アクセンチュア、投資プログラム「プロジェクト・スポットライト」開始 ソフトウェアスタートアップと大企業の連携を促進

アクセンチュアは、「フォーブス・グローバル2000」(Global 2000)に属する大手企業が新たな事業創出につながるイノベーションを促進できるよう、テクノロジーおよびソフトウェア開発領域の新興スタートアップ企業群と密接に連携した新たな投資プログラム「プロジェクト・スポットライト」(Project Spotlight)を開始した。

同プロジェクトは、スタートアップ企業との連携などを手掛けるAccenture Venturesが中心となって推進し、世界のソフトウェアスタートアップ企業コミュニティと大企業の連携を促進する新たなモデルを目指している。

プロジェクト・スポットライトへの参画を通じ、スタートアップ企業は投資面での支援に加え、新たにアクセンチュアのさまざまなテクノロジー関連の専門知識を活用できるようになるほか、アクセンチュアの顧客企業とこれまでにないレベルでつながることが可能になるという。

これによりスタートアップ企業はアクセンチュアが各地で展開している「イノベーション・ハブ」や「ラボ」、「リキッド・スタジオ」などの拠点で、アクセンチュアの分野ごとの専門家と協業しながら、自社製品やサービスをより迅速かつ効果的にエンタープライズ市場向けに展開できるよう、共創型のイノベーションを推進できるようになるとのことだ。

また、アクセンチュアはこうした取り組みを通じ、スタートアップ企業との関係性を出資ベースではなく、より密接な連携に変革することを目指しているという。

同プロジェクトの統括者を務めるトム・ルーニボス(Tom Lounibos)は以下のようにコメントしている。

製品やサービスを市場展開する際に多くのスタートアップ企業が直面する最大の課題は、斬新な発想や資金調達に絡んだことではなく、企業の事業課題をいかに細やかに把握できるかどうかです。

アクセンチュアは将来性の高いスタートアップ企業を発掘し、各社を共創型のネットワークに迎え入れた上で、アクセンチュアがお客様の真の事業課題を解決するためどのように取り組んでいるのかについて考える機会を提供します。

こうした共創で得られた知見を活用し、スタートアップ企業は自社の製品やサービスのさらなる修正や改善に取り組み、市場へのインパクトの最大化を図ることが可能になります。

その意味で、この取り組みはベンチャー投資における全く新しい取り組みと言えるでしょう

アクセンチュアは、人工知能(AI)と独自の定量分析手法により労働市場の変革やスキルの再構築や学習を支援するカナダ・バンクーバーのスタートアップ、SkyHiveに出資し、戦略的提携関係を構築した。

同社はすでに今年3月からプロジェクト・スポットライトに参画しており、アイルランド・ダブリンにあるイノベーション創出のための主要なグローバル研究開発施設であるThe Dock、米国ニューヨークのFinTech Innovation Labなどのアクセンチュアの各拠点で技術専門家との協業を推進している。

また、両社は共同研究開発に加え、アクセンチュアの人材・組織管理部門とも連携し、新型コロナウイルス感染症への対応に関連して10社を超える顧客を支援した実績を有するほか、Global 2000に属する顧客が急速な労働環境の変化に対応できるよう支援を提供しているとのことだ。

直近の例では、世界経済フォーラムにおける「未来の働き方」に関する消費財業界向け専門部会での議論をきっかけにした取り組みの一環として、アクセンチュアはSkyHiveとウォルマートおよびユニリーバの連携を支援。

この同じ業界における連携では、スキルの再構築や配置転換に関するPoC(概念実証)を10週間にわたって実施しており、今後の展開次第では変化する労働市場に対応した生産性や職業能力を備えた人材開発が可能になるという。

SkyHiveの創立者兼CEOのショーン・ヒントン(Sean Hinton)氏は以下のようにコメントしている。

プロジェクト・スポットライトへの参画は、指数関数的に発展するテクノロジーを活用することで経済的な豊かさとインクルージョンを推進するという当社のミッションの実現に大きく貢献しており、大変光栄に思います。

この取り組みにおいて、アクセンチュアから提供を受けているのはスタートアップ企業の経営に関する知見や深い専門知識だけにとどまりません。

何よりも同社の卓越したサポート体制と当社のビジョンやミッションがうまく調和しているからこそ、非常に力強く、ユニークな協業が実現できているのです。

これにより新たなチャンスが生まれ、製品のより素早い市場展開と品質改善における取り組みの両方を大幅に加速することができました

プロジェクト・スポットライトは、従業員の能力と求められるスキルにおけるギャップの解消やデータ主権、未来の働き方、大規模なエッジシステム、予兆システムなど、アクセンチュアのエンタープライズの顧客にとって大規模かつ戦略的に重要な分野に取り組むスタートアップ企業を主な対象としている。

既に参画しているスタートアップ企業には、SkyHiveのほか、デジタルシステム向けのセキュアな通信技術の開発などを手掛けるSynadiaや、データ保管場所をアズ・ア・サービス(as a Service)型で提供しているInCountryなどが含まれている。

この2社にはAccenture Venturesが今年7月と10月にそれぞれ出資を行っているとのことだ。

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