気象庁が、海流・海水温が要因で潮位が平常よりも高まる際に発信する潮位情報を改善するとともに、従来よりもきめ細かな海流・海水温の情報提供を10月28日から開始することを発表した。
これにより、潮位情報に現象の要因、持続期間や見通しに関する情報を新たに追加し情報の改善を図っていくという。
近年、日本では異常潮位(※)による浸水被害がたびたび発生しており、異常潮位に台風等による高潮が重なるとさらに被害が拡大してしまうという。
こうした状況を受けて、気象庁は従来より、潮位の上昇により海岸付近で浸水や冠水等の被害が発生するおそれがある場合には潮位情報を発表するとともに、災害の発生するおそれのある場合には高潮警報・注意報を発表し、注意・警戒を呼びかけてきた。
しかし、海流・海水温の解像度が十分でないこと等により、これまでは異常潮位による沿岸の潮位変動の予測については十分な情報発信ができていなかったという。また、海運・水産等の分野からも、より詳細な海流・海水温に関する情報に関しても要望が寄せられていたそうだ。
こうした意見を受け、気象庁は沿岸域におけるより詳細な海流・海水温が把握可能な日本沿岸海況監視予測システム(以下、JPNシステム)を開発し、その運用を開始することを決定。
JPNシステムは、従来10kmの格子で予測していた海流や海水温を2kmの高解像度で予測する。また、日本沿岸域の海流や海水温の変動を詳細に予測することで、沿岸の潮位変動の予測も可能になったという。
同庁はJPNシステムの運用開始に合わせ、異常潮位に関する情報の改善を行い、さらにきめ細かな海流・海水温データの利活用のため情報提供を行っていくとしている。
(※)潮位が比較的長期間(1週間から3か月程度)継続して平常より高く(もしくは低く)なる現象。府県より 広い範囲に及ぶことが多く、原因として暖水渦の接近、黒潮の蛇行等があげられるが、様々である。