スペース・バルーンは、2020年9月21日に関東沿岸・茨城県沖では初となる、高高度気球による成層圏飛行実験を成功させたと発表した。
また、今回の成功で得た成果をもとに、年間100組限定で「スペースバルーン・フォトサービス」を、一組50万円(税別)のサービスを提供開始するという。
従来、関東沖での実験は種々の大変厳しい条件のもとで、高高度気球による飛行実験が困難とされてきたが、今回、東京大学発宇宙スタートアップ「ASTROFLASH」の技術協力と、地元自治体や関係団体の協力を得て、茨城県東茨城郡大洗町より打上げ、飛行実験を成功させることができたという。
スペース・バルーンでは、今回の実験にあたり、特に(1)打上げ手順の標準化、(2)事前シミュレーション精度および回収精度の向上のための技術開発、(3)関係協力者の今後の体制作りに重点を置いて取り組んだという。
回収精度の向上については、従来一般的に採用されていたGPSモジュールや無線端末による位置補足では、不十分な点と利用に対しての規制がある。
これにより、新たに「低電力広エリア通信“LPWA(Low Power, Wide Area)”」の技術の一つであり、東京大学 中須賀・船瀬研究室開発の「LoRaモジュール」を採用し、予測が難しい地域での捕捉制度を高めることに取り組んだとのことだ。
また事前シミュレーションの精度向上に努め、日々変わる気象条件に合わせ、打上げるスペースバルーン側の要件を制御することで、あらかじめ定めておいた飛行経路、着水場所に対し、ほぼ予定通り飛行し、回収することに成功。
この成果をもとに、今後はさらに打上げに関わる手順の簡素化、標準化を進め、今後茨城沖での高高度気球による安全で確実な成層圏実験を加速させていくとしている。
併せて、この成功で得たノウハウをもとに、新たな事業サービスとして「スペースバルーン・フォトサービス」を開始。
まず初めに、向こう1年間で、100組限定で、申込者の写真やグッズ、記念メッセージなどを打上げ、宇宙映像撮影した写真やビデオを届けるという。
従来、高高度気球による宇宙撮影は、数百万円以上の費用が必要とされてきたが、スペース・バルーンでは、専用の機体を新たに開発(特許申請準備中)し、かつ東京近郊の茨城県沖で宇宙撮影を行う。
これにより、低コストでのサービス運用が可能と判断し、このメリットを市場へ還元すべく、1組当たり50万円(税別)という低コストで、宇宙撮影を行う仕組みを準備したとのことだ。