味の素は、連結子会社であるマレーシア味の素社(AJINOMOTO(MALAYSIA)BERHAD、以下、AMB社)が、同社の移転および新工場の建設に係る一部資金を、予め設定した環境目標の達成度に応じて取引条件が優遇されるESGファイナンスによって調達することを決定したとのことだ。
今回利用するのはESGファイナンスの中でも「サステナビリティ・リンク・ファイナンス(以下、SLF)」と呼ばれるスキームで、三菱UFJフィナンシャル・グループのマレーシア法人MUFG BANK(MALAYSIA)BERHAD(以下、MUFG BANK(MALAYSIA)社)によって提供されるものであり、AMB社は同社グループ初のESGファイナンス事例として、100百万マレーシア・リンギット(約25億円)の取引契約を締結したと発表した。
2015年9月の国連サミットにおいてSDGs(持続可能な開発目標)が採択されて以降、SDGsの達成に向けた企業各社による貢献として、企業が投資の意思決定に環境(E)、社会(S)、ガバナンス(G)などの非財務指標を考慮したESG投資への関心が高まっているという。
また、同社グループは2020-2025中期経営計画における「地域・地球との共生」への取り組みとして、2025年度までに温室効果ガスの排出量を30%、2030年度までに50%削減し(いずれも2018年度比)、経済的リスクを軽減する目標を設定しているとのことだ。
こうした背景のもと、MUFG BANK(MALAYSIA)社のSLFによる資金調達は、AMB社が予定している移転・新工場建設の進捗の円滑化に加えて、同社の環境目標達成に取り組む姿勢を示すものとして、同契約の締結に合意。
AMB社はSLFの適用にあたり、当社グループが環境目標に設定する水準である、2025年度までの温室効果ガス排出量削減目標達成を目指すとしている。
さらに、AMB社が株式上場しているマレーシア証券取引所が認定する「ESGインデックス」の維持もSLF適用の条件となる。
これらの条件はMUFG BANK(MALAYSIA)社が毎年判定し、その結果に応じて取引条件が優遇されるとのことだ。
同社グループは2020-2025中期経営計画において、持続的に成長できる事業構造へ変革することをロードマップとして掲げており、マレーシアおよびASEANを中心とした周辺諸国への積極的な事業展開を通じて、新興国が牽引する市場成長への更なる貢献とロードマップを支えるオーガニック成長を目指すとしている。