ポケットチェンジは、同社が提供する外貨交換サービス「ポケットチェンジ」における新型コロナウイルス流行前後での利用状況の変化についてのリサーチ結果を発表した。
主な調査結果は以下になる。
- 出国者数が大きく減少する中でも余った外貨の交換ニーズは依然として存在
- 海外渡航機会の減少により、外貨交換を促進
- 推定数兆円規模の「余り外貨のマーケット」が日本国内に残存
新型コロナウイルス禍において訪日・出国ともに旅行客は減少
今年に入って日本国内でも新型コロナウイルスの流行が始まり、多くの産業がその影響を受けている。その中でも、旅行業界は特に影響の大きかった業界の一つであり、訪日外客数は前年同月比で最大99.9%以上減少している。
日本人出国者数も同様に激減し、昨年比で最大99.8%減少している月もあるのが現状とのことだ。
外貨両替件数は減少しつつもニーズは残存
このような状況において複数の両替業者が店舗閉鎖などの措置を取る中、同サービスも利用件数の低下が見られるという。
キオスク端末で提供しているサービスであるため、特に緊急事態宣言下における外出の自粛によってポケットチェンジが設置されている施設を利用する人が減ったことが利用件数に影響を与えたと考えられるとのことだ。
一方で、旅行の機会は減少している中でも、外貨を国内で活用するニーズは依然として存在していると見られる。
1取引あたりの投入通貨数が約20%増加、通貨別ではタイバーツの交換需要増
ポケットチェンジの取引において、1度の利用で投入される通貨の数の平均は新型コロナウイルス流行以前では約1.42種類であった。
一方で新型コロナウイルス流行後の利用状況を見ていくと、1度に使われる通貨の種類が約20%増加し、平均で1.69種類の通貨が投入されていることがわかるという。
渡航制限などで海外旅行控えが浸透した結果、これまでは次回の旅行時に利用するために保管されていた外貨も円転する動きが増加したケースなどが考えられ、その結果一度に複数の通貨を投入し利用することが増えたと見られるとのことだ。
特にタイでは、3~4月の時点で自国への入国の禁止や国際旅客便の飛行禁止が発表されており、こうした状況を受けて長期間タイへの渡航ができないことを見込んだユーザーが、タイバーツを日本で使える電子マネーに交換した結果、投入通貨割合の上昇が起こったと考えられるとしている。
実際に全取引に占める各通貨が投入されている割合を調べたところ、タイバーツが投入された取引の割合は 2019年4月~7月と2020年4月~7月を比較すると前年比で約37%の増加という結果が出ているとのことだ。
通貨ごとの投入単価が20%弱増加
1取引あたりの平均投入金額を見ていくと、新型コロナウイルス流行前の2020年1月と比較して平均で20%弱の金額の増加が見られる。
通貨を個別に見ていくと、米ドル、ユーロといった主要通貨や香港ドルは緊急事態宣言発令直後の4月は単価を落としたものの、解除後の6月以降は単価の増加が見られる。特に香港ドル(HKD)は1.5倍以上の増加と著しい伸びを見せていることがわかる。