JAXAは、新しい宇宙飛行士を来年秋ごろに募集することを目指し、準備を開始すると発表した。
現在現役で活躍している宇宙飛行士には、若田光一さん、野口聡一さん、古川聡さん、星出彰彦さん、油井亀美也さん、大西卓哉さん、金井宣茂さんの7名が居り、平均年齢は51歳。
ISS参加国の宇宙飛行士の人数は、2020年10月時点で、NASA:47名、ESA:7名、CSA:4名、ロシア:23名。また、ISS参加国の宇宙飛行士の平均年齢は、NASA:49歳、ESA:45歳、CSA:42歳、ロシア:45歳であるとのことだ。
さらに、各極の宇宙飛行士募集時期と採用人数を2000年以降で見ると、NASAは2003年に11名、2007年11名、2011年8名、2015年12名、2020年は2015年に続き、ISS、月、火星に目指すアルテミス世代の宇宙飛行士を募集。2月に発表され、3月募集、4月から選抜中、2021年10/11月に選定予定となっている。
ESAは、2008年に3名を採用しており、2015年に1名を追加採用。また、2019年11月の閣僚級理事会後、地球低軌道とそれ以遠の探査を行う飛行士の募集予定であることを発表し、2021年初頭の見込みであるという。
CSAは、2008年に2名、2016年に2名。
ロシアは、一般公募選抜の初回が2012年で、8名、2017年にも現在訓練中の候補者8名。また、2019年6月から新たに募集し、2020年内に4名選定予定であるとのことだ。
JAXAは、2000年以降、1度2008年に募集。2009年2月に、大西さん、油井さんが採用され、同年9月に金井さんを採用している。
ISS搭乗宇宙飛行士の選抜・養成プロセスは、約1年間の選抜期間を経て、宇宙飛行士候補として合格後、約2年間の基礎訓練を受け、宇宙飛行士として認定される。
認定後は搭乗機会が与えられるまでの間、維持・向上訓練を積み、搭乗機会アサイン後は固有ミッションの訓練を行い、搭乗に備えることになるという。
また、応募条件は以下となる。
- 日本国籍を有すること
- 大学(自然科学系:理学部、工学部、医学部、歯学部、薬学部、農学部等)卒業以上であること
- 自然科学系分野における研究、設計、開発、製造、運用等に3年以上の実務経験を有すること(修士号取得者は1年、博士号取得者は3年の実務経験とみなす)
- 宇宙飛行士としての訓練活動、幅広い分野の宇宙飛行活動等に円滑かつ柔軟に対応できる能力(科学知識、技術等)を有すること
- 訓練時に必要な泳力(水着および着衣で75m:25m x 3回を泳げる。また、10分間立ち泳ぎが可能であること)を有すること
- 国際的な宇宙飛行士チームの一員として訓練を行い、円滑な意思の疎通が図れる英語能力を有すること
- 宇宙飛行士としての訓練活動、長期宇宙滞在等に適応することのできる医学的、心理学的特性を有すること
- 日本人の宇宙飛行士としてふさわしい教養等(美しい日本語、日本文化や国際社会・異文化等への造詣、自己の経験を活き活きと伝える豊かな表現力、人文科学分野の教養等)を有すること
- 10年以上宇宙航空研究開発機構に勤務が可能であり、かつ、長期間にわたり海外での勤務が可能であること
- 米国勤務当初に必要な国際免許の取得のため、日本の普通自動車免許を採用時までに取得可能なこと
- 所属機関(または、それに代わる機関)の推薦が得られること
募集開始までの主な予定として、これまでのJAXA主体による募集・選抜、訓練と異なり、民間企業と連携を強化し、募集・選抜、訓練に企業ノウハウや新しいアイデアを活用することを想定しているという。
また、野口宇宙飛行士、星出宇宙飛行士によるISSからのメッセージなどをSNSを用い展開することやオンラインワークショップにおける国際宇宙探査と募集内容の説明会など、多くの人に応募してもらえるよう、募集開始までの間、広報活動やイベントを予定。
今回の募集開始までの予定は以下の通り。
- 2020年末まで 募集・選抜、訓練に関する情報提供要請(RFI)
- 2021年初頭 情報提供者との意見交換
- 2021年春頃 募集・選抜、訓練に関する提案募集開始(「募集・選抜」と「訓練」のいずれか、あるいは両方を提案)
- 2021年夏頃 募集・選抜、訓練を実施する企業の選定
- 2021年秋頃 募集要領発表(募集開始)