ウェルナスは、世界で初めてナスの睡眠改善効果(睡眠時間延長および睡眠導入改善)を臨床試験で確認し、特許出願したと発表した。

睡眠改善効果は、ナスの食品機能性としては血圧改善、気分改善に次いで3例目となるもので、関与成分であるナス由来コリンエステルが自律神経に働きかけて引き起こされると推定されるという。

ナスは、1000年以上の食経験がある国内外問わず愛されている野菜であるが、需要が低迷しており、また、加工用途が少ないため廃棄の多い野菜でもあったという。

ウェルナスは、睡眠改善作用を持つナス加工食品開発を行い、人々の健康に寄与するとともに、機能性野菜ナスの需要喚起と廃棄ナス低減に向けた取組を進め、SDGs目標達成に寄与したいと考えているとのことだ。

また、昨年、機能性野菜ナス普及のために機能性野菜ナスコンソーシアムが設立された。

ウェルナスは、機能性野菜ナスコンソーシアムの代表として、新規なナス機能性表示食品とナス機能性の創出、ナス機能性食品の全国・海外展開にもチャレンジするとしている。

ウェルナスは、「食で実効的な健康を届ける」を事業理念とし、2017年に設立したベンチャー。設立当初より、ナスに大量に含まれる新規食品機能性成分コリンエステルの自律神経調節機能に着目し、「機能性野菜ナス」の研究開発に取り組んできたとのことだ。

同研究成果は、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のベンチャー起業家個人を対象とした技術シーズの実証試験支援プログラム「H30年度研究開発型ベンチャー支援事業/NEDO Entrepreneurs Program」に採択され実施したヒト臨床試験結果に基づいているという。

臨床試験では、ナス粉末の摂取が睡眠に悩みを持つ成人の睡眠時間を延長し、睡眠導入を改善することを世界で初めて確認。この発見は、ウェルナスが出願人となり国内および国際特許出願中であるとのことだ。

ナス粉末睡眠改善作用評価試験(臨床試験)では、ナス由来コリンエステルを3.5 mg含有するナス粉末を5日間継続摂取することで、睡眠に悩みを持つ健常成人の睡眠状態が有意に改善することを、ランダム化二重盲検クロスオーバー比較試験で実証し、ヒトにおけるナス粉末の睡眠改善作用を世界で初めて明らかにしたという。

被験者の睡眠状態は、客観的に睡眠レベルを測定可能な脳波計(スリープスコープ、スリープウェル社製)を用いて評価。その結果、ナス粉末摂取において、全睡眠時間(入眠から起床までの時間)が有意に延長したとのことだ。

ナス由来コリンエステルを含むナス粉末摂取

また、睡眠中に中途覚醒数は増加しておらず、純粋に睡眠時間が延長したことが確認され、さらに、ナス粉末摂取により被験者の入眠時間が約1時間早まることも明らかとなった。

ナス由来コリンエステルを含むナス粉末摂取による入眠時間改善効果(矢印は各群の中央値)

関与成分であるナス由来コリンエステルの自律神経調節機能によるリラックス効果で、睡眠時間の延長と速やかな睡眠導入が実現したと考えられるとしている。

同社は、ストレス社会と言われる現代において、睡眠マネジメントは非常に重要であるとしている。

厚生労働省試算では、国内の不眠人口は2,064万人にのぼり、その経済的損失は年間2.5兆円を超えると報告されているという。不眠人口の増加に伴い、睡眠をサポートする機能を持つ健康食品市場も拡大中で、2020年市場は2018年比8.3%増の117億円と予測されているとのことだ。

ウェルナスは、馴染みのある野菜・ナスを使って、安心安全に日々の食事の中で睡眠マネジメントができる新規なナス機能性食品を開発し、睡眠に悩む人々へ届けるとしている。