INDEX
自動運転車、コネクティッドカー、MaaSなど、テクノロジーの進化に伴い、「モビリティ」といわれる自動車やそれに付随するサービスが急速に変化している。そうした流れの中から新たに生まれたのが、テレマティクス自動車保険だ。
「テレマティクス」とは、テクノロジーに関心の高い人以外にはおそらく耳慣れない言葉だが、テレビCMからこの言葉が聞こえてきたのに気づいた人はいるだろうか。
そのCMとは、岡田准一さんが夜空に浮かぶ人工衛星を見上げ、「最先端のテレマティクス技術で衛星から運転を見守りアドバイスを送る」と語る、あいおいニッセイ同和損害保険の最新CMだ。
岡田准一さんがCMで伝える、「テレマティクス自動車保険」とは何なのか。今回の記事では、テレマティクス技術の仕組みを解説するとともに、テレマティクス自動車保険の魅力について紹介する。
ビッグデータ時代に生まれた「テレマティクス自動車保険」
テレマティクス(Telematics)とは、通信(Telecommunication)と情報工学(Informatics)を組み合わせてできた言葉であり、自動車などの移動体に通信システムを接続してリアルタイムな情報サービスを提供する技術のことである。GPSを利用するカーナビやドライブレコーダーなどの端末をネットワークでつなぎ、移動体の位置や走行速度などの情報を管理したり、分析した情報をサービスとして移動体に提供したりするものだ。
このテレマティクスを自動車保険と組み合わせた「テレマティクス自動車保険」とは、一般的な自動車保険とどう違うのだろうか。
従来の自動車保険は、主にドライバーの年令や車種などを基に保険料を算出してきた。これに加え、テレマティクス自動車保険では、走行距離やドライバーの運転特性のデータを自動車から取得・分析し、その評価を基に保険料を算定する。従来よりも多種・大量のデータを用いることで、ドライバーの運転状況に合わせた保険料が設定できる仕組みということだ。
また、この仕組みによりドライバーは安全運転を心がけるようになり、自動車事故を未然に防ぐ効果をもたらす。このメカニズムについては後ほど解説する。
安全運転するほど保険料が変わる。データを活用した保険の仕組みとは
テレマティクス自動車保険では、自動車に設置した端末等を通じて、走行した距離や速度、急加速・急減速などのさまざまな走行データを保険会社が取得する。そのデータから、ドライバーごとの事故リスクを分析して保険料を算定するというのが基本的な仕組みだ。どのデータを使い、どう評価するかは保険会社や商品ごとに異なる。
例として、あいおいニッセイ同和損保のテレマティクス自動車保険「タフ・つながるクルマの保険」の保険料算定の仕組みを見てみよう。この保険商品の保険料は、月額固定の「基本保険料」と「運転分保険料」で構成されており、後者の「運転分保険料」は月間の「走行距離」、それから同社が独自に評価する「安全運転スコア」に応じて額が変動する。
走行距離が短ければ、それだけ事故に遭うリスクも低くなると考えられるため、あまり距離を走らない月があれば、それに応じた「運転分保険料」が算定される。
この安全運転スコアは、「速度超過・急加速・急減速」の発生頻度から算出する。スコアが高い人には高い割引率が、低い人には低い割引率が設定され、「運転分保険料」に適用される。
保険料が割安になることは加入者にとってのメリットであり、テレマティクス自動車保険の利点だが、この仕組みが「交通事故を未然に防ぐ効果」をもたらしているのだという。
「事故を未然に防ぐ」ために。ドライバーの意識を高める工夫
あいおいニッセイ同和損保が調べた2018年4月~2020年3月までの期間のデータによると、「タフ・つながるクルマの保険」加入者の9割以上が運転特性による割引を受けており、1人当たりの平均保険料割引額は、年間約1万円になっているそうだ。
