資生堂は、視覚に障がいのある人でも自身で簡単に実践できる独自の化粧法「ガイドメイク」を開発したと発表した。
「ガイドメイク」とは、視覚に障がいのある人が自身の手指を顔に当てて「ガイドライン」にし、それに沿ってスキンケアからポイントメイクアップまでを行う化粧法。
視覚障がい者団体の協力のもと、2017年から全国で試験展開を行いながら、視覚に障がいのある人の意見を取り入れて構築したとのことだ。
「ガイドメイク」では、資生堂の長年にわたる視覚障がいのある人への化粧についての調査や研究をもとに、以下の3点を「ガイド(案内)」するという。
まず化粧のコツを掴んでいただくために、化粧品を使う部位に手指を動かす「練習(エアー)」の後、実習を実施。使用する化粧品や化粧用具は、視覚に障がいのある人の使いやすさを考慮しながら、国内で販売している同社商品を選定しているとのこと。
視覚機能に応じたメイク法をガイド:眉や唇のかたちに沿って、自身の手指を「ガイドライン」にして、化粧がはみださないように描けるようにする
加齢に対するスキンケアをガイド:触覚を意識し、年齢によって変化する肌の手入れ法をガイド
社会参加へガイド:メイクによって、さらに自信を持って外出したい、あるいは人に会いたいと思うことを通じて、人や社会とのつながりへとガイド
具体的には、資生堂社員が口頭で伝える「資生堂ライフクオリティー ビューティーセミナー」で学ぶことができるという。
なお現在、同セミナーは新型コロナウイルス感染症予防のために中止しているが、再開次第、資生堂ライフクオリティー ビューティーセミナーのホームページで案内するとしている。
資生堂はこれまでも、1984年に点字版美容テキスト、商品識別用点字・墨字シール、使用量目安シールといった視覚に障がいのある人をサポートするための美容教材を作成。1987年からは年4回美容情報 CD(当時はカセットテープ)「おしゃれなひととき」を制作し、全国約80か所の点字図書館に寄贈している。
2002年からは資生堂WEBサイトの 「資生堂リスナーズカフェ」で、音声読み上げソフトで確認できる化粧品の使い方の説明や音声でも楽しめる季刊美容情報「おしゃれなひととき」を掲載。
2019年には専用の化粧法「ガイドメイク」を開発し、視覚障がい者団体からの依頼に応じて、全国でセミナーを開催。
同社は、今後も美の力で後押しする活動に取り組み、さまざまな人々が自分らしく生きがいをもって生活できる社会を目指していくとしている。