具体的には、同社は独自開発の高次元データ解析技術「DeepTwin(ディープツイン)」を深層特徴量の圧縮に応用し、画像認識精度を低下させずに、従来の画像圧縮方式の1つである「H.265」による映像圧縮と人工知能(AI)を組み合わせた一般的な方式と比較して、100倍以上の圧縮率を達成可能な映像圧縮技術を開発したという。
近年、ディープラーニング(深層学習)による画像認識の飛躍的な性能向上によって、映像から情報を抽出する画像認識AIソリューションが注目され、AI認識に特化した映像圧縮技術の開発が活発化している。とくに、監視・確認作業などをAIによって自動化する場合には画像を復元せずに、AIが画像認識するために必要な深層特徴量のみを圧縮・伝送する技術が注目されているとのこと。
画像圧縮技術は、デジタル化された映像データのDVDやBlu-ray Disc媒体などへの記録や、インターネット上での映像配信など、限られたデータ領域を効率的に利用するための手段として利用されている。同社は、これまで長年に渡り映像圧縮技術に取り組んでおり、画像圧縮方式の1つである「H.264」の標準化、および符号化LSIの開発による映像伝送装置の実用化などを進めてきたという。
富士通研究所は、今回発表した新技術の活用により、画像認識AIソリューションの普及にともない、ますます大容量化する映像伝送データ量の増加を抑制。限りある通信資源の効率的な利用を実現し、より持続可能な世界の実現に貢献するとしている。
また、2021年度中の実用化に向けて、特徴量圧縮率のさらなる向上、およびディープラーニングによる画像認識の適用範囲拡大を目指して開発するという。さらに、今後、通信インフラの拡充や自動化のニーズを背景に発展するAIによる映像利活用を支援するとのこと。
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AIが必要な書籍を300冊以上から瞬時に検索、富士通が品川区の戸籍事務を効率化
富士通株式会社は11月11日から、東京都品川区と共同で、婚姻届や出生届などの審査や受理手続きといった戸籍事務の職員負荷軽減や正確性の向上および業務効率化を目指し、届出内容の審査や判断の根拠となる文献データを300冊以上におよぶ専門書籍から瞬時に検索できる「電子書籍AI検索システム」を品川区の戸籍事務に導入し、有効性を検証する実証実験を開始している。
富士通が開発した本システムは、自然文や類義語の高度な検索が可能なAI検索エンジンにより、戸籍関連の専門書籍で、国内トップシェアの日本加除出版株式会社の電子書籍から、戸籍事務に必要な文献および該当箇所を瞬時に検索できる。これにより、職員は膨大な書籍から手作業で過去の事例を探し当てる必要がなくなり、業務負荷の大幅な軽減と業務効率の向上が見込める予定という。