キリン・ファンケル、ペットボトルのキャップ由来再生樹脂を化粧品容器に採用 環境負荷を低減へ

KIRIN FANCL

キリンホールディングス(以下、キリン)は、ファンケルとの間で、2019年の資本業務提携を契機にさまざまな共同開発を進めている。

今回、両社の環境保護に関する取り組みの一環で、キリングループのキリンビバレッジにおいて、ペットボトル入り清涼飲料の生産時に排出されるキャップを再生樹脂に加工した素材を、ファンケルのグループ会社であるアテニアの化粧品容器の一部に採用し、2021年1月より順次切り替えるとのことを発表した。

なお、ペットボトルのキャップ由来再生樹脂を化粧品容器に採用することは、国内の化粧品業界で初めての取り組みとなるとし、これによりキリンビバレッジはペットボトルのキャップの約3~4割を再利用することができ、環境負荷を低減することが可能となる。

また、アテニアにおいては、再生樹脂を採用することで、従来同製品に使用していた新規プラスチック量の約40%を削減することができる。

アテニアでは環境に配慮し、ボトルタイプに比べて樹脂量を約85%削減できるフィルムパウチを使ったクレンジングオイルのレフィル製品「スキンクリア クレンズオイル<エコパック>」を販売している。

今回、環境配慮の取り組みをさらに進めるため、アテニアは、ポリエチレン製「スパウト部」(写真の赤丸部分)に、ペットボトルのキャップに由来する再生樹脂を採用。

再生樹脂の製造方法については、まず、キリンビバレッジがペットボトルのキャップを選別回収し、専用の機器で印刷を除去、粉砕してフレーク状にする。その後、溶解、混合してペレット状にし、さらに、このペレットを溶解し、色素を加えて再生樹脂にしたものを成型して完成させるという。

再生樹脂として使用するには、キャップの選別や印刷の除去工程などに手間がかかるが、化粧品容器メーカーなどの協力を得て国内の化粧品業界では初の試みとして実現することができたとのことだ。

キリンとファンケルは資本業務提携後、SDGsの達成やキリンが掲げるCSVの実現に向け、環境配慮の観点を持った容器および包装資材の設計や生産で協業できることを積極的に検討。

今回、ペットボトル入り清涼飲料のキャップを大量生産する際の初期段階や生産中、また製造する製品の切り替え時に、そのまま利用できないキャップが排出されることに着目し、この樹脂の再利用と化粧品容器への採用を検討したという。

再利用に向けては数点の課題があったが、協業により課題を解決し、同製品への応用に成功したとのことだ。

今後も、両社は、キリンビバレッジから排出されるペットボトルのキャップについて、ファンケルグループのポリエチレンを使用した製品パーツへ応用することを検討していくという。

また、キリングループとファンケルグループ各社の製品特性などを生かし、さまざまな視点で環境影響に対する取り組みについて検討を進めていく予定であるとし、さらに、容器の設計や包装資材の開発などについても、両グループのこれまでのノウハウを融合し、環境負荷の低減に向けた研究や技術開発を進めていくとのことだ。

キリングループは、「酒類メーカーとしての責任」を果たし、「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」という社会課題に取り組むことで、こころ豊かな社会を実現し、顧客の幸せな未来に貢献するとしている。

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