エーザイとCogstate, Ltd.(以下、 Cogstate社)は、Cogstate社が開発した「Cogstate Brief Battery(TM)」(以下、CBB)を含む全ての認知機能テストについて、医療用・非医療を問わずエーザイが全世界における開発権および独占的商業化権に関する契約を締結したことを発表した。

今回のグローバルライセンス契約は、Cogstate社が開発したCBBを含む全ての認知機能テストについて、エーザイが2019年8月に日本における独占的開発・商業化権を獲得したパートナーシップを拡大するもの。

今後、CBBについて、個人の日常生活における生活習慣の見直しや予防行動の実践に向けたブレインパフォーマンス(脳の健康度)のセルフチェックツール、さらには医療用の認知機能評価ツールとしての開発を両社で協力してグローバルに進めていく予定としている。

Cogstate社によって開発されたCBBは、精神運動機能、注意、作動記憶および視覚学習を評価する4項目から構成されており、認知機能のセルフチェックが可能な科学的に検証されたデジタルツール。

米国、欧州、オーストラリア、ニュージーランド、カナダでは、CBBを医療従事者向けの専門的なフィードバック機能を有する医療用として開発した「Cognigram(TM)」が医療機器として承認され、医療従事者によるMCI(軽度認知障害)および認知症の診察、診断の支援に使用されている。

エーザイは、中期経営計画 EWAY2025において、戦略的重点領域に定めた「神経」「がん」領域における新薬創出に加え、疾患エコシステム・プラットフォームの構築により、デジタルを含めた早期診断・早期治療に向けた環境整備やソリューションの提供をすることで、「Medico Societal Innovator(薬とソリューションで社会を変える企業)」となることをめざしている。

Cogstate社は、脳の健康に関する評価を血圧と同様に簡便かつ一般的で有用なものにすることをめざしている。

70以上の言語で利用可能なCogstate社のテクノロジーは、600以上の査読付き論文を含む広範な科学的検証によってサポートされており、Cogstate社のテクノロジーはエーザイが実施した試験を含む多くの臨床試験で広く使用されているという。

今回のグローバル提携により、エーザイが日本において、CBBをブレインパフォーマンスをセルフチェックするためのデジタルツール(非医療機器)として開発し、「のう KNOW (TM)」)として発売している取り組みを世界で再現することをめざすという。エーザイは、日本において、CBBを医療用の診断ツールとして開発することも検討中とのことだ。

近年、様々な研究において、定期的な運動や睡眠、バランスの良い食事、社会的活動などの生活習慣を見直すことにより、脳の健康度低下のリスクを減らすことができる可能性が示されているが、エーザイの調査によれば、正しい予防行動を理解している方や認知機能をチェックしている人は少なく、それらの習慣化に向けて大きな溝(キャズム)が存在しているという。

キャズムの解消に向けて、日本では、エーザイは認知症プラットフォーム「Easiit(イージット)」の構築を進めており、中核となるのが、ブレインパフォーマンスのセルフチェックツール「のう KNOW」と脳と身体の健康データの可視化による健康習慣促進への貢献をめざす「Easiit アプリ」。

働き盛りの世代から、「のう KNOW」を用いてブレインパフォーマンスを定期的にセルフチェックするとともに、「Easiitアプリ」により生活習慣の見直しや予防行動を実践し、脳と身体に良い健康習慣をつくるきっかけとなることが期待されているという。

今回の提携を通じて、エーザイとCogstate社は、より簡便に認知機能をセルフチェックできるデジタルツールの開発および医療領域での診断ツールとしての開発に連携して取り組み、世界でブレインパフォーマンスに対する意識を高め、人々の健康的な生活の実現に貢献していくとのことだ。