INDEX
Appleは現地時間11月10日、M1チップを発表した。

M1チップは、Appleが作ったものの中で最もパワフルなチップで、Macのために設計された初めてのチップ。M1は、コンパクトさと電力効率が極めて重要となるMacシステムのために最適化されているという。
システムオンチップ(SoC)であるM1は、多くのパワフルなテクノロジーを1つのチップにまとめ、ユニファイドメモリアーキテクチャを採用することで、パフォーマンスと効率を劇的に進化させている。
また、最先端の5ナノメートルプロセステクノロジーを使って作られた初めてのパーソナルコンピュータ用チップで、1つのチップとしてはApple史上最も多い160億個という驚異的な数のトランジスタを搭載しているとのことだ。
省電力シリコンとして世界最速のCPUコア、ワット当たり世界最高のCPU性能、パーソナルコンピュータでは世界最速の統合型グラフィックスを備え、Apple Neural Engineにより画期的な機械学習性能を発揮。
その結果、CPU性能は最大3.5倍、GPU性能は最大6倍、機械学習では最大15倍高速になるとし、バッテリーは一世代前のMacよりも最大2倍長く持続。パフォーマンスと効率を大幅に向上させるM1により、Macはかつてないほど大きな進化を遂げるとのことだ。

Macで初めてのシステムオンチップ
MacやWindowsパソコンでは従来、CPU、入出力、セキュリティなどのために複数のチップが使われていた。
M1では、これらのテクノロジーが1つのSoCにまったく新しいレベルで統合され、より優れたパフォーマンスと電力効率を発揮できるようになるという。
また、M1にはユニファイドメモリアーキテクチャを採用。専用のパッケージ内で高帯域幅を持つ低遅延のメモリを1つのプールに収めている。
これにより、SoC内のすべてのテクノロジーが、複数のメモリプール間でコピーすることなく同じデータにアクセスできるようになるので、パフォーマンスと効率が一段と向上するとのことだ。

ワット当たり世界最高のCPU性能
M1は、4つの高性能コアと4つの高効率コアで構成された8コアCPUを搭載。それぞれの高性能コアは、可能な限り効率的に動作しつつ、シングルスレッドのタスクに業界トップレベルのパフォーマンスを発揮するとのことだ。
高性能コアは省電力シリコンとしては世界最速のCPUコア。フォトグラファーは高解像度の写真を瞬く間に編集でき、デベロッパはこれまでよりも約3倍速くアプリケーションを開発できるようになるという。
さらに4つのコアすべてを一緒に使って、マルチスレッドの処理性能を飛躍的に向上させることもできるとしている。

4つの高効率コアは、10分の1の電力で並外れたパフォーマンスを発揮。これら4つのコアだけで、現行世代のデュアルコアMacBook Airと同等のパフォーマンスを発揮するが、作業に使う電力ははるかに低く抑えられるとのことだ。
また、Eメールのチェックやネットサーフィンなど、負荷の軽い毎日のタスクを最も効率的にこなし、これまでにないほど長くバッテリーを持続させる。さらに8つのコアすべてが連係することで、高いパフォーマンスを要求する作業に驚くほどの処理能力を発揮することができ、ワット当たりのCPU性能は世界最高であるという。

世界で最も速い統合型グラフィックス
M1には、Appleで最も先進的なGPUが搭載されている。このGPUは、毎日使うアプリケーションや複雑なプロの作業など、Macのアプリケーションを何年にもわたって分析することによって生まれたとのことだ。
業界トップレベルのパフォーマンスと驚くほどの電力効率を持つ、比類のないM1のGPUは、25,000近くのスレッドを同時に処理できる最大8つのパワフルなコアを搭載。複数の4Kビデオをスムーズにストリーミング再生したり、複雑な3Dシーンをレンダリングするなど、極めて高いパフォーマンスを要求する作業を軽々とこなすことができるという。
2.6テラフロップスのスループットを持つM1は、パーソナルコンピュータの中では世界で最も速い統合型グラフィックスを搭載。

圧倒的に高速なオンデバイス機械学習
M1チップにより、Apple Neural EngineをMacで活用して、機械学習(ML)のタスクを大幅に加速できるように。
毎秒11兆の演算処理ができる、Appleで最も先進的な16コアアーキテクチャを搭載したM1のNeural Engineで、機械学習のパフォーマンスは最大15倍高速になるという。
実際に、M1チップのあらゆる部分は、CPU内のMLアクセラレータやパワフルなGPUと連係して卓越した機械学習性能を発揮するように設計されており、これにより映像分析、音声認識、画像処理などのタスクを行う時に、Macのパフォーマンスをこれまでにないレベルへ引き上げ。

M1には、ほかにも革新的な技術が満載
M1チップには、たくさんのパワフルな専用テクノロジーが詰め込まれている。
- 強化されたノイズリダクション、より広いダイナミックレンジ、進化した自動ホワイトバランス機能を備えた、Appleで最も新しい画像信号プロセッサ(ISP)を搭載し、一段と質の高いビデオを撮影できるように。
- 抜群のセキュリティを提供する最新のSecure Enclave。
- 高性能ストレージコントローラとAES暗号化ハードウェアが、より高速で、より安全なSSDパフォーマンスを発揮。
- 省電力の高効率メディアエンコーディングエンジンとデコーディングエンジン。優れたパフォーマンスを発揮しながら、より長いバッテリー駆動時間を実現。
- Appleが設計したUSB 4対応のThunderboltコントローラ。転送速度は最大40Gbps。これまで以上に多くの周辺機器に対応。

M1のために最適化されたmacOS Big Sur
macOS Big Surは、そのコアにいたるまでM1が持つ能力とパワーのすべてを最大限に活かすことに徹底的にこだわって設計されている。
その結果、パフォーマンスを飛躍的に向上させ、驚異的なバッテリー駆動時間と、より強固なセキュリティ保護機能を実現。M1と連係するので、ユーザーは毎日の作業が目を見張るほど速くスムーズに感じられるとしている。
iPhoneやiPadと同じく、Macのスリープ解除は一瞬。すでに世界で最も速いブラウザであるSafariでのネットサーフィンも、JavaScript実行時の速さが最大1.5倍に、反応の良さがおよそ2倍になるとのことだ。
Big SurとM1によって、Macユーザーはかつてないほど幅広い種類のアプリケーションを使えるように。

また、Apple製のMacソフトウェアはすべてユニバーサルアプリケーションになり、M1システムでネイティブに動かすことができる。
ユニバーサルアプリケーションにアップデートされない既存のMacアプリケーションも、AppleのRosetta 2テクノロジーでシームレスに動作。
iPhoneアプリケーションとiPadアプリケーションも、これからはMac上で直接動かすことができるようになり、さらに、Big Surの基盤はM1の能力を解き放つために最適化されているという。
これには、MetalによるグラフィックスやCore MLによる機械学習などのデベロッパテクノロジーも含まるとのことだ。
M1は、新しいMacBook Air、13インチMacBook Pro、Mac miniを駆動。これらがMacの製品ラインに加わることで、Mac史上最も強力なラインナップが出来上がったとしている。
なお同社は、これはMacのために特別に設計されたチップを持つ新しいファミリーへの移行の始まりであるとし、Appleシリコンへの移行が完了するまでには、約2年かかるという。
これらの3つの製品は、そのための素晴らしい第一歩であるとのことだ。