特殊詐欺に対して、これまでもさまざまな対策が講じられてきたが、その手口は巧妙化・複雑化しており、認知件数・被害額も依然として高い水準で推移しているという。また、金銭的な被害に留まらず、人命にかかわる事件も発生したことなどにより、ユーザーが電話に出ることに対して不安を感じる状況も生じているとのこと。
このような状況を受け、ユーザーにできるだけ安心して電話を利用してもらえるように、NTTグループは「特殊詐欺解析AIを用いた実証実験」を実施した。本実証実験を通じて得られた知見および参加した自治体、ユーザーからの意見や要望を踏まえ、サービスおよび通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)の開発を進めてきた。この度、準備が整ったので、本サービスを提供するにいたったとしている。
AIが通話内容を解析、電話やメールで教えてくれる
NTT東日本・NTT西日本が提供する住宅用電話サービス(「加入電話」「INSネット64」など)と本サービスをセットで契約することで、下記の機能を提供する。
通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)から、録音した通話内容をクラウド上に転送し、特殊詐欺解析AIが通話内容を解析する。特殊詐欺であると疑われるといった場合には、契約者本人や親族などあらかじめ登録した人に、注意喚起の電話やメールを送信してくれる。これにより、契約者本人や親族の人などが詐欺の危険性を察知可能になるという。
そのほか、「拒否リスト機能」では、通話録音機能付き端末にしつこい勧誘の電話や迷惑電話の番号を登録すると、着信をブロックできる。また、「許可リスト機能」では、通話録音機能付き端末に家族や友人の電話番号をあらかじめ登録することで、当該電話番号との電話は録音、解析の対象外になり、安心して通話できるとする。
今後も警察と引き続き協力しながら進める
なお、NTT西日本に「実証実験では具体的にどのような効果が得られたのか?」問い合わせたところ、「具体的な効果などについては、特殊詐欺グループの新たな手口の参考とされる可能性もあるため、大変恐縮でございますが、回答を差し控えさせていただきます」とのこと。
一方で、「警察からはこれまでも特殊詐欺対策AIの精度向上や、通話録音機能付き端末(特殊詐欺対策アダプタ)の仕様などについて貴重な意見をいただいており、今後のサービスの展開についても、引き続きご協力いただきながら進めてまいりたいと考えております」と説明している。
さらに、同社に「実証実験ではどのような意見や要望を得られたのか?」聞くと、「実証実験において、ご利用いただいた一般のお客様からのご意見より、当初具備されていなかった『許可リスト(あらかじめ登録された電話番号からの着信についてはAI解析をしない)』や『拒否リスト(しつこい電話などを登録することで着信拒否する機能)』を追加させていただいた背景もございます」と教えてくれた。
>>ニュースリリース
新型コロナでの給付金、AIで振り込め詐欺被害を防ぐ
AIを活用し、詐欺を未然に防ごうとする取り組みはほかにもある。
少し前だが、株式会社JVCケンウッドは7月1日に、株式会社ビズライト・テクノロジーと共同開発を進めているエッジAIカメラを活用した実証実験の実施を発表した。実証実験では、株式会社北洋銀行において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の給付金に関連した詐欺や、振り込め詐欺による被害を未然に防ぐソリューションが使われる。