ソフトバンクは、医療・ヘルスケア分野の取り組みの一環として、大腸がん治療薬の医師主導治験推進を目的とした特別目的事業体(SPV:Special Purpose Vehicle)である「アルファーA」へ、2020年6月に出資したことを発表した。

日本では現在、少子高齢化や医療費の増加などの課題を抱え、予防医療の重要性が高まっている。

臨床開発領域においては、患者の治癒につながる術後補助化学療法(外科治療後の再発を予防する薬物療法)の開発が求められているという。

しかし、従来の製薬会社主導による研究開発は、大規模かつ長期間の研究開発が進みにくい状況がある他、関連制度が整備されてきた医師主導治験においても、既存の枠組みでは資金確保をはじめとするさまざまな課題がある。

国立がん研究センターとCirKit-Jは、これらの課題を解決する、医師主導治験の新たな枠組みを構築。

この枠組みでは、医師が治験を主導し、CirKit-Jが治験ごとに特別目的事業体を設立し、製薬会社からの資金提供や民間企業からの出資を受けるという。

特別目的事業体を活用することで、製薬会社に限らずさまざまな企業から柔軟に資金調達することが可能になり、十分な資金を確保し、大規模かつ長期の治験が実現できるとのことだ。

アルファーAは、この枠組みの第1弾となる特別目的事業体で、大腸がんの術後患者を対象にした治験の実施を目的に設立。

ソフトバンクは、この取り組みに賛同し、民間企業の立場から、アルファーAへの出資という形で参画する。

ソフトバンクは、「Beyond Carrier」戦略を掲げ、従来の通信事業の基盤を強化するとともに、最先端テクノロジーを活用して幅広い産業分野で革新的なサービスを提供し、社会課題の解決と事業成長を目指している。

ヘルスケア分野でのサービス提供や、産学連携による実証実験など、さまざまな取り組みを進めているという。

今回、アルファーAへの出資を行うことで、医師主導治験により次世代がん治療の開発を推進するための革新的な取り組みに参画することになる。

従来の方法では困難であった医療分野における課題解決方法に資することで、社会課題解決への貢献を目指すとのことだ。

また、ゲノム情報の臨床応用をはじめとした医療分野における最新の知見や課題への理解を深め、さらなる貢献に生かしていくとしている。