「Appleの販売量は前年同期比4%増加」 カウンターポイント社、グローバルスマホ市場に関する最新調査を発表

カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチ(以下、カウンターポイント社)は、2020年のグローバルスマートフォン市場は全体で10%減になると予測される一方、Appleの販売量は前年同期比4%増加するだろうという調査結果を含むCounterpoint Market Outlookによる最新調査を発表した。

Appleは2020年10月13日にiPhoneの新機種を発表。これら新機種により、市場全体の5G普及にも大きく弾みがつくと同時に、Appleにとっても大量の買い替え需要を喚起すると予測されるという。

Appleの2020年の販売に関して、カウンターポイント社リサーチディレクターのTom Kang氏は下記の通り述べている。

Appleはグローバルのスマートフォン市場の平均を上回る素晴らしい業績をあげた。COVID-19で業界全体が低迷した2020年第2四半期も、タイミング良く発売されたiPhone SE(第2世代)によってAppleは助けられた。

この機種は、$399米ドルという、iPhoneにとって新たな低価格帯ラインを作り、そのおかげで、COVID-19が世界的に最悪の状況だった月とロックダウン期間を、Appleはうまく乗り切ることができた。

加えて、iPhone 11シリーズの人気はとても根強く、新機種発売の間際だというのに、未だに毎週100万台以上が売れている。市場全体がまだマイナス成長から脱していないなか、iPhone SE(第2世代)とiPhone 11は第3四半期も同社の好調を支えた

Appleの四半期ごとの成長率とスマートフォン市場全体の成長率の比較
出典:カウンターポイント社

新型コロナウイルス感染症は、2020年のスマートフォン市場を直撃したが、市場の一部は、オンライン(ネット販売)でコロナウイルスの流行で利益を得たなど、そのダメージを抑えることができた部分もあるという。

Appleは、各先進国市場のオンライン販売において支配的な強さを示し、また、第2四半期通期のコロナウイルス流行下においても、Appleの高級機セグメントの下げ幅は少なく、市場全体が23%縮小した中、Appleの高級機セグメントはわずか8%の縮小で留まったという。

その結果、Appleは高級機市場で最大のプレイヤーであるというポジションは、今回も揺るがなく、カウンターポイント社は、Appleは平均成長率を超える業績を今年達成するだろうと予測しているとのことだ。

また、iPhone 7とiPhone 11シリーズは、その発売時期に大量の買い替え需要を喚起。

その一方で、iPhone 8やXRシリーズは、発売されたタイミングに買い換えサイクルが延びてしまったこともあり、それほどの買い替え需要喚起へ繋がらなかったという。

その証拠は数字としても結果が出ており、iPhone 11シリーズが発売された2019年9-12月にAppleは前年同期比で成長を遂げたが、それは、iPhone 7が発売された2016年の9-12月振りの前年同期比での成長となった。

今回の発売により、Appleの2020年10-12月の売上はiPhone 11シリーズ販売開始の9-12月の売上を1%上回るとカウンターポイント社は予測。この1%の上回りは、Apple新製品の発売が遅れ、新製品による売上分が2020年9月はゼロとなり、10月中の大半の機会を失ったにも関わらずの数字となるだろうと予測しているとのことだ。

新型iPhone (9 – 12月)出荷台数のローンチ時のパフォーマンス
出典:カウンターポイント社

カウンターポイント社リサーチディレクターのJeff Fieldhack氏は下記の通り述べている。

「5G対応機種が出るまで買い控えていたiOS利用者で、かなりの需要が積みあがっている。ディスプレイサイズや価格の選択肢が増えたことも、販売を後押しするだろう。

世界中で携帯キャリア各社が、この新機種投入を機にiOS利用者を自社の5Gサービスに引き込もうと必死になることも、Appleにとって追い風となる。5Gサービスが始まった国々では、キャリア各社は、先行投資をして、まだLTEを使っているiOS利用者に、自社が保有するガラガラの5G網に乗り換えてもらいたい。5Gが展開されている国での大々的なプロモーションにそれが表れている。

米国では、ここ数年でもっとも激しいマーケティング合戦が展開される見込みであり、これはAppleにとって有利に働くだろう。また、欧州のキャリアも同様にマーケティング活動の度合いを高めるだろう。だが、中国ではそこまで積極的なプロモーションが展開されないと予測される」

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