国立科学博物館は、DNA解析により、ルリゴキブリ属の2新種の遺伝的情報を明らかにし、新種発見に貢献したと公表した。

南西諸島（鹿児島県〜沖縄県）よりブルーメタリックに黄色い帯を後方に持つという美しいルリゴキブリ属の2新種が発見され、法政大学島野智之教授、竜洋昆虫自然観察公園柳澤静磨職員、鹿児島大学坂巻祥孝准教授からなる研究チームにより日本動物学会の国際誌Zoological Scienceに記載・発表された。

なお、ゴキブリの新種が日本から発見されるのは35年ぶりのことだという。

現在、日本産ゴキブリは57種が知られており、今回2新種を加え、合計59種となった。

このうち、人家の中に出現するのは、1割程度であり、それ以外のゴキブリは、森林の朽ち木や洞窟などに生息して、朽ち木などの有機物を食べて生活しており、人間とはほとんど関わりのない生活をしているとのことだ。

日本（南西諸島）から東南アジアにかけて分布するルリゴキブリ属のゴキブリも、人家に出入りすることはなく、おもに森林の朽ち木などを生息場とし腐植質などを餌に生活をしている。

「黒い」「汚い」イメージのゴキブリだが、非常に美しい青色の金属光沢や、鮮やかな橙色の紋などを持ついわゆる美麗種だという。

同館の分子生物多様性研究資料センターの蛭田特定非常勤研究員は、今回の研究で、新種2種を含むルリゴキブリ属の系統関係を解明するために5遺伝子座を用いてDNA解析を行った。

その結果、日本産のルリゴキブリ属3種が単系統となり、台湾産の種と姉妹群を形成することが明らかとなり、これは南方より南西諸島に侵入した共通祖先が、それぞれの島で分化したことを示しているとのこと。

またそれぞれの種は明瞭に分かれ、形態による分類の結果を支持。

そのほか中国と台湾に分布する種においては、大きな種内での遺伝的な距離が見いだされ、隠蔽種の存在が示唆されたとしている。