日本サッカー協会(JFA)は「天皇杯 JFA 第100回全日本サッカー選手権大会」決勝(2021年1月1日/国立競技場)において、主催大会では初となるSDGs(持続可能な開発目標)推進活動を実施したと発表した。

エコ製品の推進や省エネを意識した大会運営、また、人混みや大音量への対応に悩みを抱える子どもを対象にした「センサリールームの設置」など、社会の発展と環境に配慮した施策を実施したとのことだ。

SDGsの取り組みにはスタッフや関係者はもちろん、観戦する人々も参加。誰もがサッカーを楽しめる環境づくりやサッカーを通じたエコ活動などを通して、SDGsをめぐる国内の機運を高めていくことを目指しているとしている。

今年、創立100周年を迎えるJFAは、次の100年に向けてよりサステナブルな事業展開への挑戦としてSDGsを推進し、さまざまな社会課題や環境課題の解決の一助となるべく取り組んでいくとのことだ。

なお、この取り組みは、継続的な事業として発展させていく考えであるという。

取り組みの内容は以下。

【ファン・サポーター向け】

エコ製品の推進:来場者プレゼントのエコ化

来場者には、「環境に優しいことを示すオリジナルマーク」を表示したエコバックをプレゼント。製品素材に環境負荷が少ない再生ポリエステルを使用しているという。

「環境に優しいことを示すオリジナルマーク」はJFAが2020年9月に制定したもので、ISO(国際標準化機構)の環境ラベルタイプII(ISO14021)として、環境省の環境ラベル等 データベースに登録されている。

製品素材に環境への負荷が少ない材料を使用し、その使用割合が一定の基準を満たしたものを環境に配慮した製品として認定し、表示しているとのことだ。

来場者への呼びかけ:JFA SDGsブース出展・メッセージ映像の発信

共にSDGsに取り組むことを呼びかけるブースを出展。サッカーやスポーツを通じた社会貢献、これまでのJFAのSDGsの取り組みや、会場となる国立競技場の環境負荷低減機能等の紹介をはじめとした展示を実施。

ブースにはJFAの「SDGs推進チーム」のメンバーである播戸竜二氏も訪れ、多くの観客が立ち寄ったという。また、スタジアムビジョンでは、同大会でのSDGsの取り組みを来場者に知ってもらうメッセージ映像を放映。この映像では播戸竜二氏がナビゲーターを務めたとのことだ。

●発達障がい児観戦企画:センサリールームの設置

“誰一人取り残さない”ことを目指し、感覚過敏などの特徴のある子どもとその家族(抽選により選ばれた2家族)を、仮設のセンサリールームでの観戦に招待。

今後、家族だけでの観戦の際にも利用できるよう、当日は国立競技場内に常設設置されているカームダウン・クールダウン施設を紹介するなどの時間も設けたという。

試合中は、ひと家族に一部屋を提供し、リラックスできる空間での観戦を提供。観戦の最後には“ヒーローインタビュー”として観戦した子どもから「楽しかった」と笑顔で感想をもらったという。

また、選手のサイン入りグッズや動画コメントを提供してもらうなど、決勝に臨んだ両チームにも協力を仰いだとのことだ。

【パートナー・組織内での取り組み】

●環境に配慮したスタジアムサービス:飲食売店でのプラスチックの削減やフードロスの回避

会場の飲食売店を運営する4事業者の協力の下、プラスチックごみの排出に配慮し、紙素材のストローとマドラーをJFAより提供し、売店にて使用。

また、各事業者において、集客見込みに応じた仕入れ量の調整や、販売できなかった食品の堆肥・飼料としての活用など、フードロスを削減するオペレーションを実施したとのことだ。

協力:グリーン企画社、シダックス、白ハト食品工業、フードワークス

●試合運営:大会オペレーションのエコ化、エコを意識したホスピタリティの実施

大会オペレーションや、主に来賓向けのラウンジの運営を見直し、印刷物やゴミの削減、会場運営におけるエネルギー管理の実施など、資源を守り、無駄をなくした大会運営を行った。

具体的な取り組み:メディア配布資料のデータ化/ラウンジ使用資材のプラスチック削減など

●取り組み評価:環境負荷評価と今後に向けて

SDGsに取り組み、環境に配慮して運営する初めての大会として、ゴミのリサイクル率や再生可能エネルギーの使用率、スタジアムにおけるCO2排出量、食品ロスの削減量等の指標の設定およびその測定に取り組むとしている。

取り組みの成果や課題を把握することで、今後の継続的な取り組みに生かすとのことだ。

なお、各種施策は、新型コロナウイルス感染拡大防止のガイドラインを順守して実施したとしている。