クレジットカードの不正利用をAIで早期発見、ソフトバンク子会社

ソフトバンク株式会社の子会社であるSBペイメントサービス株式会社(SBPS)は11月11日から、同社のオンライン決済サービスを導入した事業者向けに、不正検知サービス「AI不正検知」を提供開始した。同サービスは人工知能(AI)を活用し、クレジットカードの不正利用を検出できるというものだ。

「AI不正検知」は、年間数億件を超える決済データによって、過去のあらゆる不正パターンを機械学習し、モデルを作成した。ユーザーがクレジットカード決済をするタイミングで、人間では見分けがつかない不正パターンとの類似性をスコアとして算出。事業者はリアルタイムにスコアを把握することで、不正な取り引きを早期発見できるとする。

また、従来の不正検知ツールの導入には事業者からの追加情報が必要なケースが多く、画面の開発や規約改定といった導入負荷が発生していましたという。一方で、「AI不正検知」は、決済で利用している情報を利用するため、事業者の導入負荷を軽減できるとのこと。

同サービスでは、不正利用が疑われる取引を抑止できる事業者独自ルールの設定や、疑わしい取り引きだけに本人認証サービス(3Dセキュア)の認証を追加する機能を提供する。本機能を利用することで、事業者は動的な対策をし、「属性・行動分析」に該当する改正割賦販売法に対応可能とした。

なお、SBPSのオンライン決済サービスを導入した事業者は、3つのプランのなかからニーズに合わせてプランを選択できる。まずは無料で手軽に同サービスを利用開始できるとうたう。

クレジットカード決済の不正利用、2019年の被害額は273億円超

一般社団法人日本クレジット協会の調査によると、近年、クレジットカード決済における不正利用被害は拡大を続けており、2019年にはその被害額は273億円を超え、前年比116%になったという。

また、2020年には新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が猛威を振るい、外出自粛によりEC利用の需要が高まりを見せている。総務省の発表によると、2020年5月のネットショッピング利用世帯の割合は、初めての5割超えとなる50.5%で、前年同月比で8.2%増加した。8月の1世帯当たりのネットショッピングの月間支出額は、平均1万6483円で前年同月比108%になった。

今後も、EC利用の需要は増えることが予想され、それにともない不正利用被害のさらなる拡大が懸念されている。このような状況下で、SBPSは事業者が安価で手軽にECでの不正利用対策を実現できることを目指し、「AI不正検知」を提供開始するにいたったとする。なお、国内の決済代行会社としては不正検知サービスを自社提供するのは初としている。

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保険金の不正請求を自動検知するAI技術、メットライフ生命が導入

近年、各社によりAIを活用し、不正を検出するシステムが導入されつつある。

メットライフ生命保険株式会社は6月9日、シフトテクノロジー社が提供する、AIを活用した保険金・給付金不正請求検知システム「Force(フォース)」を正式に導入し、運用開始したと発表した。

フォースは、不正事案を含めた過去の膨大なデータをAIに機械学習させることで、保険金・給付金の請求が正当なものか判断するソリューションだ。

従来、メットライフ生命では熟練した査定者が時間をかけて不正請求を検出していたが、同サービスを導入したことで、迅速かつ正確に検知できるようになった。熟練した査定者は、より複雑な請求に注力することが可能となり、顧客の保護と査定業務において高い精度と効率化を目指していくという。

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