NTTコミュニケーションズ(以下、 NTT Com)は、スタンドアローン(SA)方式のローカル5Gにおける特長である低遅延通信や、利用用途に応じたQoS通信を混在可能とするエンド・ツー・エンドスライシング(以下、E2E スライシング)機能に関する実証実験を開始すると発表した。

同実験では、エリクソン社のローカル5G向けソリューション「Edge Gateway」を活用し、Sub-6帯およびSA方式を用いて低遅延通信やE2Eスライシング機能の検証を拡充する。

今後は実際のフィールドに配備し、エッジコンピューティング機能やNTT Comのデータ利活用プラットフォームである「Smart Data Platform (SDPF)」と連携した実証実験を展開していくという。

Edge Gatewayの導入にあたっては、エリクソン社が世界で先行2社のみと結ぶアーリーアダプター契約を締結するという。

この契約により、小規模からの運用が開始可能なEdge Gatewayを他社よりも先行して活用する。NTT Comのローカル5Gソリューションで活用することを想定したチューニングを施し、エリクソン社と共に実証実験を進めていくとのことだ。

実験の内容の一例では、「アークス浦安パーク」に設置した検証環境を利用し、超低遅延接続の試験を実施するという。例えば、ラグビーボールを蹴った瞬間に、超低遅延でエッジコンピューティング上のアプリと通信を行い、即座に角度、初速度、高さ、飛距離を算出する試みを行うとのことだ。

NTT Comでは、ローカル5Gの電波特性試験、アプリケーション試験などに早期に着手するため、昨年度よりミリ波帯(28GHz帯)とSub-6帯(4.7GHz帯)の周波数帯、NSA(ノンスタンドアローン)方式のローカル5G向けソリューションを活用し、NTT Comラグビーチーム「シャイニングアークス」のラグビー練習場「アークス浦安パーク」やお客さまの工場において実証実験を行ってきた。

NTT Comは、これらの実験で得られた知見を活かしつつ、Sub-6帯・SA方式の実証実験にいち早く取り組むという。

ローカル5Gでは、利用される周波数帯域にはミリ波帯とSub-6帯、提供方式にはSA方式とNSA方式など、いくつかの組み合わせがあるが、Sub-6帯・SA方式の組み合わせがローカル5Gシステムの本命といわれている。

また、5Gの特徴として、「高速大容量通信」「超低遅延」「多数端末接続」があるが、これらを1つの5G設備で実現するためにはスライシング機能が必要となる。

同実験では、ユーザーの用途やニーズに合わせたQoS通信を混在可能とするE2Eスライシング機能を実装する。

これにより、例えば映像のような高速大容量を必要とする通信と、ロボットの遠隔操作のような超低遅延を必要とする通信など、異なる特性の通信を1つのローカル5G設備の中で複数実現することができ、ユーザーのデータを最適かつ効率的に流通することが可能になるとのことだ。