武田薬品とアクセンチュアおよびAmazon.com, Inc.の関連会社である Amazon Web Services, Inc.(AWS)は、武田薬品のデジタル変革を加速するため、5年間の戦略的提携契約を締結したと発表した。

同提携契約により、武田薬品は、バリューチェーン全体を通じて収集された知見を活用し、より迅速かつ俊敏な対応によって、患者のみならず、医療従事者、従業員およびパートナー企業へのさらなる貢献が可能になるとしている。

3社による長期的な提携を通じ、武田薬品はIT基盤の刷新やデータサービスの加速、イノベーション創出に向けた社内組織の変革や従業員に新たなスキルの習得や働き方を許容する体制が整い、クラウド活用を前提とした事業変革を推進するとのことだ。

武田薬品は、クラウド活用を前提とした「クラウドファースト」のアプローチを採用することで、不要なシステム構築作業を排除し、より高い拡張性と信頼性を担保した安全なITアーキテクチャの構築が可能に。

また、アプリケーションの80%をクラウドに移行することで、差別化をもたらさないテクノロジーや自社データセンターの削減を進め、支出の抑制を図るという。

さらに、データサービスおよびその活用力の強化を通じ、ライフサイエンス分野におけるエコシステムや外部パートナーとの連携を拡大。

例えば、新型コロナウイルス感染症に対する臨床研究を拡大するため、同提携では、COVID R&D Alliance向けの安全なデータ共有および臨床試験推進プラットフォームをクラウド上に5日足らずで構築。クラウドを活用しなかった場合、このプラットフォームの立ち上げには最大3カ月が必要となるという。

加えて、希少かつ複雑な疾患に罹患する多くの患者さんのために極めて重要で生命を救う、あるいは生命を維持する治療薬を開発する武田薬品のPlasma-Derived Therapies Business Unitでは、デジタルでつながった最先端の血漿収集センターの設立に向けて取り組んでおり、ドナーの体験と血漿採取プロセスの最適化に取り組んでいる。

武田薬品では、2024年までに血漿の採取能力と製造能力を65%以上向上させる計画であり、患者にとって欠かせない医薬品の供給力の増強に向けて取り組むとともに、患者への新たな治療を加速するとしている。

また、今後3年間でデータおよびデジタル領域の専門人材を新たに数百人採用する計画であるとし、かつてない人材層へのアプローチを行うほか、数千人にのぼる従業員のスキル向上を図り、データのさらなる活用力とデジタル化を推進するとのことだ。