富士フイルムは、バイオ医薬品の開発・製造受託事業をさらに拡大するため、バイオ医薬品CDMOの中核会社であるFUJIFILM Diosynth Biotechnologies(フジフイルム・ダイオシンス・バイオテクノロジーズ 以下、FDB)に約40億円の設備投資を行い、遺伝子治療薬のプロセス開発・原薬製造拠点を米国ボストンエリアに新設すると発表した。

今後、新拠点の設備を順次稼働させ、2021年秋にプロセス開発、2023年秋に原薬製造の受託を開始する予定であるとのことだ。

なお、新拠点は、FDBにおいて、米国テキサス、英国に続く、第3の遺伝子治療薬CDMO拠点となるとしている。

遺伝子治療薬は、疾患の原因となる遺伝子を持った患者に、ウイルスなどを利用して外部から正常な遺伝子を導入することで疾患を治療するバイオ医薬品。

遺伝子治療薬の製造には、複数の遺伝子を細胞に導入する高度なバイオテクノロジーやウイルスの封じ込め技術・設備などが求められ、また製造に最適なプロセスの開発も必要であることから、優れた技術と設備を有するCDMOに遺伝子治療薬の生産プロセス開発と製造を一括して委託するニーズが高まっており、受託ビジネスの需要も急伸しているという。

富士フイルムは、2014年に、FDBの米国テキサス拠点を活用して遺伝子治療薬のプロセス開発・製造受託ビジネスを開始。

現在、さらなるビジネス拡大を図るため、総額約130億円をかけて米国テキサス拠点に遺伝子治療薬のプロセス開発棟の新設と原薬製造設備の増強を進めているという。

また、英国拠点でも、2021年春の稼働開始に向けて、遺伝子治療薬のプロセス開発・製造施設の開設準備を進めているとのことだ。

今回、富士フイルムは、最先端の研究開発を行う製薬会社やアカデミアなどが集積する米国ボストンエリアに、遺伝子治療薬のプロセス開発および原薬製造の拠点を新設。

最先端の研究開発を行う顧客のそばで、開発初期段階から受託サービスを迅速に提供することで、顧客の新薬開発を支援するとしている。

新拠点には、細胞培養・精製のプロセス条件の実験・分析設備や細胞培養タンクなどを導入。生産プロセス開発から、初期の臨床試験に用いる治験薬の原薬製造までを受託。

さらに、新拠点を、遺伝子治療薬の原薬の大量製造や製剤化にも対応できる米国テキサス拠点と連携させることで、顧客の開発進展に伴う治験薬のスケールアップや商業生産などの顧客ニーズにも応えることができるとのことだ。

今後、富士フイルムは、テキサスとボストンの米国2拠点、英国拠点を活用して、遺伝子治療薬のプロセス開発・製造受託ビジネスをさらに拡大していくとしている。

富士フイルムは、抗体医薬品やホルモン製剤、遺伝子治療薬、ワクチンなどあらゆる種類のバイオ医薬品の生産プロセスを開発し、少量生産から大量生産、原薬から製剤・包装までの製造受託に対応できる強みを生かしてさらなる事業成長を図るとともに、高品質な医薬品の安定供給を通じて顧客の新薬創出をサポートし、アンメットメディカルニーズへの対応など社会課題の解決、さらにはヘルスケア産業の発展に貢献していくとのことだ。