JALと理研は「富岳」を活用した研究を実施。以下のことが確認されたと、研究の結果を発表した。
- 航空機内の空気循環システムにより、機内の空気は3分程度できれいになる。
- 機内でマスクを着用した場合と着用していない場合では、飛沫の拡散レベルに大きな差があり、飛沫の拡散を防ぐためには、マスクの着用が重要である。
両社は、世界一の計算性能を誇るスーパーコンピュータ「富岳」の計算資源を活用して、航空機内における新型コロナウイルス感染症拡大防止に関する研究を行っている。
今回、その一環として、機内の空気循環システムの効果検証と、その効果を踏まえた機内における飛沫の予測を行った結果、機内の空気の清潔性とマスク着用の重要性を確認。
同研究結果に関する情報は、オープンデータ化し、広く社会に公表するとともに、航空業界全体において実効性のある対策につなげることを目指すとしている。
JALと理研は、今後も「富岳」を活用した科学的知見をもとに研究を重ねていくことで、さらなる新型コロナウイルス感染症の感染防止に努め、社会に貢献していくとしている。
研究結果(シミュレーション結果)は以下。
機内空気循環システムの効果
・ 仮想的にウイルス飛沫で汚染された空気を機内に満たし、エアコン換気でどのように浄化されていくかを評価。
外気換気のほか、循環空気についても高性能空気フィルターによりウイルス除去され、3分程度で機内の空気は浄化されることが確認できたという。
マスク着用有無による飛沫の予測
・機内でマスクを着用せずに咳をした場合、10ミクロンより大きい飛沫は咳をした人の前方1m以内に落下、10ミクロン以下の小さい飛沫はエアコンの風に乗って空中を漂うが、機内の空気循環システムにより3分程度で客室内から排除される。
・ 飛沫の拡散は着席姿勢によって影響を受け、通常姿勢の場合は前列シートの背もたれがパーティションのような役割をすることで、大きい飛沫の拡散を抑えている。
・ 小さい飛沫は、リクライニング姿勢の場合、通常姿勢の場合よりも広範囲に拡散する。
・ マスクの着用により、発生する飛沫を3分の1まで抑え、機内に拡散する飛沫を大幅に抑えられることが確認できた。
・ 発生する飛沫そのものを減らす観点で、マスクの着用による感染リスク低減効果は大きい。