資生堂は、肌内部の血管を3次元で観察する独自技術を活用し、シミ部位に存在する血管密度が高いほど、シミの色素沈着が改善しにくいことを発見したと発表した。

今回の知見は、東京女子医科大学講師の根岸圭医師との共同研究の成果になる。

シミには、部位・大きさ・濃さ・色合い・輪郭などにおいて様々なタイプがあり、発生要因も複数存在することがわかっているという。

同社では、シミ部位の肌で特異的に観察される現象を長年研究し、様々なシミの発生要因に応じた多角的なソリューションを開発してきた。

2017年には、慢性的な紫外線ダメージの蓄積により発生するシミ領域の真皮上層において、異常な毛細血管のネットワークが存在することを発見し、シミ形成と血管には密接な関係があることを明らかにした。

同研究では、シミの過剰な色素沈着をレーザー治療により除去した際のシミ形態を追跡調査することにより、血管がシミの形成・維持にどのような影響を及ぼしているのかについて検証を実施。

シミに対する有効な治療法の1つに、美容医療現場で施術されるピコ秒レーザー治療がある。しかし、色素沈着の改善度合いにはシミごとに個体差があり、事前に治療効果を正確に予測することは容易ではないという。

同研究では、肌を傷つけずに肌内部の血管を可視化する独自の光干渉断層血管撮影技術（OCTA：Optical Coherence Tomography Angiography）を用いて、真皮上層の血管密度とシミに対するピコ秒レーザー治療効果との関係性について解析を実施。

その結果、施術前の血管密度は、施術3カ月後のシミの色素沈着の改善率（メラニンの減少率）と有意な逆相関関係にあることが明らかになったとのことだ。このことは、真皮中の血管密度が高いタイプのシミほど、色素沈着は改善しにくいことを示しているという。

今回の研究では、資生堂の独自技術を活用することにより、シミ部位の血管の状態が、シミの形成だけでなく改善プロセスにおいても密接に関係していることを解明し、美白ケアにおける血管の重要性を改めて示したとのことだ。

今後も、幅広い視点から美白研究を進め、明るく健やかな肌の実現に向けて挑み続けるとしている。