アクセルスペースとオーシャンアイズ、京セラは、人工衛星を活用した高精度漁場予測サービスの実用化に関する共同研究契約を12月3日に締結したことを発表した。

同研究では衛星データや海況予測を活用した効果的な漁場予測の確立を目的とし、アクセルスペース、オーシャンアイズ、京セラの3社で共同研究を進めていくとしている。

一般的な近海・沿海での漁場予測においては、気象衛星、観測ブイ、観測船などで測定される海水温や塩分濃度などの海況データと過去の漁場データを活用し、広さ約10km2の漁場を見定める。

これを漁業者の経験と勘によってさらに絞り込み、最終的には魚群探知機を走査して魚群を探り当てている。

しかし近年では、漁業者の高齢化や減少により経験豊かな漁業者が不足し、漁場予測が困難になっており、より精度の高い漁場予測の方法が求められている。

従来の気象衛星よりも高解像度の画像が取得可能なアクセルスペースの地球観測衛星で海表面を観測した結果、好漁場の手掛かりとして知られる潮目や河川プルームを発見できる可能性があることがわかってきたという。

同研究では、地上で観測した表面温度パターン、スーパーコンピュータで計算した海水温・潮流・塩分濃度などの多様なデータと衛星画像を照合し、漁場の手掛かりを抽出・特定する手法の検討などを行う。

さらには潮目や河川プルーム発生の予測可能性を、コンピュータモデルを使ったシミュレーション（数値実験）により明らかにしていくとのことだ。

この世界初となる人工衛星を活用した高精度漁場予測の実用化への取り組みは、今後の高解像度衛星の実用化や革新的な漁場予測技術につなげていくとしている。

同共同研究は宮崎県日向灘沿海で実施し、研究成果の有効性を客観的に評価できるよう宮崎県水産試験場にも協力してもらうとのことだ。

アクセルスペース、オーシャンアイズ、京セラの3社は、的確な漁場予測の確立により、豊かな日向灘の海洋資源と自然環境を守りつつ、効率的な漁業の実現を目指していくとしている。