NTTドコモ・ベンチャーズ(以下、NDV)は、同社が運用するファンドを通じて、製造業向け自動予知保全ソリューションを提供するSenseye Ltd.(以下、Senseye)に出資を行ったと発表した。
製造業において、工場設備の故障によるダウンタイム(稼働停止時間)は、収益機会の損失とメンテナンスコストの増大に直結する要素として、長年の課題になっているという。
近年、ダウンタイムを削減する方法の一つとして、設備の稼働状況等のデータから故障リスクを予測する、予知保全ソリューションが登場。
しかし、多くの予知保全ソリューションは機械学習のモデルを機器ごとに都度開発し学習させる必要があるため、個別に教師データを準備するなど導入までに多くのプロセスを踏む必要があり、導入企業側の負担の大きさが課題となっているとのことだ。
Senseyeの「Senseye PdM」は、こうした課題に対応するための自動予知保全ソリューション。独自の研究開発により蓄積された共通アルゴリズムライブラリおよび故障データベースを活用し、個別の教師データを必要とせず自動的に各機器に適した機械学習モデルを生成するという。
これにより、企業にとって簡易な導入を実現すると共に、機器の種類を問わずに対応が可能なため、簡単に工場全体へ適用でき、早期に導入メリットを享受することが可能に。
また、2020年7月にはグローバル展開する再保険企業と連携。製造業では初となるダウンタイム削減保証サービス「ROI Lock」の提供を開始した。
顧客と事前に合意した削減水準に達しない場合には利用料を返金するサービスであり、企業にとっての導入ハードルをさらに低減。こうした製造業のニーズに即した様々な利便性が評価され、現在Senseye PdMはFortune 500企業を含む多くの企業での導入が拡大しているとのことだ。
NTTドコモは2020年6月に機器の故障予兆の検知や生産品検品の自動化など製造現場の生産性向上を目的に、5Gに対応した製造機器一括分析ソリューション「FAAP」を提供開始するなど、製造業向けの取り組みに注力している。
NDVはSenseyeとの連携がこれらの取り組みをさらに加速させるものと期待し、今回の出資に至ったとのことだ。SenseyeとNTTグループのサービス連携を支援することで、新たな価値創造に向けた取り組みを進めるとのことだ。