ギネス世界記録、インスタの「フォロワー100万人世界最短記録」
世界10億人以上の月間アクティブユーザーを抱えるインスタグラム。そのインスタグラムでフォロワー100万人というのは、ある種のベンチマークになっている。
ギネス世界記録でもインスタに関して「フォロワー100万人世界最短記録」というカテゴリを設けているほどだ。
記録保持者はどれほどの期間で100万人フォロワーを達成しているのか。
直近の記録は米テレビドラマ「フレンズ」のレイチェル役で広く知られているジェニファー・アニストン氏(51歳)が保持していた。2019年10月15日に開設されたアニストン氏のインスタグラムアカウントは、5時間16分という短時間でフォロワー100万人を達成。英語圏ではいくつかメディアが取り上げ話題になっていたようだ。
インスタフォロワー100万人最短記録に関してアニストン氏以前には、元サッカー選手のデビッド・ベッカム氏やローマ法王などが記録を保持していた。
記録とは常に塗り替えられるもの。2020年9月24日、上記アニストン氏の記録を超え、4時間44分で100万人を達成したインスタアカウントが登場し、英語メディアがこぞってこのことを取り上げており話題が話題を呼ぶ状況となっている。
世界で最も尊敬される94歳、インスタアカウント開設
この最新記録を打ち立てたのが英国の動物・植物学者でテレビ番組のプレゼンターを務めるデビッド・アッテンボロー氏(94歳)だ。
日本ではあまり知られていないが、英語圏では多くの人々の尊敬を集める著名人だ。
英国の世論・市場調査会社YouGovが作年発表した「2019年世界で最も尊敬する人物ランキング」という調査では、スコア25.78ポイントを獲得し、エリザベス女王(22.61ポイント)、オバマ元大統領(14.12)、J.K.ローリング氏(6.77)などを上回り1位となった。
日本で公開されたBBC発の海洋ドキュメンタリー番組「ブループラネット(「Blue Planet Ⅱ」)」のオリジナルナレーターでもある。このほか数多くの自然・動物ドキュメンタリー番組を手掛けている。こうした番組では、自然の雄大さだけでなく、環境破壊の現状も生々しく伝えており、プラスチック利用の削減など人々の消費行動を大きく変える「アッテンボロー・エフェクト」を引き起こしたともいわれている。
このアッテンボロー氏が、より多くの人々にメッセージを伝えるためにソーシャルメディアにデビューした格好となる。9月24日に開設され、4時間44分で100万人フォロワーを達成した同アカウント。10月12日時点で、フォロワー数はすでに580万人に達している。インスタ動画セクションIGTVでの初投稿動画の視聴回数は1,780万回以上、いいね170万回、コメント5万2,000件以上という盛況ぶりだ。
アッテンボロー氏、最新ドキュメンタリーのメッセージ
普段はソーシャルメディアを使わないアッテンボロー氏。インスタアカウントは、同氏の最新ドキュメンタリー番組「David Attenborough: A Life On Our Planet」の制作チームが運営を支援している。
2020年4月に初公開され、現在ネットフリックスでも配信されている同番組は、そのタイトルが示すようにアッテンボロー氏の足跡を追いつつ、地球環境・自然・生態系の危機的状況を伝えるものだ。
アッテンボロー氏のメッセージは一貫している。現状が続くと、地球環境は取り返しがつかないほどのダメージを受け、生物の大部分が死に絶えるというシナリオもあり得るというもの。たとえば、ブラジル・アマゾンの森林破壊が続くと、同地域は砂漠化し、域内の生態系は消滅、地球全体の水循環も影響を受けるシナリオなどが考えられるという。
同番組は、そんな終末論的な危機感を醸成しつつ、同時に希望があることも示している。
アッテンボロー氏が「rewild(野生再興)」と呼ぶアプローチを中心とした地球環境・生態系復興の取り組みだ。
その事例の1つとして挙げられているのが、南国パラオの取り組みだ。
中国人観光客などの大量流入によって地元環境が悪化したことを受け、観光客受け入れ数を減らしたり、海洋環境を悪化させる日焼け止めクリームの持ち込み/利用を禁止するなど、世界に先駆けた環境取り組みで注目を集める同国。
そのパラオが海洋生態系の復興と経済を両立させるために実施したのが、近海における漁業禁止区域の設置だ。特定海域での漁業を完全に禁止したことで、同海域における生態系はすぐに元の姿に戻り、禁止区域外にも魚があふれる状態になった。これに伴い、漁獲量が上昇しただけでなく、サンゴ礁も戻ってきたという。
このほかオランダのサスティナブル農業などが将来の最悪のシナリオを回避するためのヒントとして紹介されている。
94歳のグローバルインフルエンサー、デビッド・アッテンボロー氏。今後インスタグラムではどのような投稿を配信するのか気になるところだ。
[文] 細谷元(Livit)