テレマティクス自動車保険は「安全運転をするほど保険料が割安になる仕組み」であり、この仕組みそのものが、保険料の割引というメリットを享受したいドライバーにとってインセンティブになっている。
実際に、「タフ・つながるクルマの保険」の加入者と、同車種に乗る従来型の自動車保険「タフ・クルマの保険」の加入者を比較すると、テレマティクス自動車保険加入者のほうが約30%、事故頻度が抑えられており、データにも交通事故を未然に防ぐ効果が表れていると言える。
また、この保険料算定に使われる安全運転スコアは、専用スマートフォンアプリや専用サイトなどから「ドライブレポート」「マンスリーレポート」の形で加入者も確認できるようになっている。安全運転を可視化することで、ドライバーはスコアを上げるために事故を起こさないよう注意を払い、さらに楽しみながら自分の運転が上達していくのを実感できる。こうした情報提供もテレマティクス自動車保険のサービスの一環であり、事故の未然防止に役立っているのだろう。
テレマティクス技術が安全運転のためにできること
ここまで、テレマティクスと保険料の関係と仕組みを解説してきた。しかし、CMで岡田准一さんが話していた「最先端のテレマティクス技術で衛星から運転を見守りアドバイスを送る」の説明にはなっていない。これは保険そのものではなく、保険加入者向けの情報サービスに用いられているテレマティクスのことだ。
例えば、あいおいニッセイ同和損保が提供するもう1つのテレマティクス自動車保険「タフ・見守るクルマの保険プラス(ドラレコ型)」では、専用のドライブレコーダーが「安全運転支援アラート」を発して、事故につながりやすい運転を走行中のドライバーに注意喚起する。スピード超過時や急加速・急減速を検知した時など、さまざまなシーンに対応するアラートを用意し、事故を防ぐ。
しかし、どんなに注意をしていても事故に遭う可能性はゼロにはならないし、避けようがない“もらい事故”も起こり得る。実はテレマティクスは、そんな万が一の時にも役立つ技術だ。
「タフ・見守るクルマの保険プラス(ドラレコ型)」では、加入者のクルマに取り付けた専用ドライブレコーダーが大きな衝撃を検知すると自動で保険会社へ通知し、それを受け取った専任オペレータが、専用ドライブレコーダーを通じて、ドライバーに安否確認の連絡をする体制を整えている。
専任オペレータは、事故が発生した位置や、ドライブレコーダーの映像などから状況を素早く把握し、事故直後の初期対応や、レッカー車などの手配に役立てる。事故に遭って動揺しているドライバーと話すよりも先に、保険会社が状況を事細かに把握できるのはテレマティクスならではの利点だろう。もちろんクルマから取得した情報は、保険金支払いに当たっての損害調査・査定にも役立てられる。
テレマティクス技術で変わる自動車保険ビジネス
ここまで、テレマティクス自動車保険のメリットや事故の未然防止効果、テレマティクス技術を活用して提供する情報サービスの具体例を見てきた。
こうした仕組みを知ることで、CMで岡田准一さんがアピールしていた「事故の8割以上はドライバーの不注意」「最先端のテレマティクス技術で衛星から運転を見守り、アドバイスを送る」の台詞の意味が理解できたのではないだろうか。
テレマティクス自動車保険は世界各国で進展しており、中でも欧米が先行して普及が進んでいる状況だったが、近年は日本でも取り組みが進み、あいおいニッセイ同和損保のように実際に商品化したテレマティクス自動車保険も出てきている。
自動車メーカー各社も「コネクティッドカー」には力を入れており、今後ネットワークにつながるクルマがさらに増えていくはずだ。テレマティクス技術がその力を発揮できる環境が広がることで、テレマティクス自動車保険も自動車保険の主流になっていくのではないだろうか。
【CM動画はこちら】
あいおいニッセイ同和損保 TVCM「テレマティクス技術+事故対応」篇 30秒
【公式HPはこちら】
あいおいニッセイ同和損害保険ホームページ