商船三井は、WAKASHIO号事故に関するモーリシャスの環境回復・地域貢献に向けた同社の取り組みについて発表した。

同社は、これまでにグループ社員の現地派遣(11日現在13名)と共に、流出油の回収除去作業に有用な資材他の支援物資の提供および輸送を行っているという。

今後それらに加え、自然環境の回復と保護について知見を持つ専門家や団体の助言と協力を仰ぎ、日本政府とも連携を取りながら、長期的にモーリシャスの自然環境及び地域社会への貢献に取り組むとのことだ。

また、具体的に以下の実施方針を決定したとしている。

1.自然環境保護・回復プロジェクト

既に、環境省が、中長期の環境モニタリングや環境再生方策の検討について、モーリシャスに専門家を派遣して援助活動を行っていることから、こうした動きとも連携しながら進めていくとしている。

マングローブ保護・育成プロジェクト

  • 民間コンソーシアムの組成と、現地NGOとの協働を検討中。
  • 助言・協力先:日本マングローブ学会・モーリシャス大学
  • 【企図する活動】
    マングローブ林の生態系を傷つけない清掃
    マングローブ林下に棲息する生物多様性の保全
    マングローブの植林

サンゴ礁回復プロジェクト

  • 企業、大学、研究機関等と連携し、現地NGOとの共同プロジェクトを検討中。
  • 助言・協力先:イノカ・モーリシャス大学・アルビオン水産研究所・EcoMode Society
  • 【企図する活動】
    A.I.等最新技術を利用したサンゴ礁の早期育成と移送
    海中サンゴ棚でのサンゴ養殖・移植
    海中に浮遊する泥質物からのサンゴ礁の保護

海鳥の保護・希少種海鳥の研究

  • 海鳥の保護、希少種保護に関する研究支援。

モーリシャス自然環境回復基金(仮称)の設立

  • 上記1から3のプロジェクト・研究の遂行を目的に創設。
  • 同社は発起人として数年間わたり8億円程度の拠出を予定。
  • 個人・法人からの拠出も受け入れ可能とする予定(本船船主である長鋪汽船から拠出の意向表明あり)。
  • 運営支援に日本総合研究所

2.現地NGOおよびモーリシャス政府・国際公的機関の基金への拠出

モーリシャスの自然環境回復活動を支援するため、複数の現地NGOへの寄付、およびモーリシャス政府関係団体・国連等の公的機関が設立している基金への資金拠出を実施。

合計で1億円程度の拠出を予定しているという。

3.人的貢献

  • 同社グループ社員の現地への派遣継続
    現在派遣中の第1陣、第2陣(計13名)に引き続き、9月中旬に帰国予定の第1陣の帰国と入れ替わる第3陣を派遣予定。
  • モーリシャス駐在員事務所の設立
    現地における関係当局やモーリシャス地域社会との中長期的な連携・対応を目的に10月に設立予定
  • 社員研修の実施
    同社グループの世界各地の社員を数名選抜し、毎年モーリシャスにおいて研修を実施、海洋汚染防止や自然環境保護に対する理解を深めると共に、地域社会に貢献

4.地域社会・産業への貢献

  • 漁業水産業への貢献
    漁業の発展に向けての支援については、現地のニーズを踏まえて今後様々な方策を検討。
    そのひとつとして、コールドサプライチェーン整備の要望を受けて、冷凍コンテナ1本を寄贈(9月11日現地到着予定)。
  • 観光業への貢献
    商船三井客船の“にっぽん丸”による日本発着のモーリシャス寄港クルーズの実施。催行時期は2022年を念頭に計画。

なお、上記1~3の貢献支援策の資金として、複数年で総額10億円程度の拠出を予定しているとし、4については、今後詳細を検討するとのことだ。

同社は引き続き、モーリシャスおよび日本の関係当局、国内外の関係者、船主と連携し、事態の解決ならびにモーリシャスの環境回復と社会への貢献に向けて取り組むとしている。