三菱パワーは、九州電力が運営する大岳地熱発電所で進めていた発電設備の更新工事を終え、同設備が10月から営業運転を開始したことを発表した。
更新工事では、高効率かつ信頼性の高い蒸気タービンの導入し、電力の安定供給はもとよりCO2排出量を抑制し脱炭素社会に貢献するという。
今回の工事は、蒸気タービンを供給する同社と、周辺設備の供給・据付工事を担当する三菱パワーインダストリー、発電機および電気設備の供給を担当する三菱電機がJV(共同企業体)を組成し、EPC(設計・調達・建設)取りまとめを請け負う方式で実施、発電設備の更新を手掛けたとのことだ。
発電方式には、国内初となる「ダブルフラッシュ&デュアルプレッシャー方式」を採用。
ダブルフラッシュ&デュアルプレッシャー方式とは、噴出圧力の高い生産井から高圧の1次蒸気を、噴出圧力の低い生産井から低圧の2次蒸気を、それぞれ蒸気タービンに供給するとともに、1次蒸気から取り出した熱水を減圧することでさらに蒸気を取り出し、2次蒸気として利用するもの。
蒸気井の安定運転および地熱資源の有効活用を可能にするとともに、発電出力を更新前より2,000kW増の1万4,500kWまで引き上げたとしている。
2019年5月着工時の計画より工事を2ヵ月前倒しさせ、10月の営業運転開始を実現した。
地熱発電は、地球内部に存在するマグマ溜りの熱エネルギーを利用し地上で燃焼させることがないため、大気へのCO2排出量が少なく地球温暖化の抑制に有効な発電方式。
また、再生可能エネルギーのひとつでありながら、地球内部の膨大な熱エネルギーを利用しており、季節、天候、昼夜のサイクルに左右されることがなく、火力発電とほぼ肩を並べる高い稼働率を確保できるとのことだ。
三菱パワーは今後も、革新的な発電技術とソリューションにより、持続可能な脱炭素社会の実現に貢献するとともに、多様なグローバル社会の課題解決に取り組んでいく方針を示している。