女性の活躍を期待しているが、在宅勤務やリモートワーク・テレワークができる職種や業種はまだ一部であり、多くのビジネスパーソンはコロナ前と変わらない就業環境で働いている。

ここでコロナ禍をきっかけに何か自分で始めてみる人と、そうでない人では転職活動において差が開いていくことも考えられるという。

2021年は「転職や独立、在宅ワークなど、これまでより自由にキャリアを選べるようになる年」になることは間違いないとし、一方で「自分の理想とする働き方ができる企業で働ける人と働けない人が二極化する年」になるともいえそうだとしている。

そうした中、もう一度働いてみたい、新しいスキルを身につけたい、自分にできることがあるなら挑戦してみたい、という女性の増加に合わせて、今後のことを考えて自身のキャリアを見直す女性を支援するさまざまな取り組みやサービスも増えているとのことだ。

第8位 『ビヨンド副業転職』
副業が転職の際の実績になる時代に!

2021年は、スキルアップや本業では身につけられない体験をすることを目的としたキャリア開発型の副業がブームになり、本業とともに副業で得た実績やスキルをアピールして転職活動をする【副業を越えて(ビヨンド)転職する人】が増加することが予想されるという。

2020年は、いままで以上に「副業」が注目された年になった。転職市場でも、さまざまな副業マッチングサービスが登場し関心の高さをうかがわせるが、今注目が集まっているのは、自身の経験やスキルの幅を広げられる「キャリア開発型副業」。

これまでも、今在籍している企業でいっそう活躍するために本業だけでは得られない経験やスキルを身につけるために副業をする人はいたが、副業経験を転職の際の自己アピールとする人も登場し始めたという。

こうした背景には、社員のキャリア開発のために副業を解禁する企業が増えたことで、気兼ねなく副業経験をアピールできるようになったこともあると考えられるという。

今後も、社員のキャリア自律を支援する目的で副業を解禁する企業と副業人材を受け入れることで会社の事業推進を加速させたいと考える企業が増加することが予想されるとのことだ。

ほかにも、在宅勤務やリモートワーク・テレワークの浸透で、地方企業など遠く離れた企業での副業も可能となり、副業できる案件数も増え始めていることから、副業人口そのものが増加していくことが見込まれる。

一方で、メインのキャリアに強みがあるからこそ、現職では積めないキャリアを積みにいくことで、経験のプラスアルファの相乗効果が生まれる。

副業でも働いてほしいと思われるようなキャリアの強みを高めることも必要となり、副業に挑戦することは社会人が自己学習を行うきっかけにもなることが予想されるとのことだ。

第9位 『新・オフィス活用企業』
テレワークによるオフィス縮小の裏で、積極的にオフィスへ投資する企業が人気に!?

2021年は、テレワークの導入でオフィスを縮小する企業が増える一方で、人が集まりたくなるオフィス、イノベーションが生まれるオフィスの開発が進み、【新しいオフィス活用をアピールする企業】も転職市場で人気になることが予想されるという。

これまでも、おしゃれなオフィス、充実した社員食堂などオフィスは採用ブランディングにおける重要な要素の一つであった。

しかし、2020年にコロナ禍で在宅勤務やリモートワーク・テレワークが進み、オフィスを引き払ったり、縮小する企業も現れている。

オフィスをコストと考える「オフィス不要論」が登場する中で、オフィスを投資と考え、あらためてオフィスの価値を問い直し、「仕事をする場所から、仲間が集まれる場所」としてオフィスをデザインしなおそうとする動きも始まってるという。

例えば、ある大手自動車メーカーは、IT人材を確保するために、「エンジニアの働きやすさの追求」を目的に新オフィスを構えた。

そこでは密を防ぐ工夫をしながら、従業員同士が良質なコミュニケーションを取れるようオフィス設計がされているという。

そのほかにもスタートアップやベンチャー企業を中心に、新オフィスの開設や、拡張移転といった、攻めのオフィス戦略が見られるとのことだ。

これらの企業が一貫して大事にしていることは、オフラインで生み出されるコミュニケーションの活性化、安心感、クリエイティブな発想であり、そのために工夫された空間づくりだ予想している。

第10位 『実家圏内就労可企業』
距離にとらわれない在宅勤務により3世帯の距離がぐっと近づく!?

2021年は、在宅勤務やリモートワーク・テレワーク、柔軟な働き方によって、実家に戻る人や実家の近くへの転居、より安心感が得られる生活環境を求める地方移住などのニーズが増加し、【距離にとらわれない在宅勤務を許可する企業】が転職先として人気になると予想される。

2020年は、在宅勤務が急速に広まりました。その中で、家賃・光熱費の節約や育児環境の良さ、両親による育児サポートへの期待や介護などの事情で実家や実家の近くで働きたい人のニーズがいっそう顕在化した。

しかし、2020年は、自宅からのリモートワークや、ワーケーションなど一時的に自宅以外からのリモートワークが導入されている企業は増えているが、地方の実家や遠方に転居した場合はリモートワークの対象にならないケースも多々あったという。

そんな中、転職希望条件としても「実家や実家の近くで働きたい」という理由で、「距離に関係なく在宅勤務が可能な企業」を希望する転職希望者も登場。

2021年はこうしたニーズにこたえることのできる制度やインフラの整った企業がさらに増え、実家や故郷に住んで働くことを検討する転職希望者がいっそう増加していくとしている。

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